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 頑張れ!女子サッカー 03/08/06 (水) <前へ次へindexへ>
 田崎、高槻との首位決戦を制す

 田崎、高槻も撃破し、7連勝で上位リーグ一番乗り!


 取材・文/西森彰
第15回Lリーグ一次リーグ 西日本リーグ第6節 スペランツァF.C.高槻vs.田崎ペルーレFC
2003年8月3日(日)12:00キックオフ 上野市運動公園競技場 観衆:100人 天候:晴
試合結果/スペランツァF.C.高槻1−5田崎ペルーレFC(前0−1、後1−4)
得点経過/[田崎]甲斐(18分)、磯崎(51分)、大谷(58分)、山本(64分)、[高槻]久山(66分)、[田崎]渡辺(72分)


 国立霞ヶ丘陸上競技場で行われたメキシコとのワールドカップ・プレーオフはひとつのターニングポイントになったのだろうか。女子サッカーというカテゴリーに対する注目度が僅かに右肩上がりになってきたようにも見える。これまで女子サッカーを見たことがなかったという新規ファンの方から、Lリーグの日程について質問があったので、そのレギュレーションをここで整理しておきたい。



 2003年度のLリーグはまず東日本リーグ7チームと西日本リーグ6チームに分かれて総当たり2回戦を戦い、東西それぞれの上位3チームずつが上位リーグへ、残った東4チームと西3チームが下位リーグへ進む。上位リーグに進んだ東3、西3の合計6クラブはそれぞれ2回戦総当たりのリーグ戦を戦い、シーズンチャンピオンを決定する。

 リーグ戦を2ステージ化することは、逆転の要素を取り込んで興味を増すという興行的な部分よりも、むしろ東西に分化することで移動距離を減らし、選手・クラブへの負担を減少させるという意味合いが大きい。ただし、トップレベルのチーム同士の対戦が極端に少ないことの弊害は、レベルアップの見地から捨て置けないということで、来シーズンからはJリーグと同じ全国統一の2部制が敷かれることになっている。

 現在13あるLリーグのクラブのうち、来年1部に残れるのは僅かに8。下位リーグで低調な成績に終わった5つのクラブには「L2からの再スタート」という実質的な降格処分が待っている。上位リーグに進出するということは、覇権を争う権利を得るとともに、来年のL1リーグへの参加が確定するということ。各クラブがこの東西の予選リーグから、大きなものを背負って戦っていることがお分かりいただけるだろうか。



 この日、上野市運動公園競技場で開催された西日本リーグ第6節の2試合は、上位リーグ進出に可能性を残すクラブ同士のマッチアップとなった。第1試合が現在1位の田崎ペルーレFCと2位のスペランツァF.C.高槻。第2試合が伊賀FCくの一と宝塚バニーズレディースSC。ここまで勝ち点上位の4チームによる対戦である。湯郷Belleを含めて、日本女子代表の上田栄治監督がスタンドに姿を現したことでも、その注目度の高さが分かる。

 ここまで6連勝と破竹の勢いを誇る田崎ペルーレFC。この試合で引き分け以上の結果を残すと、東西通じて今シーズン初の上位リーグ進出が決まる。しかし、田崎の川上直子キャプテンがチームの目標として高らかに謳うのは「全勝優勝」。この頂上決戦もすっきりと勝って、上位リーグへ名乗りをあげたい。

 スペランツァ高槻も1試合多く消化しているが勝ち点16の2位。田崎とは勝ち点2差で、この試合に勝てば暫定的に首位に立つ。元日本女子代表・高倉麻子のLリーグ出場200試合を良い結果で飾りたいはずだが、チーム事情もあってサブメンバーがひとりしかベンチ入りしていない。見ているだけで汗が滴り落ちる酷暑の下ではこれは大きなビハインドだろう。



 田崎は大谷未央と鈴木智子が前線に並ぶ3−5−2、高槻は久山暖香の周りを阪口夢穂が衛星のように動き回る4−5−1気味のシステム。キックオフをとった田崎だが、高槻が素晴らしい立ち上がりを見せる。まず4分、中央から右サイドを駆け上がった鳥越恵にボールが送られ、逆サイドから中央に走りこんだ相澤舞衣がフリーでヘディングシュートを放つ。9分にも鳥越のクロスを阪口があわせ、12分には相手DFラインの乱れに乗じて小野村亜矢がシュートと開始10分は完全に高槻のゲーム。

 ペース配分を考えずに激しい戦いを見せる高槻に戸惑いを見せた田崎だったが、10分を過ぎる頃からようやく地力を発揮しはじめる。一方的に押し込まれた展開を挽回するため、まず相手DFラインの裏にボールを入れ、大谷未央、土橋優貴が狙う。これは一時的に失地を挽回するとともに、高槻の選手たちのスタミナを少しずつ奪う。のらりくらりとペースをものにした田崎は、18分、右からのコーナーキックを大谷未央が頭でつなぎ、セットプレーに備えて前線に進出していた甲斐潤子が詰めて先制した。

 自分たちのペースで始まった試合で喫した失点。高槻のダメージは小さくなかったはずだが、ディフェンス陣が、中鍋美里の読みの良いカバーリングを軸に追加点を許さず、一方的なゲームになることを許さない。中盤から前の選手も守備をサボらず、32分に小野村、ロスタイムには高倉が、シュートレンジでボールを奪い、田崎のゴールを脅かす。前半を終えて1−0。ハーフタイムの時点では、まだ逆転の目が残っていた。



 しかし、厳しい気象条件下で選手層の差が結果を左右した。高槻が唯一のカードを切りきれないのに対し、田崎は前半から鈴木智子を渡辺千尋に、ハーフタイムにも土橋を柳田美幸に代える。前線、そしてサイドのプレイヤーを極限まで使って相手DFと刺し違えさせ、そこに新手を送り込む。後半、田崎の2トップと両サイドの4枚で変わらないのは大谷だけ。抑え気味にプレーしていた川上が右、左の柳田、大谷と並ぶ渡辺は途中出場である。

 後半開始からしばらくは高槻も田崎の攻撃を支えたが、トップ下に移った山本のスルーから大谷という展開で奪ったコーナーキックから、再びディフェンダーの磯崎浩美が高さを見せつけて2点目を奪われると心が折れてしまった。12分、右サイドから裏に抜けた山本が、中央で待ち受ける大谷にあわせて3点目、そして19分には逆に山本が右から折り返し、ゴール正面の山本が決めて4点目。

 高槻も66分、高校生ストライカーの久山が、GKの頭越しにミドルシュートを決めて1点を返したが、そこまでが精いっぱい。72分にも高槻の守備を完全に崩した田崎がゴール前で左右に振って、最後は早坂優のパスを渡辺千尋が決めて5点目。交代選手を有効な攻め手として活用した仲井昇監督の好采配もあって、田崎が開幕戦と同じスコアで高槻を浴びせ倒した。



 7連勝で上位リーグ一番乗りを飾った田崎は「向かうところ敵なし」の状況が続く。この日のスタジアムでは他チームの関係者からも「西日本では正直、田崎のレベルが違うから…」という嘆息も漏れていた。しかし、本当の正念場は上位リーグに入ってから。ここ数年、上位リーグで煮え湯を飲まされ続けている日テレ・ベレーザに借りを返すまで、取りこぼしは許されない。

 一方敗れた高槻は、控え選手の人数差が致命的だった。それでも前線から最後方まで全員がサボらずに頑張る、観戦していて非常に気持ちの良い戦いぶりを見せてくれた。残り2試合は伊賀、湯郷という上位リーグ入りを賭けて鎬を削るライバルが相手。どちらか1勝した時点で上位リーグに勝ち抜けが決定する。試合後にファンから花束を受け取っていた日本女子代表の元エースに、チームからも上位リーグ進出をプレゼントしたいところだ。


(スペランツァF.C.高槻) (田崎ペルーレFC)
GK 轟奈都子 GK 大西めぐみ
DF 鳥越恵、奥田亜希子、中鍋美里、上辻佑実 DF 磯崎浩美、甲斐潤子、佐野弘子
MF 小野村亜矢、松田望、高倉麻子、相澤舞衣、阪口夢穂(76分/吉野波) MF 土橋優貴(46分/柳田美幸)、川上直子(66分/早坂優)、白鳥綾、山本絵美、新甫まどか
FW 久山暖香 FW 大谷未央、鈴木智子(23分/渡辺千尋)
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