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 頑張れ!女子サッカー 04/07/21 (水) <前へ次へindexへ>
アテネで大輪の花を咲かせてくれるはず。頑張れ!なでしこジャパン

 高槻、ホームでYKKに完勝。3連勝で4位に浮上す。
 

 取材・文/西森彰
L・リーグ第6節 スペランツァF.C.高槻vs.YKK AP 東北女子サッカー部フラッパーズ
2004年7月19日(祝・月)11:30キックオフ 鶴見緑地競技場 観衆:400人  天候:晴
試合結果/スペランツァF.C.高槻2−0YKK AP 東北女子サッカー部フラッパーズ(前2−0、後0−0)
得点経過/[高槻]阪口(39分、43分)


 30度を越す猛暑が屋根の無い鶴見緑地競技場を襲う。同じ敷地内にあるプールの入口には、10時30分の時点で「満員 2時間待ち」と掲示されていた。競技場近くにある自動販売機は大人気。1枚200円で販売していた選手サイン付きのウチワを買う人たちの姿も多い。

「そうですね。ことアテネに限って言えば、こういった日中の試合をやっていることは、一種の暑熱対策になりますね。あくまで今回限定の話ですが」

 スタジアムの最上段にサングラスをかけた上田栄治・なでしこジャパン監督もいた。前日はさいたま市大宮公園サッカー場、この日は鶴見緑地競技場。毎週、必ず、どこかの会場に足を運ぶ上田監督だが、来週はL・リーグを見られないため、この日の2試合が観戦納めとなる。その目の前で下小鶴綾、大部由美の新旧センターバックに、アテネでの健闘を祈って花束が贈られた。



相澤(9)をフォローする阪口(右17)と庭田(左10)
 昨シーズン、上位リーグ最下位に甘んじたスペランツァF.C.高槻は、開幕戦から伊賀FCくノ一、日テレ・ベレーザ、TASAKIペルーレFCの昨シーズン3強と続けざまに対戦し、黒星を重ねた。だが、伊賀戦では一時リードを奪い、ディフェンディング・チャンピオンのTASAKI戦も1点差ゲームと、悲観するほどのものではなかった。

「最初に強いところにガンガンガンとあてられましたからね」(下小鶴綾)と、選手たちにも悲観ムードはなかったようだ。大原学園JaSRA、宝塚バニーズレディースSCと参入決定戦組に連勝して、やり方そのものが間違っていないことを証明した。このYKK AP 東北女子サッカー部フラッパーズとのゲームが、今後の試金石になる。

 そのYKKも、昨年から選手層が薄くなって、黒澤尚新監督もやり繰りが非常に難しい。今シーズンの東日本地区のプレ・トーナメントと位置づけられたSAITAMAフェスティバルでは準優勝と好調な滑り出しを見せていたが、シーズン開幕以降、ここまでの成績は高槻と同じ2勝3敗。こちらもこのゲームで星を五分に戻したいところだ。



 試合開始直後は、アウェーのYKKが優勢だった。激しいプレスで相手ボールに仕掛け、これを奪うとサイドからのアーリークロスを蹴り込む。だが、GKのキャロライン・メリー・ウォルシュ、CBの下小鶴が制空権を譲らず、YKKは高槻ゴールに迫りながらも、なかなかフィニッシュに至ることができない。

 これに対して、福永亜紀監督から「前半はボールを左右に大きく振るように指示されていた」(下小鶴)という高槻は、DFラインからきっちりとボールをつなぎ、サイドチェンジを織り交ぜたポゼッションサッカーを展開する。忠実なプレスをかけるYKKの選手たちは、長い距離を走らせられることになった。

 YKKの足が止まり始めた30分過ぎから、満を持して高槻が反撃に出る。その核になったのはトップ下に並んだU-19日本女子代表に選抜されていた阪口夢穂と、ユニバーシアード日本女子代表の庭田亜樹子だ。ボールタッチが極端に多い庭田が交通整理を行ない、阪口は1トップの相澤舞衣が作ったスペースを生かして、2列目から積極的にゴールを狙う。

 39分、オフサイドラインギリギリからアクションを起こした阪口に、庭田から絶好のパスが通る。完全に抜け出した阪口が、落ち着いてこれを流し込んで先制に成功。さらに43分にも、左のCKから追加点を奪う。庭田の蹴ったボールをYKKの増田亜矢子がパンチで逃げる。このこぼれ球を阪口が再び、蹴り込んだ。

 ゲームプランが完全に当たった高槻は、後半もその戦いを続けた。フルスロットルに近いテンションで立ち上がったYKKは前半同様、ゴール前までは押し込むが、U-19日本女子代表の奥田亜希子と下小鶴のCB2人に決定機を封じられた。また、高槻に意志を感じさせる「鳥かご」までされては、疲労も一層感じられたことだろう。



強い気持ちと豊富な経験をもとにチームを引っ張る大部(左)
 敗れたYKKは30度を超える気象条件下で、通常シフトの戦い方で臨んだことが裏目に出た。速い展開からチャンスが生まれていただけに、どうしても前にかかりたくなる。だが、いま少しボールキープの時間を増やして息を入れるシーンがあっても良かった。試合終了後、大部は「最後は絶対にホームで飾ろう!」と檄を飛ばした。その前期最終戦は宝塚バニーズレディースSCを相手に仙台スタジアムで行なわれる。

 勝った高槻はYKKの足を止めておいてから、きっちりと仕上げた。シュート数15対4は、積極的に打った前線、フィニッシの前で潰したDF陣の両方が機能した結果だ。2得点を奪った阪口は、前日の日曜日にも下部の試合で40分ハーフを戦いきっていた。最近の好調ぶりを「マグレです」と謙遜するが、大谷未央(TASAKIペルーレFC)、荒川恵理子(日テレ・ベレーザ)が演じる得点王争いにも、顔を出してきそうだ。

 無失点に貢献した下小鶴も「これで星を五分に戻せました。予定では来週、レイナスを首位から引きずりおろす事になっています」とニッコリ。若いチームだけに、この暑さが続くようならば、日テレと首位を併走するさいたまにとっても、決して侮ることはできない。




(スペランツァF.C.高槻) (YKK AP 東北女子サッカー部フラッパーズ)
GK: キャロライン・メリー・ウォルシュ GK: 増田亜矢子
DF: 中鍋美里、奥田亜希子、下小鶴綾、上辻佑実 DF: 大部由美、宇野涼子、青木知里
MF: 鳥越恵、高倉麻子、松田望、阪口夢穂、庭田亜樹子 MF: 中村真実(79分/小倉咲子)、北郷祐子、鹿毛亜希子(60分/棚橋美智子)、遠原志穂美、五十嵐章恵
FW: 相澤舞衣(74分/久山暖香) FW: 佐藤春詠、本間真喜子
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