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 頑張れ!女子サッカー 04/07/21 (水) <前へ次へindexへ>
ゴールを死守する宝塚。堅い守りで日テレを苦しめた。

 閂を破ったエースの一撃。日テレ、大勝で首位をキープ。
 

 取材・文/西森彰
L・リーグ第6節 宝塚バニーズレディースSCvs.日テレ・ベレーザ
2004年7月19日(月・祝)14:00キックオフ 鶴見緑地競技場 観衆:450人 天候:晴
試合結果/宝塚バニーズレディースSC0−6日テレ・ベレーザ(前半0−0、後半0−6)
得点経過/[日テレ]澤(57分、62分、73分)、近賀(60分、89分)、永里(83分)


 昨年、下位リーグ、そしてL1リーグ参入決定戦と勝ち抜いてL1のステージに立った宝塚バニーズレディースSC。しかし、ここまで参入戦仲間の大原学園JaSRAから挙げた1勝だけ。苦戦が続いている。この日は、澤穂希も戦線に復帰した4勝1分無敗で好調の日テレ・ベレーザを迎え撃った。

 ゲームは日テレが攻めて、宝塚が守るという予想通りの展開。だが、前半は宝塚の守備の出足が、日テレ攻撃陣のそれを上回った。一番後ろに阪上由紀代が余り、荒川恵理子、大野忍の2トップには佐藤裕美と西手友美。そして、トップ下の澤には伊丹絵美が、ほぼオールコートでのマンマークで張り付く。

「1点決まるまではキツかったですね。(マンマークが)『もう良いから』という感じでついてきて…」と澤。マーカーたちが釣られて空けたスペースは田中真由美と小林恵がきっちりと消した。日テレは中地舞、豊田奈夕葉ら、ディフェンス陣も攻撃参加し、分厚い仕掛けを行なったが、宝塚のゴールは揺るがない。

 さらにパスの出しどころに詰まった日テレの選手がキープする足元へ、闘志を込めた激しいタックルを見舞う。オリンピック代表選手、いわゆるなでしこジャパンのメンバーを多数擁する日テレは、次節にTASAKIペルーレFCとの一戦も控えている。序盤から、酒井與惠らが悶絶しながら、ピッチの外に運び出されるところを見ては、腰が引けてしまうのも仕方ない。



徹底マークをうけがらもハットトリックを達成した澤(10番)。負傷からの
復帰したばかりとはいえ、その存在感は抜群だ。
 そして日テレに焦りが見え始めた54分。宝塚に千載一遇のビッグチャンスが訪れる。DFラインから前線への放り込みが、日テレゴール前の混戦を生み、そのボールが柏原慶子の足元へこぼれる。だが、懸命に寄せた日テレのDFとGKの動きがプレッシャーになったか、柏原のシュートは僅かに右に逸れていった。ゲームプランどおりに推移していたこのゲーム。ここで1点入っていたら、どうなっていたか分からない。

 一瞬、肝を冷やした日テレだったが、その3分後に喉から手が出るほど欲しかった先制点を奪う。CKからの混戦、集団の右後ろでこぼれ球を拾った澤。影のようにつきまとい、澤を苦しめたマーカー・伊丹の姿が、この時だけはなかった。澤の放ったシュートは林立する敵味方の間を抜けて、ファーサイドのネットへ。このゴールが全てだった。

 先制されてやや集中の切れた宝塚に日テレが襲いかかった。ケガの治療でひとり少ない相手のゴール前にフリーの近賀ゆかりが飛び込み、須藤安紀子のロビングを頭で流し込み2点目。そして右CKを酒井與惠がDFを背負いながら、後ろのスペースにスルーし、これを澤が押し込む。先制点からここまでたった5分間。あっという間のゴールラッシュだ。

 その後も日テレは手を緩めない。73分、小林弥生のシュートを安田真季が弾くところを澤が押し込んでハットトリックを達成。83分にも大野のシュートのリバウンドを途中出場の永里優季が詰める。締めくくったのは近賀。ペナルティエリア付近をドリブルしてリズムを作り、ミドルシュートで大量得点のフィナーレを飾った。



サポーターからプレゼントと一緒に渡されたメガホンを使って挨拶する
中地舞。
 6対0の大勝劇に酔う日テレイレブンから、ファンに呼び出されて挨拶したのは中地舞。昨年、リーグのベストイレブンに選ばれた彼女のリーグ100試合目だった。99試合出場で無得点。チームメイトは「みんなで中地に『百分の一の可能性で』って冷やかしていました」(澤穂希)という。ゴールラッシュの中でもリーグ初得点は生まれなかったが、再三の攻撃参加で勝利に貢献した。

 ハットトリックを達成した澤が大量得点の口火を切り、ゴールを奪った永里、そして宇津木瑠美、井関夏子ら、若い途中出場選手もスムーズに試合に溶け込んだ。昨年に比べてチーム力アップは間違いない。次のビッグゲームへの抱負を尋ねると「勝算? もちろん」と宮村正志監督が笑みを浮かべ、澤も「勝ちます。申し訳ないけれど」と強気に語った。稲城中央公園総合グラウンドで行なわれる大一番が楽しみだ。

 敗れた宝塚だが、1点を取られるまではGKの安田真季を中心に、スカイブルーの壁となって、日テレを苦しめた。リーグ開幕前の忍びの里レディーストーナメントでも、ベストメンバーのTASAKIを慌てさせていたチームなのだから、善戦とは言えない。これくらいなら常時やれるだけの力は持っている。

 守備に力を割くゲーム運びだから仕方がないが、ボールを奪った後、ゴールを陥れるためのアイデアとエネルギーを残せなかったのが残念だ。今後もL1残留へ向けて、このようなゲームが続くと思われる。ゴールの可能性をいま少しでも大きくできれば、負担の大きいDF陣のモチベーションも更にあがるはずだ。


(宝塚バニーズレディースSC) (日テレ・ベレーザ)
GK: 安田真季(84分/上野友紀子) GK: 小野寺志保
DF: 阪上由紀代、佐藤裕美、西手友美 DF: 中地舞、四方菜穂、須藤安紀子、豊田奈夕葉
MF: 伊丹絵美、田中真由美(70分/谷原ゆかり)、小林恵、永吉麗奈、河野雅子、柏原慶子 MF: 酒井與恵(63分/宇津木瑠美)、小林弥生(79分/井関夏子)、近賀ゆかり、澤穂希
FW: 今枝梢(70分/三浦香子) FW: 荒川恵理子(72分/永里優季)、大野忍
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