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 頑張れ!女子サッカー 05/10/18 (火) <前へ次へindexへ>
雨中のサポートもあって、高槻は大きな1勝を手にした。

 高槻、3度目の直接対決も制し、L1残留へ大きく前進。
 2005L1リーグ 第18節 スペランツァF.C.高槻vs.宝塚バニーズレディースSC

 取材・文/西森彰
2005年10月15日(土)11:30キックオフ 長居運動公園第2陸上競技場 観衆:約200人 天候:雨
試合結果/スペランツァF.C.高槻1−0宝塚バニーズレディースSC(前0−0、後1−0)
得点経過/[高槻]相澤(82分)


 2005シーズンも開幕から半年を経て徐々に大勢が決してきた。L2リーグは第17節を終了してINACレオネッサの優勝、そして昇格が確定した。また同日行なわれたL1リーグの天王山決戦では、日テレ・ベレーザがTASAKIペルーレFCに圧勝。こちらも優勝に向けて大きく前進している。となると残る焦点はL1下位チームの残留争い。その中でもこの日のスペランツァF.C.高槻と宝塚バニーズレディースSCの一戦はL・リーグの残り全28試合の中で、最も大きなものが賭けられている。

 2回の直接対決で宝塚を降している高槻は、その2勝分だけの勝ち点6。それでも第2クールの直接対決を制した時点では「残留はこれで決まった」と安堵していたに違いない。しかしサバイバルに強い宝塚は、第2クールの最終戦で岡山湯郷Belleに勝って初勝利を挙げると、第3クールでは強豪・伊賀FCくノ一からもドローを拾って勝ち点4。勝ち点2差まで再接近してきた。注目すべきは残り3ゲームの対戦相手。高槻は日テレ、浦和レッズレディース、伊賀。宝塚はTASAKI、岡山湯郷、TEPCOマリーゼ。互いのカードを見比べれば、明らかに宝塚のほうが勝ち点上積みの可能性が大きい。

 1対2で敗れた第16節の試合後、岡山湯郷の本田美登里監督に「宝塚には絶対に勝ってくださいよ」と真剣な顔でお願いしていた高槻の細田真砂智監督。受けて立つのではなく、あくまで攻撃的なコンセプトを選手に伝えて試合に向かった。2差でリードされている宝塚はもちろん必勝の意気込みで来ているが、上位の高槻もこのゲームをドローで終わらせることはできない。



この日も大活躍した、宝塚の小林恵。
 空模様が風雲急を告げる長居公園第2陸上競技場。11時30分、運命の一戦がキックオフ。高槻は中盤を厚くした4−5−1。「下が悪いということ、相手が3-4-3気味に攻めてくる可能性なんかも考えて、本来DFの選手を前で使った4-5-1にしました」(細田監督・高槻)。対する宝塚は1−3−4−2。成績上昇の最大要因となっている小林恵のスイーパー起用をこの試合でも敷いた。

 立ち上がり早々、宝塚はライン裏に抜け出した柏原慶子が1対1のチャンスを得るが、これを海堀あゆみが好セーブ。高槻も東山紗衣子、相澤舞衣らがシュートを放つが、またも決定機を掴んだのは宝塚。20分、DFラインのギャップを突いた伊丹絵美が抜け出す。一度はDFに阻まれたが、再び中央へボールを送ると、ここに柏原。しかし、これもシュートが僅かに外へ逸れる。先制点が欲しい宝塚だが、なかなかそのゴールが生まれない。

 一方、高槻は32分、東山を小中山咲子に交代し、リズムを変える。そして37分、中央の庭田亜樹子から左の相澤と大きな展開で崩し、最後は右サイドから中央に入ってきた小中山。このシュートはGK・上野友紀子を破ったが、ゴールライン上にカバーに入っていた小林が際どくクリアする。シュート数で11対6と、全体的には宝塚が優位に進めた前半だったが、どちらにもゴールは生まれなかった。

 後半に入っても宝塚は51分、三浦香子が2列目からライン裏に飛び込み、シュートを放ったがゴールマウスを捕らえられない。高槻も55分、左サイドから小中山が上げたクロスをファーサイドで相澤が受けてシュート。直後、宝塚ゴール前で生まれた混戦で小野村亜矢がシュートを放つが、どちらも宝塚の小林が最後の最後でゴール内に転がり込むことを許さない。

 2回のピンチを凌ぎ、次にチャンスを掴んだのは宝塚。左サイドからのフリーキックで前方の選手を囮に使って、ボランチの重松真由美が後方から走りこむ。練りに練っていたであろう、完璧なセットプレー。GK上野の頭上を抜いたボールは、しかしゴールバーに当たって、もう一度ピッチに跳ね返ってしまう。両チームが繰り広げる攻防に、この一戦の重さを知っているスタンドから、拍手と声援が飛んだ。



 両チームがチャンスを逸するたびに、時計の針は容赦なく進む。70分。75分。そして80分。気持ち的に苦しいのは追われる立場の高槻だったはずだ。ドローで良いのか、それともあくまで攻めるのか。そこでプレーに迷いが生じるからだ。

 だが、この日の高槻はチーム全体で意志をハッキリと統一していた。「向こうのほうが残りの対戦カードが楽。だから『引き分けで良い』という考えは持たなかった。勝ち点3が絶対条件という気分で試合に入りました」(細田監督・高槻)。苦しい時間帯でも高い位置をキープする最終ライン。文字通り、背水の陣。それが宝塚のクリアボールを拾っての波状攻撃につながった。

 勝負を決する1点を高槻が奪ったのは82分。中江真紀が、右サイドに上がってきた鳥越恵に預け、ここから左サイドに大きなサイドチェンジ。一番外から走りこんだ相澤がフリーで受けると、宝塚DF・田中真由美が寄せ切る前に、思い切り良く足を振りぬいた。豪快なシュートが、宝塚のゴールネットを揺らした。岡山国体では大阪府成年女子代表の若い選手たちを引っ張ってきた相澤。この大一番でも虎の子の1点をもたらした。



高槻はL1残留へ大きく前進した。
 それまでクールなイメージを持っていた細田監督。しかし、この大一番の勝利ではさすがに興奮を抑えきれないという感じで、ベンチから戻ってきた。

「もう、お互いにプライドの戦いなんで、簡単にはいかないと思っていました。今日はピッチが悪かったので多少、ミスパスなんかも出ていましたけれども、最後まで攻撃的にゲームを行なうことができました。絶対に落とせない試合で勝てた。そして流れの中から点を取れた。それは大きいと思っています」

 勝ち慣れていないチームは終盤まで勇気を持って高いラインを保ち、分厚く配された中盤と連動して、徐々にポゼッションで優位に立った。その一方で、後方でのバックパスなど、失点につながる危険なプレーは控えて、リスクヘッジに務めた。攻守のバランスを高いレベルでキープできたことが、この大きな一勝につながった。

 だが、敗れた宝塚も、上昇の勢いを感じさせるゲーム内容だった。最後方で分厚い壁になった小林は、この日も3点を防いだだけでなく、危険なシーンを幾度となく防いだ。最小失点はサッカーにおいては、やむを得ないものだ。惜しむらくはチャンスを作りながら、決めきれなかった攻撃の部分か。それでも残留へのモチベーションをキープし、今のサッカーを続けることができれば、TASAKIはともかく、岡山湯郷、TEPCOから勝利を奪う可能性は十分にある。とにかく次節以降に目を向け、投げ出さないことだ。

 悔し涙を流すのは、全てが終わってからで良い。


(スペランツァF.C.高槻) (宝塚バニーズレディースSC)
GK: 海堀あゆみ GK: 上野友紀子
DF: 高見恵子、奥田亜希子、中鍋美里、鳥越恵 DF: 小林恵、近藤朋香、田中真由美、清原万里江
MF: 東山紗衣子(32分/小中山咲子)、松田望、庭田亜樹子、相澤舞衣、小野村亜矢(66分/松下紀美) MF: 重松真由美、清原祐子、伊丹絵美、三浦香子
FW: 中江真紀 FW: 柏原慶子、今枝梢(71分/深澤里沙)
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