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 頑張れ!女子サッカー 05/11/02 (水) <前へ次へindexへ>

 3年ぶりの復権。日テレ、リーグ制覇で二冠を達成。
 2005L1 第20節 日テレ・ベレーザvs.東京電力女子サッカー部マリーゼ

 取材・文/西森彰
2005年10月30日(日)14:00キックオフ 西が丘サッカー場 観衆:約4,000人 天候:曇
試合結果/日テレ・ベレーザ2−0東京電力女子サッカー部マリーゼ(前0−0、後2−0)
得点経過/[日テレ]澤(73分)、大野(89分)


 日テレ・ベレーザの優勝がかかったホームゲーム。それでも西が丘サッカー場に詰め掛けた4,000人(なでしこ戦なみの数字だ)の過半数はTEPCOのファン。もちろん、東京電力株式会社の職員の方々も含めての人数ではあるが、チーム移管から1シーズンで、ここまで人気になるとは思わなかった。前節、伊賀FCくノ一に敗戦を喫し、3位は苦しくなったが、今年の成長を結果として残すためにも4位の座は死守したいところ。

 一方、数では劣っても、毎試合駆けつけるコア層ではひけをとらない日テレ・ベレーザのファンも、寡勢を感じさせない大きな声でバックアップする。昨年の最終戦は逆転優勝を信じて最終戦を戦ったが、その時点でさいたまレイナスFC(現・浦和レッズレディース)の優勝は決まっていた。この日も1年前と同様に、先に試合を行なったライバルの試合結果は伏せられていた。あの時と違っていたのは、キックオフを待たずに決まっていたのが自分たちの優勝ということだった。

「今日は『引き分けか勝ちで優勝だ』ということは認識していましたが、そこだけに意識を集中すると良いサッカーができない。『今日のゲームに集中しよう』ということを、最初に選手たちに言いました。TASAKIの結果(12:00キックオフで伊賀FCくノ一とスコアレスドロー)をボクは知っていましたが、選手には伝えませんでした。『相手の結果うんぬんではなく、自分たちが勝って決める』という意識を強く持つために伏せました」(松田岳夫監督・日テレ)

 3年ぶりの頂点へ通じる階段は、やっぱり、自分の足で昇り詰めたかった。



「プレッシャーが厳しいのも承知はしていましたし、向こうのゴールを守る意識がしっかりしているのも承知していたので、こういうゲームになるということは認識していました」という松田監督だったが、TEPCOはその予想を上回る集中力を発揮して戦った。バランスがとれた4-4-2の布陣は、日テレのイレブンから自由を奪う。荒川恵理子、永里優季の2トップとその下に位置する大野忍、澤穂希の豪華なカルテットを持ってしても、ゾーンディフェンスを敷くTEPCOの最終ラインをなかなか破ることができなかった。

 手詰まりになった日テレは、伊藤香菜子のセットプレー、川上直子の右クロスに活路を探るが、これも有効打とはならない。34分に、荒川恵理子がフリーでシュート、さらにリバウンドを澤穂希が2回叩くビッグチャンスを得たが、この決定機もTEPCOのGK・増田亜矢子と息が揃った4バックにゴールライン寸前で弾き返される。完璧なチャンスと言えばこのシーンくらい。日テレにしてみれば、ガードの上から打たされているような前半。12本対5本という数字以上に内容は拮抗していた。

「前半、攻められてはいたんですけれども0点に抑えていた。後半、スタミナが落ちたところを速攻で狙おうと考えていた」と木村孝洋監督(TEPCO)が振り返ったように、TEPCOは、ある程度まで我慢して反撃を考えていた。そして後半開始早々、丸山桂里奈が裏に抜け出しかかるが、ここは諦めずに戻った日テレDFに潰される。

 TEPCOは、日テレの高いDFラインを逆手にとって、前の選手が裏のスペースに飛び出し、後方の選手がこれにスルーパスをあわせる。日テレも「本意ではなかった」(松田監督)速い展開に、全くひるむことなく応戦。53分には四方菜穂、永里優季が連続シュートを放つが、ここもTEPCOのDFに体を張って防がれる。緊張感に包まれた西が丘サッカー場のスタンドから出た歓声とため息、そして大きな拍手がピッチを包む。

 何としてもこの試合に勝って優勝を決めたい日テレだが、どれだけ大きなチャンスを作り出しても、分厚いバリヤーに守られたTEPCOのゴールマウスをこじ開けられない。「前半のチャンスを決められなくって、試合の残り時間がどんどん減っていく。自分の中でも焦りに似たものがあった」と澤。ところが、日テレの選手たちの心に絶望感が占め始めた73分、思いがけない形でゴールが生まれた。

 何度目かのTEPCOゴール前の混戦で、最後にボールがこぼれたのはDFの足元。「またか」と思った瞬間、澤がその前に飛び込んだ。DFが蹴ったクリアボールが澤の足に当たり、意表を突かれたGK・増田の両手を掻い潜って、ゴールネットを揺らす。記録上は試合開始から数えて22本目となるシュートがとうとう日テレに得点をもたらした。「ラッキーな形でしたが入って良かった」と澤。この1点がもたらすものを思い描き、エースは喜びを爆発させた。

 その後は散発的に加えられるTEPCOの反撃を封じ、ロスタイムに荒川が奪ったPKを、得点王争いの首位を走る大野が決めて2対0。試合終了のホイッスルは、日テレの復権を告げる笛でもあった。



 ビッグセーブを連発した増田は「この1週間やってきたことが1試合を通してできたかなと思います」と、敗戦にも晴れやかな顔でそう言った。やれることはやったという達成感からだろう。Jヴィレッジで戦った第2クールのゲームでは、ロスタイムのPKによる敗戦。この試合でも、スペースを与えないコンパクトな戦いで、日テレを苦しめ抜いた。このチームが1年間で得た手応えは決して小さなものではない。その一方で、監督も選手も満ち足りてはいない。

「まだまだ足りないところはあるし、さすが相手はチャンピオンチームという印象を持ちました。ただウチのチームも成長していますし、これから全日本女子選手権、そして来シーズンと、今後もベレーザと当たる機会があると思います。『この差を詰めて、今日とは逆のスコアになることを期待している』。選手たちには、そう伝えたいです」(木村監督)

「やっぱり目の前で優勝を決められて悔しい。でも私たちが1位2位を争っていた訳じゃない。来年こそは私たちも優勝を争い、そして私たちがベレーザの前で優勝を決めたい」(増田)

 遠く見据える栄光への一里塚として、浦和レッズレディースとの4位争いに勝っておきたい。TEPCOはAクラス入りを賭けて、最終節の宝塚バニーズレディースSC戦に臨む。



 4,000人の観衆を前に緊迫した好ゲームを制しての優勝決定。試合終了後、日テレの選手たちはゴール裏のファンと一緒に、スポンサーであるニチレイのアセロラドリンクなどで祝杯を挙げた。共同インタビューに答える松田監督の口も滑らかだ。

「攻撃の部分では得点できなかったこと以外、目指してきたことはできましたし、守備に関しては厳しいゲームの中で『しっかりと失点をしない』ような意識が最後まで発揮できたんで、そういう意味ではゲームの内容は満足しています。選手たちがやはり勝つことに関してすごく強い意識を持っていた。それをプレーで出せたということが今日のゲームで一番の収穫だったと思っています」

 もちろん、選手層の分厚さは他を圧倒している。なでしこジャパン経験者だけで11人揃う時もある。「勝って当たり前、優勝して当たり前」という周囲の評価は、大きなプレッシャーにもつながっていたはずだ。しかし、松田監督は、選手たちに「競争相手は他チームではなく、昨日の自分たち」と意識付け、飽くことのない向上心を要求することでコントロールした。リーグ優勝への最終関門となるTASAKI戦でさえ、新フォーメーションにチャレンジしようとする指揮官の姿に、選手たちも信頼を寄せた。

 3年ぶりのL・リーグ制覇で、岡山国体に続いて今シーズンふたつ目のタイトルを獲得した日テレ。最後のタイトル・全日本女子選手権で、女子サッカー三冠に挑む。確かに一発勝負のトーナメントは戦い方が難しいが、澤、川上ら主力数名が出場できなかった国体でも優勝しており、大本命に推されるのは間違いない。それでもキャプテンの酒井與惠は、楽観論を戒める。

「まだまだ他のチームもこのままで終わるとは思いませんし、次の全日本女子選手権ではみんなが『ベレーザを倒す!』という意気込みで来ると思います。チャンピオンというよりも、いつまでもチャレンジャーという気持ちでやっていかないと足元を掬われると思います」

 驕らぬ女王に、死角は無さそうだ。


松田岳夫監督(日テレ・ベレーザ)インタビュー
試合後の選手(日テレ・ベレーザ)コメント



(日テレ・ベレーザ) (東京電力女子サッカー部マリーゼ)
GK: 小野寺志保 GK: 増田亜矢子
DF: 川上直子、岩清水梓、四方菜穂、中地舞 DF: 青木知里、大部由美、宇野涼子、北郷裕子
MF: 酒井與惠、伊藤香菜子(84分/近賀ゆかり)、澤穂希、大野忍 MF: 本間真喜子、五十嵐章恵、早坂優、中村真実
FW: 永里優季(67分/小林弥生)、荒川恵理子 FW: 佐藤春詠(76分/鈴木玲美)、丸山桂里奈
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