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 福岡通信 03/10/18 (土) <前へ次へindexへ>

 目指せ大学チャンピオン 第18回九州大学リーグ


 文/中倉一志
 九州大学チャンピオンの座と全国大会への出場権を賭けて戦う第18回九州大学サッカーリーグ。今年も九州各地で熱い戦いが繰り広げられている。九州の雄「福岡大学(以下、福大)」を中心に優勝争いが展開されるのは例年どおりだが、上位チームも年々レベルアップしており、優勝争いを含めた上位チームのせめぎあいが最終節までもつれ込むのも年中行事になった。今年はスケジュールが合わず思うように観戦できずにいたが、優勝争いが佳境に入った第7節(10/12)、博多の森補助競技場に足を運んだ。

 まず試合の様子をレポートする前に、第6節までを状況を紹介しておこう。第6節を終えて首位に立つのは福大。ここまで6戦全勝、23得点3失点と文句のない戦い振りを見せている。大分トリニータの特別指定選手で、今年のユニバーシアードの中心メンバーであった田代と、同じくユニバ代表GKの杉山がを中心に攻守のバランスの取れたチームだ。夏に行われた第27回総理大臣杯では準決勝進出を果たすなど、その実力は申し分ない。

 しかし、その福大とて磐石とは言い切れない。天皇杯福岡県予選を兼ねた福岡県サッカー選手権の決勝戦では福岡教育大学(以下、福教大)の前にVゴールで敗れ、2年連続して天皇杯への道を絶たれた。田代、杉山がユニバーシアード出場のため欠場していたという事情もあるが、実力が上とはいっても、その差は大きくはない。残念なのは優勝争いの対抗と見られていた福教大が3勝3敗と元気がないこと。本来の力を発揮すれば十分に優勝を狙えるのだが、すでに優勝争いから脱落してしまった。

 さて、福大を追うのは日本文理大学(以下、文理大)、鹿屋体育大学(以下、鹿屋体大)、第一経済大学(以下、一経大)の3チーム。順に5勝1分、4勝2分、3勝3分といずれもまだ負けがない。しかも、福大は残り3試合をこの3チームと戦うスケジュール。一経大との勝ち点6差は決して安全圏ではない。また、文理大と鹿屋体大は互いの直接対決のほか、天皇杯福岡県代表の福教大との対戦をそれぞれ残す。優勝争いの行方は混沌としている。



 博多の森補助競技場の第1試合では福大と一経大が対戦した。一経大のフォーメーションは4−4−2。チームの特徴はスピードを活かした縦への突破だ。ボールを奪うとロングレンジのディアゴナルパスをサイドへ展開、ライン際の高い位置に張るMFを走らせてチャンスを作る。中盤では手間をかけない縦に速いチームだ。対する福大も4−4−2。ターゲットマンの田代にボールを集めて、そこを起点に両サイドへ展開するのが伝統のパターン。田代の周りを衛星のように動く高橋がスペースへ飛び出してゴールを狙う。

 優勝争いに踏みとどまるには勝ち点3が最低条件の一経大は、ハーフウェイライン、やや手前からコンパクトなゾーンを形成。福大が中に入ってくるところを待ち受けて激しくプレスをかける。そして、こぼれたところを素早く縦へ蹴りだしてカウンターを狙う。序盤はこの作戦が効を奏した。そして7分、福大の一瞬の隙をついて田尻が先制のゴールを決める。狙い通りの形から生まれたゴールだ。

 その後も、徹底して中盤で厳しいマークを繰り返し福大の自由を奪う一経大。15分に同点ゴールを浴びたものの、試合は、しつこくボールについて相手をフリーにしない一経大のリズム。しつように左サイドから攻めあがろうとする福大に対し、これを右SBの成瀬とボランチの赤塚が徹底カバー。福大にチャンスを与えない。試合は一経大の狙い通りに進んでいた。しかし、前半のロスタイム、一経大には悔やみきれないゴールが生まれる。

 福大陣内の左サイドの攻防、福大がクリアするようにボールを蹴りだすと、ラインを上げていた一経大の裏へボールがこぼれる。そこへ田代が絶妙のタイミングで飛び出した。GKと1対1になった田代が落ち着いてゴールに流し込む。さらに後半開始直後の30秒、福大の小井出がドリブルで勝負して最終ラインを突破。その折り返しを林が頭で押し込んだ。福大が初めてサイドを突破したシーン。しかし、そのチャンスを確実に点にするところはさすがだ。結局、この2点がものを言って福大が6連勝を飾った。



 第2試合は福教大と九州産業大学(以下、九産大)の対戦。前半は風上に立つ九産大のペースで試合が進む。しかし、それにしても福教大に元気がない。天皇杯福岡県予選の決勝で見せたリズミカルなパスワークは影を潜め、ボールに対する強い意欲も感じられない。流れままにプレーをしているような感じさえ受ける。それにプレーが細かすぎる。どんな場所からでもショートパスをつなごうというスタイルは、ややもすれば不用意なプレーにつながっている。

 九産大の先制ゴールは、そんな福教大の不用意なプレーから生まれた。28分、福教大がGKへバックパスを送る。余裕も十分、GKからのパスコースも確保されている安全なバックパスだった。しかし、GKはフィードするわけでもなく、近くの選手につなぐでもなく不用意に足でキープした。そこへプレスをかける九産大。パスコースも余裕もなくしたGKが闇雲に蹴ったボールが九産大へ。そこから展開されて前田にゴールを奪われた。

 試合自体は互角の展開。互いに思うようにパスをつなげず、中盤でのつぶしあいに終始するストレスのたまるゲームだった。しかし、両チームを大きく分けたものは、必要以上に細かくつなぐことに執着する姿勢と、できるだけシンプルにボールを運ぼうとする姿勢の違いだった。優勝候補に挙げられながら早々と3敗し、優勝戦線から脱落した福教大のモチベーションが低かったことも原因だったかもしれない。九産大が2点目を奪ったのも、当然の流れだった。

 2点を追う福教大は後半に入ると3バックに変更。前の人数を増やして攻撃に出る。しかし、やはり細かくつなぎすぎては攻めきれず、シンプルにボールを展開する九産大にカウンターを浴びる。それでも60分を境に福教大がリズムを作り始めたが、2点のリードで余裕のある九産大はバランスを崩さない。そして72分、九産大の右サイドからのクロスボールを桑名が足元へぴたりとコントロール。素早く振り向いて駄目押しの3点目を挙げた。



 翌13日には第7節の残り3試合が行われた。博多の森補助競技場では長崎大学(以下、長崎大)と九州共立大学(以下、九共大)が対戦。双方、点を取り合う激しい戦いは5−3で九共大が制した。鹿屋体大グラウンドで行われた注目の一戦、鹿屋体大と文理大の直接対決は、互いに一歩も譲らず0−0のドロー。また、同会場の第2試合では鹿児島大学が熊本大学を3−0で下し、リーグ戦初勝利を挙げた。

 第7節を終えての順位表は以下の通り。優勝の可能性を残すのは、福大、文理大、鹿屋体大の3チーム。福大は第9節の文理大戦に引き分け以上ならば優勝が決まる。文理大は2連勝、鹿屋体大は2連勝かつ文理大が福大に勝つことが条件になる。数字の上では圧倒的に福大が有利。しかし、優勝の決定が最終節まで持ち越されるようだと福大のアドバンテージは消える。第8節の福大と文理大の対戦が今シーズン最も注目される試合になる。

勝点 得点 失点
福大 21 26 22
文理大 17 30 23
鹿屋体大 15 20 16
九産大 13 12
一経大 12 13
福教大 14 12
九共大 13 26 -13
鹿児島大 21 -13
熊本大 26 -21
長崎大 33 -29
 夏の総理大臣杯で3位に入賞した福大にとって、真の王者の証であるリーグ戦チャンピオンの座は譲れないところ。昨年は鹿屋体大、福教大に遅れを取ってリーグ戦では3位。今年の天皇杯福岡県予選では福教大に敗れている。その雪辱を晴らすためにも全精力を上げて臨んでくるはずだ。一方の文理大は、昨年、一昨年と終盤まで優勝争いに加わりながら、勝負どころの上位との戦いを落として悔しい思いを重ねた。今年は3度目の正直。念願の九州チャンピオンの座に対する思いはどのチームよりも強い。

 全国大会出場権が与えられるのは上位4チームまで。既に福大と文理大の4位以内が決まっており、残る2つの枠を鹿屋体大、九産大、一経大、福教大の4チームで争うことになる。また、1部残留争いも大混戦。下位2チームが自動降格することになるが、2試合を残して九州共立大、鹿児島大、熊本大、長崎大の4チームが勝ち点6差の中にひしめき合っている。どのチームも負けることが許されないリーグ戦。熱い戦いは続く。
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