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 福岡通信 01/03/09 (金) <前へ次へindexへ>

 気合は十分。いざ出陣!!


 文/中倉一志
 サッカーファンにとってはたまらなく長く感じられたシーズンオフ。そんなオフもとうとう終わり。いよいよ待ちに待ったJリーグの2001年シーズンが開幕する。ピッチを駆け回る我らがイレブン、湧き上がる歓声、そして勝利の喜びと敗戦の悔しさ。応援するクラブの勝敗に一喜一憂し、順位表と対戦カードを睨みながら次節の展望を立てる。そんな充実した8ヵ月間が再びやってくる。Jリーグが始まってから9年目の春。シーズンを迎える興奮はいつの時も変わらない。

 冷静に戦力を分析すれば、やはり優勝候補は鹿島と磐田。選手個々の実力、層の厚さでこの2チームに迫るクラブは見当たらない。ゼロックススーパーカップで清水に完敗を喫した鹿島は相馬の長期戦線離脱が気になるが、開幕までには必ずチーム力を整えてくるはずだ。また、ターンオーバー制を導入し、世界戦略を取ろうとしている磐田も準備は万全。敢えて難題を探せば、両チームとも実力者ゆえの過密日程に悩まされることだろうか。

 一方、優勝戦線の対抗に上げられるのが、柏とガンバ大阪だろう。昨年の2nd stageで、あと一歩のところで優勝を逃した柏は、柳相鉄を補強。黄善洪、洪明甫との韓国代表トリオで固めた縦のラインは強烈だ。またG大阪も、いまや日本代表の攻守の要に成長した稲本を筆頭に、フル代表・五輪代表経験者がずらりと顔を揃える。その他にもニーノブーレ、昨年頭角をあらわしたユース育ちの新井場等、そうそうたるタレントで虎視眈々と優勝戦線をうかがっている。

 しかし、我らが「九州の雄」アビスパ福岡だって負けてはいない。レギュラー組が出場出来ない時の層の薄さという課題は残すものの、レギュラー陣の戦力は決して他のチームにひけを取るものではない。しかも、昨シーズンは十分な働きのできなかった中払の復帰や、進境著しい篠田、江口、小森田等、明るい材料も少なくはない。鹿島と磐田を除けばほとんど横一線のディビジョン1。アビスパ福岡にもチャンスは十分にある。



 そしてシーズンを1週間後に控えた4日、福岡天神の地下街で「がんばれ、アビスパ福岡!! 〜博多の森を満席にしよう〜」というイベントが開催された。主催はアビスパ福岡後援会。開幕戦の必勝を期すとともに、地元ファンをあげて博多の森を満席にするキャンペーンを兼ねたもので、イベント広場には朝早くから多くの福岡サポーターが来場。100枚用意されていたサイン入り色紙の整理券も、あっという間になくなってしまった。

 イベントは、午前・午後の2部制で、選手のトークショー、サイン会、チームマスコットのアビーとビビーによるパフォーマンス等々、選手とのふれあいを中心に進行。午前の部には、篠田、中払、山下の3選手が顔を見せた。ファンからの質問コーナーでは、「試合中、疲れてしまったときはどうやって休んでいるんですか」という意地悪な質問も飛び出し選手たちが答に窮する場面も。そして、和気藹々とした雰囲気の中で選手とファンは交流を楽しんでいた。

 しかし、今シーズンの抱負になると、さすがに選手たちは真剣な表情で対応。例年以上に意欲的な中払は次のように語った。「今シーズンは、77年組がチームの中心になってアビスパを引っ張っていかなくちゃいけないという自覚も出てきた。引っ張っていかないと、これからのアビスパもないと思っている。今年は蛇年。蛇っていうのは脱皮して成長していくもの。僕も今年が脱皮の年だと思うし、今年はファンの皆さんに応えられるようなプレーと結果を残したい。是非、博多の森に来て僕たちに力を下さい」

 話題はいつしか今シーズンの目標に。ここでも中払は引き締まった表情で次のように語ってくれた。「優勝は目標ではなくて必ずやらなければならない使命。その使命を達成したいと思っています」。そして、「優勝を目指してがんばっています」(篠田)、「早く怪我を治してチームに貢献できるようにしたい。優勝をしたいと思います。ビール賭けをしたい」(山下)と残りの2人も発言。会場からは大きな拍手が巻き起こっていた。



 そして同じく4日、鳥栖市内のホテルでは「2001年 サガン鳥栖出陣式並びに激励会」が行なわれた。牟田秀敏鳥栖市長を始めとする行政関係者、地元商工会議所、各スポンサー、サガン鳥栖スタッフ・選手一同、そしてサポーターたちが一堂に会し、今シーズンの健闘を誓い合った。アビスパ福岡同様、昨シーズンはクラブ史上最高順位となる成績を収めたサガン鳥栖。今年の目標は、もちろんその成績を上回ることだ。

 壇上に立った高祖監督は、「44試合、長いシーズンですけれど、選手一同、心を一つにして、ひとつでも順位を上げられるよう、日々精進してがんばりたい」と発言。選手代表のキャプテン川前も「昨年はサガン鳥栖発足以来、一番いい成績を残すことが出来ました。しかし、選手たちはその成績に満足していない。今年はそれ以上の成績を残せるよう精一杯戦っていきたいと思う。今年も声援をよろしくお願いします」と力強く宣言した。

 そんなチームを支える支援体制も万全だ。牟田秀敏鳥栖市長は「チームの理念である、夢つくり、町つくり、人つくりは鳥栖市の目指すところと一緒。サガン鳥栖への支援は惜しまない」と支援を約束。そして、今シーズンからユニフォームスポンサーとなったアサヒ緑健(株)の古賀良太社長は「サッカーは企業と、選手と監督、そして行政が一体とならなければいけない。それにサポーターの熱い支援が必要。我々も精一杯頑張るので、選手たちも頑張って欲しい」と熱いエールを送っていた。

 この日、出陣式に先立って行なわれた本田FCとのトレーニングマッチでは、GKのミスから0−1で敗れたサガン鳥栖。しかし、先週のトレーニングマッチとは比較にならないほど動きは良く、ピッチを広く使って攻撃を組み立てるという意図が十分に感じられた。課題はボランチ。この日も新加入の鈴木が90分間ボランチとして出場したが十分機能することは出来なかった。三原の抜けたこのポジションを誰が埋めるのか。それがシーズンを戦う上でのポイントになりそうだ。



 シーズン開幕に向けて緊張感を高める選手たち。そして、取材する側の私たちも、選手同様、緊張感が高まってくる。この日のために準備してきたものを全て表現しようとしてピッチの上を走る選手たちのプレー振りを正確に伝えられるのか。スタジアムの興奮を文字で的確に表せるのか。芸能ニュースのような記事ではなく、サッカーそのものの本質を伝えることが出来るのか。選手たちが真剣であればあるほど、私たちメディアの使命も重みを増してくる。

 まして2001年はW杯を来年に控えた大事な年。今年の頑張りが来年のW杯の成功につながっていく。頑張らなくてはいけないのは選手たちだけではない。多くのサッカーファンに情報を伝えるメディアの一員としての責任も、また大きいものなのだ。アビスパ福岡も、サガン鳥栖も、きっと全ての力を出して戦ってくれるはず。それならば、我々も技量を上げ、1人でも多くの人たちにサッカーの面白さを伝えていく義務がある。身を引き締めなければ成らないのは当然のことだ。

 さて、いよいよ明日、2001年シーズンが開幕する。どんなシーズンになるのか、そしてどんな結果が待っているのか、それは神のみぞ知るだ。あとは結果を信じて、全ての力を出すことだけ。この日に備えて100%満足のいく準備が出来たとは断言できないかもしれない。しかし、そんなことを悔やんでも始まらない。問題はどうやってベストパフォーマンスを発揮するかと言うことだけ。相手は関係ない。自分の力を信じて戦うだけだ。

 「MAS JUNTOS,PODEMOS MAS!(マス フントス ポデモス マス)」。日本語で「もっと一丸となれば、もっとやれる」というスローガンを掲げたアビスパ福岡。「We Fight with Supporters(サポーターとともに戦う)」と宣言したサガン鳥栖。彼らは今年も旋風を巻き起こしてくれるはず。ならば我々も、どこまでも彼らを追いかけてみようではないか。サッカーが与えてくれる感動を求めて。



※このレポートは「online magazine yahoo 2002CLUB」、ならびに「online magazine ISIZE 2002CLUB」に掲載されたものです。
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