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 頑張れ!女子サッカー 05/09/14 (水) <前へ次へindexへ>
コーナーキックを蹴る原菜摘子。日テレも新戦力が活躍を見せた。

 若きチャレンジャーを退け、東京、兵庫がファイナルへ進む。
 第60回国民体育大会(晴れの国岡山国体)準決勝

 文/取材・文/西森彰
 大会3日目を迎えた第60回国民体育大会成年女子サッカー。準決勝の2試合は、U-18世代が躍動する大阪府成年女子代表、鹿児島県成年女子代表が、優勝候補の東京都成年女子代表、兵庫県成年女子代表に、それぞれ挑む構図となった。


■大阪府成年女子代表vs.東京都成年女子代表

 先発平均年齢19.1歳、チーム平均年齢19.0歳。若さ溢れる大阪府成年女子代表は、なでしこジャパンの骨格となっている日テレ・ベレーザの単独チーム・東京都成年女子代表に果敢に挑んだ。自陣に引きこもって専守防衛に徹するのではなく、堂々と真っ向勝負。「守っても面白くないのでね(笑)。行ってやられたほうがと正攻法でやりました。力の差を知って欲しかったし、その差を彼女たちがどう感じてくれるのか」と大阪の松島芳久監督。

 一方、大阪を迎え撃つ東京。今大会はコーチの肩書きで参加している日テレ・ベレーザの松田岳夫監督は「現在の調子と前の試合で見せたパフォーマンス。これを元に先発メンバーを決定していくというのは選手たちにも伝えてあります」と、チーム内の競争を活性化させている。その効果もあったか、連戦の中でも徐々に気持ちが上向き、立ち直りの兆しを見せている。

 前半は、東京の攻撃を4-4-2でバランス良く守る大阪が止める展開。昨日のクオーターファイナルから当たりに当たるGK・海堀あゆみがファインセーブを見せ、なかなか東京に楽なゲームを許さない。14分、東京は近賀ゆかり、中地舞と右サイド経由の速攻でチャンスを作り、最後はファーサイドで待っていた永里優季が頭で決めて先制したが、得点はこれだけ。大阪の健闘が目に付いた。

 1点のリードで折り返した後半、東京はボールサイドで2枚がかりになる大阪の守備スタイルを読みきり、大きなサイドチェンジを織り交ぜてチャンスを生み出した。そして42分、四方菜穂との呼吸を合わせてライン裏に抜けた荒川恵理子が追加点。53分にも永里、荒川、永里と2トップのパス交換で3点目を奪って勝負を決した。点を取らなければいけない大阪はそれまで保っていたバランスを崩し、リスクを負って攻撃に出たが、そこを突かれた。

 敗れた大阪の松島監督は「やはり差がありましたね。やれているように見えた前半のうちに打たれたジャブも最後に効いてきました。ただ、ずっとこの差が続くわけではないと思いますし、選手たちがこれをステップに次を考えていてくれれば良いと思います。『力の差はあるよ。でもそれは決して埋められない差じゃないよ』と」。

「今日もまだ煮え切らないですね。相手の守備がボールサイドに寄るのはやっている中でも感じたんですが、相手が勝手に穴を開けてくれたのを狙えた。前半のように相手がしっかりと守っている中でも自分たちから意図的に動いて崩したかった。もちろん、相手のミスを逃さず、そこを突くというのも大切なことだとは思いますが」とは勝者の弁。パーフェクトでない中でもファイナルまで危なげなく駒を進めたのはさすがだ。

「まだ1試合ありますから(笑)。優勝するためにここに来ました。何人か出れない選手がいるウチに対し、相手の兵庫はベストメンバー。苦しい戦いになるとは思いますが、その中でも勝ちに行きたいと思います」

ドリブルで勝負を挑む、大阪のFW上辻佑実(5)。身体能力に優れ、
DFもこなす。
 瀬戸内市の広報担当から大会の感想を訊かれた酒井與惠は、そういって快勝にも気を引き締めていた。


2005年9月11日(日)10:00キックオフ 瀬戸内市邑久スポーツ公園多目的広場 観衆:400人 天候:晴のち曇
試合結果/大阪府成年女子代表0−3東京都成年女子代表(前半0−1、後半0−2)
得点経過/[東京]永里(14分、53分)、荒川(42分)

(大阪府女子代表)
GK: 海堀あゆみ
DF: 長船加奈(48分/井上新菜)、河上恵実子、山本亜里奈、松下亜紀
MF: 庭田亜樹子、阪口夢穂、松田望、相澤舞衣
FW: 島村裕子(66分/岡環実)、上辻佑実

(東京都女子代表)
GK: 小野寺志保(49分/松林美久)
DF: 中地舞、岩清水梓、四方菜穂、宇津木瑠美
MF: 酒井與惠、伊藤香菜子、近賀ゆかり(51分/原菜摘子)
FW: 大野忍、荒川恵理子(56分/南山千明)、永里優季



■鹿児島県成年女子代表vs.兵庫県成年女子代表

「ああ、もう! 私は何でこんな所にいるんだろう」

 地元チームの敗退で、ほとんどひとりで記者用のテントを独占していた私の隣へ、岡山県成年女子代表の本田美登里監督が腰を下ろして呟いた。「もう、本当に『やっちまった』の一言です。地元ケーブルテレビから『明日の3位決定戦と決勝戦のゲストをお願いしたいんですが、本田さん、体、空いてますよね?』って。その電波をお借りして、何万世帯かの県民の皆さんに謝らなくちゃいけませんね」と続ける。

 岡山を破った鹿児島県成年女子代表のベンチは、ボヤく本田監督のすぐ目の前にある。森田貴子、磯金みどりの両センターバックが、恐ろしく攻撃的に高いラインを敷く鹿児島。その陣形を見て「本当に高いですよね。怖いもの知らずのあの姿勢に、ウチが知らず知らずのうちに受けに回ってしまったんですよ」と本田監督。そのスピードと運動量で勝負するスタイルを、同じタイプでは日本一であるTASAKIペルーレFC単独チームの兵庫県成年女子代表にも貫いた。

 兵庫は前日に強敵の三重県成年女子代表と戦っていたこともあって、この日はそれまで出場機会に恵まれていなかった選手を使いながら、ターンオーバー気味の布陣。「兵庫がどこまでの意欲でこの試合を勝ちに来ていたかは分かりませんから」と、鹿児島を率いる鳳凰高校の嶋田正照監督も言うとおり、余裕残しであったことは間違いない。

 それでも鹿児島が良く戦ったのもまた事実だ。試合開始早々にカウンターから兵庫の肝を冷やすシュートを筏井りさが放つと、その後はシュートこそ打てないものの、激しいチェックで相手にもなかなかシュートチャンスを与えない。前半を終了して兵庫の1対0。唯一の得点は、目の前に立ちはだかるDFを物ともせず甲斐潤子が強引に上げたクロスに、鈴木智子がこれまた力ずくで競り勝って奪ったゴール。ガードの上からノックアウトするような、兵庫でなければ奪えない「剛」の得点によるものだった。

「正直、使い詰めで休ませたかった選手もいました。しかし、代わりに出た選手が余りにも、この日のゲームの重要性を認識していなかった」とTASAKIペルーレFCの仲井昇監督。前日、岡山が敗れたところを見せられての1点差では、後半アタマから、大谷未央、山本絵美の投入もやむを得なかっただろう。58分、その大谷、山本が形を作った後のこぼれ球を鈴木がこの日2点目のゴール。これでようやく勝負は決した。

 第三者として、試合を最後まで見終わった本田監督が残した感想は「兵庫とウチの底力の違いを思い知らされました。今日の兵庫は決して良かったわけじゃありません。けれどもプレッシャーのかかる中で、きっちりと前半をリードして折り返し、後半も全く慌てることがなかった。あそこまでチーム力を高めないと勝てないということです
井手上(13)、有吉(12)のホットラインで挑んだ鹿児島は、兵庫に惜敗。
ね」。前日、三重と戦っていたことを考えても、妥当な見方だと思う。しかし、それでも仲井監督の厳しい表情が和らぐことはなかった。


2005年9月11日(日)11:50キックオフ 瀬戸内市邑久スポーツ公園多目的広場 観衆:400人 天候:曇
試合結果/鹿児島県成年女子代表0−2兵庫県成年女子代表(前半0−1、後半0−1)
得点経過/[兵庫]鈴木(28分、58分)

(鹿児島県成年女子代表)
GK: 佐藤富士
DF: 古城里香、磯金みどり、森田貴子、加治屋草織
MF: 三輪由衣、筏井りさ、西田由美(66分/嶋田亜希子)、井手上麻子
FW: 松下春子(57分/中村あき)、有吉佐織

(兵庫県成年女子代表)
GK: 秋山智美
DF: 磯崎浩美、中岡麻衣子、下小鶴綾(H.T/佐野弘子)
MF: 土橋優貴、新甫まどか、柳田美幸、甲斐潤子、薬師寺良子(H.T/山本絵美)
FW: 鈴木智子、大石沙弥香(H.T/大谷未央)
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