本領発揮。伊賀FCくの一がさいたまレイナスを一蹴！ 　取材・文／大内孝彦

第15回Ｌリーグ決勝リーグ　上位リーグ第３節　伊賀FCくノ一vs.さいたまレイナスFC

2003年11月２日（日）11:30キックオフ　上野市運動公園競技場　天候：曇のち雨
試合結果／伊賀FCくノ一２−０さいたまレイナスFC（前０−０、後２−０）
得点経過／［伊賀］堤早希（74分）　原歩（89分）


　2003年のＬ・リーグ上位リーグも第３節。そろそろ各チームの力関係が見えてくる頃だ。この試合は、西日本リーグを２位で通過した伊賀FCくノ一が、ホームにさいたまレイナスを迎えての試合である。

　さいたまレイナスは、Ｌ・リーグに参加して５年目のチーム。東日本リーグはYKKに次いで２位の成績で通過している。ちなみに上位リーグに進出したYKK、ベレーザとは４試合戦って全て引き分けとしている。年々力を蓄えてそろそろ侮れない存在となりつつあると言えそうである。なお、上位リーグはここまで１分１敗。伊賀とは昨年の上位リーグでは１勝１敗の成績であり、この試合に勝って今年の上位リーグの初白星としたいところであろう。

　対する伊賀は、現在１勝１敗の成績。ここ数年、上位リーグでは不本意な成績が続いており、特に昨年、一昨年と上位リーグでは２年連続して４チーム中４位という成績に終わっている。今年行われた女子ワールドカップにも３選手を送り込み、他にも日本代表の経験者を多く抱えていることからも分かる通り、戦力が極端に劣っているわけではない。それだけに、今年こそは好成績を残してベレーザと田崎という２強の間に割り込みたいところである。

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この試合の後に、東海社会人リーグの試合が行われることもあって、この試合は11:30という早い時間にキックオフ。
　立ち上がり、レイナスは伊賀に対して厳しいマークを仕掛けて試合のペースを握る。パスを思うように回せない伊賀は両サイドを有効に使うことが出来ず、どうしても中へ、中へという攻撃となり、最後にはレイナスのディフェンスに押さえ込まれてしまうこととなる。おそらく、この辺りまでの内容はレイナスの理想に近いものであったろう。

　だが、試合が進むにつれて伊賀も徐々に巻き返し、35分を過ぎた辺りでは逆に伊賀が試合のペースを握ることになる。それでも、レイナスも43分には右サイドの片桐のシュートがゴールポストを直撃するといった惜しい場面を作り出すのだが、得点には結びつかない。結局、前半は両チームともに得点できずに、０−０で終了した。

　後半に入ると試合は完全に伊賀のペースで進むことになる。まずは54分。相手ボールを奪った左サイドの仁科がそのままドリブルで持ち上がり、シュートを放つが、これは右ポストを直撃して得点とはならず。そして65分を過ぎた辺りでは、疲労のためなのかレイナスの動きが極端に落ち、完全に伊賀の動きがレイナスの動きを凌駕する。

　こうして試合はほとんど伊賀の一方的ともいえる展開となってしまう。それでもレイナスはなんとかGK山郷を中心とした守備で得点だけは許さないものの、ほとんどチャンスを作ることができない。そして、74分。伊賀は原からのパスをペナルティエリア付近で受けた堤がほぼフリーの状態から強烈なシュートを放つ。日本代表の守護神でもある山郷も至近距離からのこのシュートは防ぐことができず、ついに伊賀に先制点が入った。

　こうなるともう伊賀の優勢は動かない。この後も再三レイナスのゴールへと迫り、何度もチャンスを作り出すことになる。ロスタイムには堤と交代で出場した小山が井坂のパスを受けて左サイドを突破。そこから入れたセンタリングにゴール前で原が頭で合わせて得点して２−０。伊賀が後半に見事なゴールで２点を挙げてレイナスに勝利した。

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　敗れたレイナスはこれで上位リーグを３試合戦って１分２敗。この試合を見る限りでは、やはり上位に食い込むには、まだ多少力不足というところであろうか。
　伊賀はこの勝利で上位リーグの成績を２勝１敗とした。次節は３連勝で首位に立つベレーザとの対戦である。戦力では大きな開きは無いだけに、なんとか勝利して優勝争いに踏みとどまりたいところである。