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 頑張れ!女子サッカー 05/10/20 (木) <前へ次へindexへ>
そこここにできた水溜りが、浦和のショートパスを幾度もカットした。

 雨打つピッチに、明暗を描いた両チーム。
 2005L1リーグ 第18節 TASAKIペルーレFCvs.浦和レッズレディース

 取材・文/西森彰
2005年10月15日(土)14:00キックオフ 長居運動公園第2陸上競技場 観衆:約390人 天候:雨
試合結果/TASAKIペルーレFC6−0浦和レッズレディース(前3−0、後3−0)
得点経過/[TASAKI]土橋(5分)、鈴木(9分、34分、78分)、大谷(75分)、山本(84分)


 長居公園第2陸上競技場でのダブルヘッダーは、第2試合を迎える頃には雨足が本格的になってきた。その空模様と同じように明るい材料が少なく見える両チーム。TASAKIペルーレFCは2005シーズンの帰趨を大きく左右する日テレ・ベレーザ戦で0対4とまさかの大敗を喫した。2000年の伊賀FCくノ一戦以来の4失点負けは、今期の優勝を諦めさせる1敗だった。

「先週が本当に完敗でしたからね(笑)。選手が珍しく試合の前から緊張しちゃっていて、そこでいきなりガツンとやられてしまった。だからあのゲームは仕方ないでしょう」と仲井昇監督。このゲームを今シーズン最後のタイトル・全日本女子選手権へ向けて新たなるスタートにしたい。

 対する浦和レッズレディースは前節の宝塚バニーズレディースSC戦を6対1で制して、ようやく白星がひとつ先行して8勝7敗2分け。決して絶望視するような成績ではないが、昨年度の女王としては、納得がいかない成績だ。第3クールはなでしこジャパンの正GK・山郷のぞみがアメリカから復帰。こちらも2年連続で元日のピッチに立つため、チーム状態を立て直したい。



大きな展開とハイボール攻撃。TASAKIはその2つを徹底した
 キックオフから数分しか経たないうちに、水溜りが生まれたピッチの上では、一方的な様相を示し始めた。眠っているように動きが重い赤のユニフォームを着た浦和の選手たち。そこに、1週間できっちりと気持ちを切り替えたTASAKIの選手たちが襲い掛かった。5分、コーナーキックからの2次攻撃で、山本絵美のクロスにあわせた土橋優貴のヘディングシュートで先制。さらに9分、新甫まどかが左サイドから入れたボールを、DFに競り勝った鈴木智子が詰める。10分間で早くもTASAKIに2得点がもたらされた。

 2点を奪われても浦和はなかなか目を覚まさない。ボールを奪ってもTASAKIの素早い詰めに苦しみ、まともにパスがつながらない。さらにフリーな状況でもつまらないミスが多発しては、ペースを掴めるはずもない。調子の上がらない浦和を尻目に、TASAKIは34分、山本が蹴った右コーナーキックに、鈴木が今度は頭であわせて、決定的な3点目を奪う。諦めずに雨中のスタンドから声援を送るファンの気持ちに応え、後半ようやく、戦う姿勢が出てきた浦和の選手たちだが、既にその時点でゲームの流れは決していた。

 勢いを増した雨がTASAKIよりのピッチを作り出していた。ゴルフのバンカーのような水溜りに、浦和のショートパスはことごとく呑みこまれていった。水を吸ったボールは重くなり、キックの飛距離は落ちていく。フィジカルを鍛えぬかれているTASAKIにとって、この重馬場は好都合。こんな気象下でTASAKIに抗せるチームは、日テレか伊賀くらいのものだろう。

 仲井監督から「こういう日は、グラウンダーの弱いパスは無駄だから」と指示されていたTASAKIの選手たちは、スペースにハイボールを送り、そこに走りこむ得意のダイナミックな展開に持ち込んだ。4点目、6点目は前線の選手にハイボールを当てて、ラインの裏に落とされたボールがピッチに止まったところへ、2列目の選手が走りこんで奪ったもの。狙いどおりに追加点を奪ったTASAKIは、スコアボードに6点を記した。



昨年度女王は泥沼の状況下にある。
 結局、一昨年度女王と昨年度女王の対戦は前者の6対0。もちろん、ライバルに完敗した後、わずか1週間で見事に立て直したTASAKIを誉めるべきなのだろう。だが、それ以上に心配なのは、100パーセントの気持ちが感じられない、浦和の負けっぷりだ。今年の元日、日テレに3点奪われて「何時以来か、全く思い出せない」と語っていた山郷だが、年内に6失点も食うとは思っていなかったはずだ。昨年、国体を含めて3タテを食わせたTASAKIに今年はきっちり借りを返されてしまった。

 サイドをえぐられ、中央への折り返しを詰められたのが1、2、3、5失点目。そしてロングボールをワンタッチでライン裏に落とされて喫した4、6点目。たった2パターンでの6失点である。これだけ同じ形でやられては…。いかに相手のストロングポイントと言っても、浦和程のチームであれば、これほど修正が効かないはずはない。たまたまこの日が底だったと思いたい。

「先週が完敗ですから、開き直ってやるしかない。もうリーグの優勝がほぼなくなったので『選手権へ向けて、この試合が大事や』と言ったんですが、チームのみんながその意識をしっかりと持ってくれた。とにかくどこかでベレーザを倒さないと。選手権でベレーザともう一度戦えるチームにしたいです」

 仲井監督の言葉どおり、TASAKIは心機一転、新たなスタートを切った。例年どおりの組分けなら、リーグの2位、3位チームは全日本女子選手権では、優勝チームと逆の山に入る。元日の国立霞ヶ丘陸上競技場、最も多くの観客が見守る前で、宿敵に借りを返す。そのシーンを脳裏に描きながら、白鳥は再び舞い始めた。


(TASAKIペルーレFC) (浦和レッズレディース)
GK: 秋山智美 GK: 山郷のぞみ
DF: 磯崎浩美、白鳥綾(60分/中岡麻衣子)、下小鶴綾(72分/甲斐潤子) DF: 山本有里、田代久美子、笠井香織(81分/待井菜々子)、西口柄早
MF: 土橋優貴、新甫まどか、柳田美幸、佐野弘子、山本絵美 MF: 岩倉三恵、法師人美佳、高橋彩子、安藤梢
FW: 大谷未央、鈴木智子 FW: 保坂のどか(H.T/若林エリ)、北本綾子
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