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 頑張れ!女子サッカー 03/09/30 (火) <前へ次へindexへ>

 健闘するも今一歩及ばず。ベスト8を前にして日本女子代表が大会から姿を消す。


 文/大内孝彦
FIFA女子ワールドカップ USA2003 グループC カナダ女子代表vs.日本女子代表
2003年9月27日(土)15:30キックオフ フォックスボロ・ボストン・ジレット・スタジアム
試合結果/カナダ女子代表3−1日本女子代表(前1−1、後2−0)
得点経過/[日本]沢穂希(20分)、[ドイツ]ラーサム(36分)、シンクレア(49分)、ラング(72分)


 7月12日の国立でのメキシコとのプレーオフ第2戦を制して、第4回女子ワールドカップ・アメリカ大会の16枚目の切符を手にした日本代表。そのアメリカ大会では、ここまで2試合を終えて1勝1敗。このカナダとの第3戦に勝つか引分けであるならば2ndラウンドへと進出となる。
 過去の日本とカナダの対戦成績を見てみると、日本の2勝2分1敗という成績が残っている。一番最近の対戦は2002年にフランスで行われた4ヶ国対抗戦であるのだが、その時は3−2で日本が勝利している。また、FIFAランキングを見てみると、カナダの12位に対して日本は14位。実力は接近しており、日本にも勝機が十分にあると見て良い相手である。

 両チームのベスト8進出を賭けての試合は15:30にキックオフ。
 まず7分。日本は大谷が沢とのコンビネーションでカナダのDFラインの裏を狙うのだが、飛び出しのタイミングが一歩早く、これはオフサイド。
 この試合も日本はいつも通り、ショートパスをつなげての両サイドからの攻撃を展開。加えて、カナダのDFラインの裏を狙った攻撃も試みる。対するカナダは、ロングボールを中心にした攻撃と前線からの厳しいチェックを見せる。しかし日本にとって何よりも脅威なのはその体格差である。この日の両チームの先発11人の平均身長を比較すると、日本が161センチであるの対してカナダは173センチと実に12センチもの開きがある。



 その体格差の怖さを感じさせたのが17分のカナダの攻撃。右サイドのティムコからゴール前のラーサムへ合わせただけの単純な攻撃であるのだが、これだけの身長差があると実に効果的である。このヘディングシュートは磯崎が競っていたこともあって枠を外れたのだが、その打点は頭一つ抜けていた。
 しかし、先制点を挙げたのは日本であった。20分。川上からのフィードを受けた小林が右サイドをドリブルで突破。そして深くえぐってからセンタリング。ニアの大谷には合わなかったものの、ファーサイドで沢がフリーで待ち受けていた。そして沢のシュートがワンバウンドしてゴールネットを揺らした。

 この得点以降、日本が試合の主導権を握ることになる。ショートパスをつないでの攻撃も軽快で、さらには相手ボールの時の守備も確実に数的優位の状況を作り出して安定。34分には、宮本が相手DFラインの裏を衝いたボールに小林が反応。そして相手GKが飛び出しているのを見計らって右足のループシュートを放つ。決定的ともいえる場面だったが、このシュートは惜しくもポストの右へと外れてしまう。

 だが、この好調も長くは続かなかった。36分、シンクレアからのパスを受けたラーサムが山岸と競り合いながら左足を伸ばして放ったシュートがゴールに突き刺さってしまったのである。この場面だが、二人の競り合いは山岸が上手く体を入れており、通常ならば山岸が制している状況である。普通であればGK山郷がボールを押さえて問題無く処理できていたはずだ。しかし、身長177センチと山岸より14センチ高いラーサムだけに、届かないはずのボールに足が届いてしまったのだ。
 この得点で試合は互角の展開となる。そしてこの後、双方に何度かチャンスはあったものの得点にはつながらず、前半は1−1のまま終了。



 後半。開始直後から、カナダが日本へと襲い掛かる。まず47分、右サイドからのセンタリングを捕球しようとした山郷とヘディングを狙ったラーサムが交錯。ボールはゴールに入ったのだが、ラーサムのチャージがファウルと判定されて得点とはならず。
 こうして日本が難を逃れた直後の49分。コーナーキックからシンクレアにヘディングシュートを決められて、カナダに勝ち越し点を許してしまったのである。これで日本がベスト8に進むには1点を取り返して同点とすることが必要になってしまった。

 追いかける日本は、54分に荒川、62分には柳田とドイツ戦で試合の流れを変えた2人を投入。しかし、リードしたことにより守備の意識を強くしたカナダのディフェンスをなかなか崩すには至らない。66分、カナダ陣内に攻め上がった宮本から相手DFラインの背後を衝くクロスが入る。これに飛び込んだ大谷が見事なダイビングヘッド。シュートはゴールに突き刺さり、日本が同点に追いついたように見えたのだが、無情にも線審からフラッグが上がる。非常に微妙ではあったのだが、大谷の飛び出しがオフサイドと判定されて同点ならず。

 この後、しばらく一進一退の攻防が続く。しかし72分に決定的ともいえる得点がカナダに入ってしまう。左サイドで磯崎のマークを受けていたラングが放ったシュートが山郷の頭上をループ気味に越してゴールに入ってしまったのだ。Lリーグの試合でも偶に決まることがある「GKがジャンプしても届かないシュート」がこの場面で決まってしまった。
 この後も日本は試合をあきらめずにカナダのゴールへと攻めかかる。しかし、以前にLリーグでも活躍していた35歳のフーパーをはじめとする、カナダのディフェンスを崩すことはできず。試合はそのまま3−1で終了した。

 こうして、日本女子代表は1stラウンドを1勝2敗で終了。グループCの3位となり、2大会ぶりのベスト8進出には一歩及ばなかった。第4回女子ワールドカップ・アメリカ大会の舞台から日本代表は姿を消した。



 残念な結果に終わってしまった今大会だが、試合内容を見る限りでは選手は自分達の持てる力を十分に発揮したと言って良いであろう。力を出し切っての敗戦は辛いものであろうが、出し切らずに敗れるよりはマシである。

 当然、問題点が無かったわけでは無い。だが、それは選手個々の問題というよりは、これから日本協会も含めて改善していかねばならない部分が大半ではないだろうか。代表選手に限らず、日本では女子がサッカーをプレー出来る場所は極めて制限されている。かろうじて小学校年代では男子と一緒にプレーできるものの、中学校以降はプレーできる環境を探すことさえ困難が伴う。

 一部の情熱を持った指導者と、サッカーを愛してやまない選手たちで支えてきた女子サッカー界。そういう観点から言えば、W杯への4大会連続出場は快挙といっても言い過ぎではない。しかし、情熱を持った人たちだけで支えていくには限度がある。トップレベルの競技環境を整備することも急務だろう。しかし、女子がサッカーをする環境を広く整えることが最も求められている。土台のない建物はいずれ崩壊する運命にある。女子サッカーの強化を公言する川淵キャプテンの実行力に期待したい。

 ともあれ今は、日本代表の選手達にねぎらいの言葉を伝えるとともに、その健闘を称えたい。


(カナダ女子代表) (日本女子代表)
GK: スウィアテク GK: 山郷のぞみ
DF: ティムコ、フーパー、ノネン、デニス DF: 磯崎浩美、大部由美、山岸靖代
MF: モルノー、マシスン、ラング(85分/ウィルキンソン) MF: 川上直子、宮本ともみ、酒井與惠(62分/柳田美幸)、山本絵美(89分/宮間あや)
FW: ラーサム(60分/バーティーニ)、シンクレア、ニール(77分/キス) FW: 小林弥生(54分/荒川恵理子)、大谷未央、沢穂希
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