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 頑張れ!女子サッカー 04/07/23 (金) <前へ次へindexへ>

 いよいよL・リーグ頂上決戦。
 日テレ・ベレーザ対TASAKIペルーレFC プレビュー

 文/西森彰
 第16回L・リーグ第7節の大一番は、稲城中央公園総合グラウンドで行なわれる日テレ・ベレーザとTASAKIペルーレFCの一戦だ。この優勝候補同士の一戦は、L・リーグのゲームとしては数年ぶりにテレビ中継(スカパー・録画中継)も予定されている。

「勝算? もちろん」(宮村正志監督・日テレベレーザ)
「勝ちます。申し訳ないけれど」(澤穂希・日テレベレーザ)
「勝てれば、凄い充実した状態で代表の方に乗り換えられると思う」(川上直子・TASAKIペルーレFC)

 どちらも気合は十分。荒川恵理子(日テレ・ベレーザ)と大谷未央(TASAKIペルーレFC)の得点王候補直接対決もある。どんな一戦になるのだろうか?



 宝塚バニーズレディースSCとの開幕戦で勝利を飾り、第2節で日テレが辛勝した大原学園JaSRAに8対0の大勝を収めた。この時点では「今年もTASAKIか」と思ったファンも多かったはずだ。だが第5節、さいたまレイナスFCに逆転で初金星を献上すると、続く第6節でも伊賀FCくノ一戦でもロスタイムに失点し、痛恨のドローを喫した。

 昨年リーグ優勝を飾った直後のインタビューで、TASAKIの仲井昇監督はL・リーグの二部制について「いきなり本番。そこが怖いですね」と語っていた。これまでは東西地区予選リーグをチーム作りの期間に充てて、決勝リーグに上がってからが勝負だった。レギュレーションが変わり、2部制になった今シーズンは、そのステップ期間が無い。

 そうなれば練習でチームを作り上げるしかないが、TASAKIは年明けから数回に渡って行なわれた日本女子代表合宿で主力を取られていた。チームで行なえる全体練習の量さえ、例年に比べて遥かに少なかった。選手22人のうち、代表合宿で6人が取られ、新人が5人。昨年も唯一の死角とされていた選手層の問題がモロに出た形になっている。



 代表への召集については、日テレも事情は変わらない。シーズン開幕前に話を聞いた宮村正志監督も「代表で選手が一杯取られるのは、分かっていることなんで。その分、残った選手がきっちりやってくれないと困りますね」と話してくれた。ほぼ固定メンバーで戦ってきた完成形のTASAKIに対し、日テレには昨年をなかば捨ててまで、作り上げた分厚い選手層がある。

 もちろん、5勝1分けの中身全てが、楽勝の連続ではなかった。初戦の大原学園JaSRA戦は引分けムード濃厚の中、酒井與惠の見事なミドルシュートに救われたものだし、さいたまにも終盤までリードを許し、荒川恵理子のゴールで追いついている。そういう綱渡りをしながら、首位をキープしているわけだ。

 日テレが持ち前の勝負強さを取り戻した理由のひとつとして、昨年の「あっさり取られて、追いつけない」悪いパターンが消えたことが挙げられる。先制ゴールを許したのはさいたま戦だけ。「簡単に点を取られすぎる」と嘆いていた宮村監督のもと、意識改革が浸透したのだろうか。御殿場合宿の際に、チームに勢いを与えた酒井與惠にここまでの戦いを振り返ってもらった。

「ディフェンス面が課題ということは、いつも言われてみんなで自覚していました。『先に取られると厳しいから、絶対に取られないように』と。その意識は高く持っています。今期のウチはずっと競ったゲームを続けているんですよ。それでもそういう際どいところをいくつ拾えるかで、優勝できるかどうかが決まるわけですから」



「(大原学園に)ベレーザが苦戦したので、やる前はウチも警戒していたんですよ。そうしたら、前にひとりだけ残して、後の選手は全部自陣に引いてきて…。ベレーザはつなぐサッカーじゃないですか。ウチは『はい、大谷』っていう感じなんで。得点差は、そのあたりの違いだと思います」

 大原学園に大勝した後の川上直子のコメントは両チームのスタイルを言い表している。高い技術をバックボーンにして、パスをつなぎ、ドリブルを織り交ぜ、美しいサッカーを志向する日テレ。鍛え上げられたフィジカルで走り勝ち、ボールを奪うとタテに速い攻撃を繰り返すTASAKI。そのプレースタイルは対極に位置する。

 レフェリーのジャッジは、どちらに利するか? オリンピック直前という時期を重視して、早めの笛が吹かれるようなら、個人技で一日の長がある日テレが有利になるし、ゲームの流れを考えて少々のフィジカルコンタクトは流すようなら、体力で上回るTASAKIに吉と出る。どちらを重視しても文句を言われるレフェリーは、気の毒としか言いようがない。

 天候さえもひとつのファクターだろう。先週のような酷暑の中で戦ったり、逆にピッチコンディションが極端に渋るようなら、TASAKI有利。曇天で風が吹くような過ごしやすい気候なら、日テレが有利か。稲城中央公園総合グラウンドには屋根が無いので、一観客としては日テレ寄りの天気を臨みたいが…。



 これまでの対戦を振り返ると、リーグ戦では日テレが圧倒的に優位に立ち、1勝1分けペースで毎年消化している。TASAKIがリーグ戦で日テレに勝ったのは1999年の前期が最後。全日本女子選手権の決勝では、TASAKIが2年連続で日テレを退けているが、これは準決勝との連続開催でフィジカルの強さが貢献していると言えよう。

 どちらが勝つにせよ、勝敗はおそらく紙一重になる。日本女子サッカー界をリードする2チームのゲームは、7月25日の13:00キックオフ、観戦無料だ。アテネオリンピック観戦への興味を高めるうえでも絶好のガイドになるゲームだろう。ぜひ、帽子をかぶって、ペットボトルを片手に、稲城中央公園まで足を向けていただきたい。
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