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 スペインからの風 03/09/30 (火) <前へ次へindexへ>

 バレンシア、最強軍団に黒星をつける


 文/中島泰介(アリカンテ在住)
リガ・エスパニョーラ第5節 バレンシアvs.レアル・マドリード
9月27日(土)21:30キックオフ メスタージャ・スタジアム(バレンシア)


 リガ・エスパニョーラでもチャンピオンズ・リーグでも破壊的な攻撃力を見せ付けているレアル・マドリードを第5節にバレンシアはホームに迎えた。この2チームは因縁を持っている。いや、一方的にバレンシアがレアル・マドリードに敵意を抱いていると言ったほうが正確だろう。この敵意というのは、1996年にレアル・マドリードが当時のバレンシアのスター、ミヤトビッチを獲得したときに始まった。

 ミヤトビッチの次はメンディエタ。獲得はしなかったものの、またもバレンシアの中心的プレーヤーにマドリードが興味を示したことをバレンシアのファンは挑発的行為と感じたのだろう。結局メンディエタに対して、クラブは"レアル・マドリード以外のクラブ"ならどこでも移籍しても良いと許可を出し、メンディエタはイタリアのラツィオへ渡った。

 そして今回はアジャラ。同じアルゼンチン人DFミリトの獲得を断念した後、バルサやマドリードなどのビッグクラブへの移籍希望を公言していたアジャラにマドリードは近づいた。これも結局は実現しなかったが、アジャラとバレンシアの関係はこじれ、真偽は定かではないが、アジャラは負傷により今シーズンまだ一試合も出場していない。しかし、この試合の前日ついにバレンシアとの2007年までの契約更新にサインした。バレンシアのファンはレアル・マドリードだけではなく、移籍したがったアジャラに対しても大きな不快を抱いた。信頼関係を取り戻すには少し時間がかかるだろう。

 前回レアル・マドリードをメスタージャに迎えたときは、スタジアムに向かうチームバスに対して、これを待っていた多くのバレンシアファンが度を越した挑発的行為を繰り返した。今回レアル・マドリードは、自チームバスがホテルからスタジアムへ通る道からはファンを遠ざけるようにバレンシアに依頼している。バレンシア地区最大のレアル・マドリードのサポーターズクラブは、前回バレンシアファンから受けた耐え難い不快な経験から、今日の試合に応援に行かないことを決定したと9月25日付けAS紙にインタビューで述べている。近年メスタージャへ行くのはカンプ・ノウへ行くより大変なことであるという、他のサポーターズクラブ会長のコメントも載っていた。



 残念なことに、負傷によりエースでキャプテンのラウールがバレンシアには来ていない。代わりにスターターにはトップ下にグティが入る。そしてバレンシア遠征メンバーで注目されたのが、カンテラ出身のフラード。今年のU-17世界選手権で準優勝を飾ったスペインの中心選手であり、17歳でありながらすでにマドリードBチームでは不動の地位を築いている。出場は難しいだろうが、ぜひ見てみたい選手だ。

 バレンシアもマドリードに十分対抗できる戦力を持っている。何と言ってもバレンシアで最も注目すべきはアルゼンチン代表アイマール。前節も3得点全てに絡む活躍を見せた。アルゼンチンの全国紙"クラリン"で先日行われた読者投票で、現在最も優れたアルゼンチンプレーヤーに堂々と選ばれている。ロナウド、ジダン、ベッカムなどのスターとアイマール、そしてスペイン代表のバラハ、ビセンテが技と勝負を競い合う。

 今回レアル・マドリードは何の問題もなくスタジアムへ到着したようだ。しかしスタジアムでは、バレンシアのファンにレアル・マドリードの入場を凄まじいブーイングで向かえられ、そしてバレンシアの入場時には無数の紙吹雪がピッチに舞い降りた。



 開始5分、いきなり試合が動く。中央アイマールが右サイドのホルへ・ロペスへボールをはたき、ホルへ・ロペスが二アサイドに絶妙なクロスボールを配給する。前節アトレティコ戦で2ゴールを決めオリベイラからスタメンを奪ったミスタが、マドリードGKカシージャスの前でボールに触りネットを揺らす。いきなりのゴールに観客はやくも総立ち。"ゴーーール、ゴーール、ゴール、ゴール!ゴル!ゴル!ゴルゴルゴル!!!・・・"の場内アナウンスに観客も合わせてコールをしたり手拍子をし、試合のボルテージを上げる。過去レアル・マドリードBに所属し、トップチームでの出場の機会をもらうことができなかったミスタにとって、このゴールは復讐のゴールとも言える。因縁の対決にふさわしい選手のゴールで試合が始まった。

 8分、またも似た形でアイマールからホルへ・ロペスへボールが渡りクロスボールが入るがボールにあわせることができなかった。大観衆に後押しされ、これ以降も何度が右サイドを中心にレアル・マドリードに襲い掛かる。マドリードの最初のチャンスは15分。ペナルティ・エリアの手前で審判の笛が吹かれたと勘違いしたのかバレンシアの選手のプレーが止まり、そのスキをついてフィーゴがシュート。このプレーで得たコーナーキックをジダンがヘディングで上手く合わせたがカニサレスのセーブに阻まれた。

 しかしこの後マドリードに試合が傾くことはなく、アイマールを中心にバレンシアがゲームを支配し続ける。29分そのアイマールが負傷によりピッチを退きオリベイラがピッチへ入る。バレンシア攻撃の要がいなくなってもマドリードはリズムをつかむことができず、前半が終了した。



 後半もマドリードが目立つことはなかった。ロナウドにはほとんどボールが渡ることがなく、その存在すらわからない。バレンシアは中盤の底バラハとアルベルダが攻守に活躍。そしてビセンテ、ホルへ・ロペスの両翼が積極的に攻撃参加。1点リードの後も攻撃を続けるバレンシアに追加点が生まれたのは71分。右サイドからのボールからのシュートをカシージャスがセーブ、こぼれ球をバラハがシュートするがこれもカシージャスがストップ。しかし3度目の正直。カシージャスがはじいたボールを近距離から豪快にオリベイラが蹴りこんだ。スタメンを外れてしまったオリベイラの意地のゴールだ。

 その後もレアル・マドリードは全く元気がない。ロナウド、ベッカム、ジダン・・・どこにいったのか??スター達はほとんど輝くことなく、バレンシアのフットボールショーとも言えるような試合は終了した。沸きに沸くバレンシアファンの中、レアル・マドリードはピッチを去っていった。

 勿論マドリード、そしてまだファンからの十分な信頼を得られてないケイロス監督には非難集中。翌日のAS紙のタイトル"Resaca Galactica"−「銀河チーム(スター軍団のレアル・マドリードをこう呼ぶ)の二日酔い」−は強烈だ。たとえレアル・マドリードでもこういった日はあるのだろう。しかし勿論この日のようなプレーをすれば非難されるし、レアル・マドリードも十分そのことは承知だ。気持ちを切り替え、チャンピオンズ・リーグのポルト戦に望む。



 一方バレンシアにとっては完璧な勝利。ラファ・ベニテス監督は結果以上に内容に満足し、チームを手放しで褒めている。2位のレアル・マドリードを下した上、首位のデポルが敗戦を喫したため代わってバレンシアは首位に立った。次節はもう一つの名門FCバルセロナとアウェーで対戦。バルサは開幕からまだ本調子ではなくフラストレーションのたまる試合を続けている。バレンシアは今日のような調子で望めばアウェーでも十分勝ち点3を取る可能性があるはずだ。


(バレンシアCF) (レアル・マドリードCF)
GK: カニサレス GK: カシージャス
DF: クロ・トーレス、マルチェナ、ダビッ・ナバロ、カルボーニ DF: ミチェル・サルガド、パボン、ラウル・ブラボ、ロベルト・カルロス
MF: アルベルダ(86分/シソコ)、バラハ、ホルへ・ロペス、アイマール(29分オリベイラ)、ビセンテ MF: ベッカム、カンビアッソ(73分/ソラリ)、フィーゴ、グティ(55分/ポルティージョ)ジダン
FW: ミスタ(70分/ルフェテ) FW: ロナウド
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