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 頑張れ!女子サッカー 03/12/22 (月) <前へ次へindexへ>
 優勝へ、そして初勝利へ。それぞれの思惑を秘めて戦う日テレと
 さいたま。

 さいたま、日テレに嬉しい初勝利。日テレは4連覇の夢潰える。


 取材・文/西森彰
第15回L・リーグ決勝リーグ 上位リーグ第10節 日テレ・ベレーザvs.さいたまレイナスFC
2003年12月21日(日)11:00キックオフ さいたまスタジアム2002 観衆:300人 天候:晴
試合結果/日テレ・ベレーザ2−3さいたまレイナスFC(前2−1、後0−2)
得点経過/[さいたま]片桐(2分)、[日テレ]大野(5分)、豊田(25分)、[さいたま]岩倉(68分)、高橋(81分)


 最終日の時点で0.01%くらいは優勝の可能性が残っている日テレ・ベレーザ。得失点差12の壁はとてつもなく分厚く高いが、とにかく自分たちができることを全てやるしかない。いつもの4−4−2を4−3−3に変えた日テレの宮村正志監督。昨年、今年と引分けには持ち込まれたが、これまで無敗のさいたまレイナスFCが相手。とにかく1点でも多くのゴールを奪って、次の試合につなげたい。

 それに対して、土曜日に行なわれた試合で、伊賀FCくノ一がスペランツァF.C.高槻を破ったことにより、L・リーグの3位から6位までは順位が確定した。勝っても4位、負けても4位。さいたまの選手・スタッフにとっては、高いモチベーションを保つには難しいゲームだったはずだ。こちらは岸一美が最前線で残る3−6−1だが、相手の3トップに対応するため、左サイドの赤星照美が引き気味に布陣する。



先制を許した日テレだが、豊田奈夕葉の逆転ゴールで夢をつなげる。
 早い時間帯のゴールラッシュで相手の戦意を喪失させたい日テレだったが、逆にその焦りをついたさいたまが先制点を奪う。試合開始1分の右コーナーキック。「今日の対戦相手である日テレ・ベレーザの小野寺選手は、L・リーグのゴールキーパーの中でも守備範囲が非常に広い選手。だから、彼女がキャッチに出られないニアサイド、そして速いボールを狙うように指示していた」(さいたま・田口禎則監督)。指揮官の狙いどおりに配球した高橋彩子と、きっちりあわせた片桐ひろみ。

 脳裏に描いていたプランを一瞬にして台無しにされた日テレだが、すぐに反撃。荒川恵理子、山口麻美にあわせようとした小林弥生のクロスが、さいたまDFのハンドを誘いPK奪取。これを大野忍が落ちついて決めて浅い時間帯でタイスコアに戻す。さらに、日テレはペナルティエリア内に次々とボールを運んでチャンスを演出。25分に左のコーナーキックから、豊田奈夕葉が頭であわせてゴールネットを揺らす。奇蹟の逆転優勝へスケジュールは修正されたかに見えた。

 しかし、ここから日本代表のゴールマウスを守る山郷のぞみが立ち塞がる。ペナルティエリア内を細かいパス交換やドリブルで崩して決定機を作る日テレだが、1対1のシーンを何度止められたのか。相手FWとの間合いを把握する能力が高く、僅かなコントロールミスを見逃さず、前に詰めてシュートコースを消す。山郷は、前半だけで3本、後半はそれ以上のゴールチャンスを日テレから奪った。



 決勝点となったレイナス高橋のFK
 ハーフタイムを迎えてもまだ1点差。それでも日テレは最後の努力を行なう。前半の接触プレーで負傷した小林を下げて、今年の新人王を受賞した近賀ゆかりを投入。前に向かう力を減退させることなく、残り45分間に賭ける。これだけ絶望的な状況下にありながら、リーグ4連覇を諦めない執念が痛いほどに伝わってくる。

 日テレにとって不幸だったのは、さいたまが最後まで試合を投げなかったことだ。「ウチはこれまで日テレに勝ったことがない。今日、勝たなかったら次は全日本女子(サッカー選手権)の決勝でしか当たれないんだよ。来年まで日テレとは戦えないんだよ。何時勝つの? 今日じゃないの?」。田口監督のかけた魔法によって、さいたまのイレブンは大きな目的を持ってピッチに舞い戻った。 

 一刻も早く、さいたまに白旗を揚げさせたい日テレ。そして日テレに優勝を諦めさせたいさいたま。後半に入ってからは、互いに相手の気持ちを折る戦いが続く。そして我慢比べに勝ったのはさいたまだった。68分、またもや右からのコーナーキック。高橋の蹴った速いボールがファーサイドに抜けたところを岩倉三恵がシュートし、同点。そして81分には中央で得たフリーキックを、高橋が壁越しのシュートで直接叩き込んで、日テレの夢を打ち砕いた。



 試合後、記者に囲まれた宮村監督は「サッカーだからこういうことはあるんだけれども・・・」と切り出した。「きちんと相手を崩して、良いサッカーを90分続けて、ゲームも完全に支配した。ただゴールだけが足りなかった。そして相手にセットプレーから3本やられて負け。点を取りにいったけれども、その中でもバランスは崩れていなかったし・・・」。指揮官にしてみれば、打つべき手を全て打っての敗戦。「ディス・イズ・フットボール」としか言いようがないゲームだったかもしれない。

 この敗戦によって田崎ペルーレFCの試合を待たずにシーズン2位を確定させられてしまった日テレ。その今シーズンの結果については「4連覇をしたかったし、優勝できなければ2位も3位も一緒。結果については悔しいです。敗因? 今日のゲームと同じように決定力不足の場面が多かったことでしょうか?」。記者から「次は昨年、悔しい負け方をした全日本ですね?」と質問が飛ぶと「そうですね。そこで勝ってこの悔しさを晴らしたいです」と年明けの雪辱を誓ってくれた。



 一方、5年越しでの日テレ戦初勝利を挙げたさいたまは気分良く年を越せるはずだ。「日テレ戦はいつも押し込まれるので、そこで粘り強くディフェンスしなくちゃいけない。『最終ラインだけじゃなく、中盤からの守備が必要だよ』と選手たちには伝えました」と田口監督。

 東日本リーグ開幕から幾度かのシステム変更を経て辿り着いた3−6−1については「1トップが落としたボールを2列目以降の選手が良い形で受けられる。ベレーザのように足技がある選手がたくさんいればまた違うけれども、ウチの現状としては、この戦術が一番あっているように思います」。そして結果が出ていることへの自信が4連勝というラストスパートにつながったのだろう。

 最終成績(4位)については「昨年よりもひとつ順位が下がったわけだけれども、昨年は無我夢中で、がむしゃらにやったら、結果がついて来ての3位。今年はしっかりと考えてサッカーをしての4位だから」。表面上の成績はともかく、手ごたえについては今年の方がより大きかったようだ。

「いきなり優勝争いは無理だと思うし、ひとつひとつの積み重ねだから。年明けの全日本で今シーズン終了なので、そこでまた頑張りたい。あの決勝のピッチにね、国立のピッチにウチの選手たちを立たせてやりたいんですよ」


(日テレ・ベレーザ) (さいたまレイナスFC)
GK: 小野寺志保 GK: 山郷のぞみ
DF: 戸崎有紀(62分/井関夏子)、豊田奈夕葉、四方菜穂、須藤安紀子 DF: 田代久美子、西口柄早、笠嶋由恵
MF: 酒井與恵、伊藤香菜子、小林弥生 (46分/近賀ゆかり) MF: 片桐ひろみ(88分/山本有里)、高橋彩子、木原梢(79分/伊藤知沙)、赤星照美、岩倉三恵、安藤梢
FW: 山口麻美、荒川恵理子(83分/泉美幸)、大野忍 FW: 岸一美
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