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 頑張れ!女子サッカー 05/11/08 (火) <前へ次へindexへ>
岡山湯郷イレブンと子供たち。

 チーム一丸の逆転劇。大谷、2年ぶり4度目の得点王に。
 2005L1リーグ第21節 岡山湯郷Belle vs. TASAKIペルーレFC

 取材・文/西森彰
2005年11月3日(日)13:00キックオフ 岡山美作ラグビー・サッカー場 観衆:1,425人 天候:晴
試合結果/岡山湯郷Belle1−8TASAKIペルーレFC(前0−5、後1−3)
得点経過/[TASAKI]鈴木(13分、30分、41分)、大谷(20分、28分、53分、87分)、山本(82分)、[岡山湯郷]福原(89分)


 3月のJヴィレッジで東京電力女子サッカー部マリーゼに、新チーム初白星を献上すると、6月に日テレ・ベレーザの澤穂希にL・リーグ通算100ゴールをプレゼント。さらに2週間後、TASAKIペルーレFC・新甫まどかの100試合連続出場に立ち会う…。相手チームのレコードメーカーと化していた今期の岡山湯郷Belle。この試合でも、またひとつ記録を作られてしまった。



 今シーズン最後のゲームを見ようと、岡山美作ラグビー・サッカー場には1,425人が駆けつけた。6位の岡山湯郷が2位のTASAKIを迎え撃つ一戦。今日の最終節を待たずに、どちらも今年の順位は決定している。

 岡山湯郷は、今年上位5チームと、のべ14試合を戦って勝ち点0。来期以降につなげるために引
代表復帰を果たした山本絵美も活躍。
き分け以上の結果が欲しい。TASAKIは国体に続いて、リーグ優勝も日テレに攫われた以上、日テレの大野忍と競り合う大谷未央に得点王をとらせ、個人タイトルで一矢を報いたい。それぞれの目標を掲げて13時、キックオフ。

 格上のTASAKIは高さを生かした攻撃で圧倒しにかかる。佐野弘子、土橋優貴が左右からクロスを送り込み、これを大谷と鈴木智子の強力2トップが待ち構える。岡山湯郷の本田美登里監督も当然のように「TASAKIのゴールの大部分があのふたりによるもの。こぼれ球を山本絵美に決められるのは仕方がない。だけど、前の2枚だけは絶対に離すな!」と指示していた。そこでTASAKIは、佐野や下小鶴綾など後ろの選手もヘディングシュートを打つことで、岡山湯郷の警戒エリアを分散させていく。そして、13分、土橋を起点に速攻開始。大谷を経由したボールを、鈴木が蹴りこんで先制に成功した。

 さらに20分、右に開いた鈴木がDFを釣ってセンタリングを上げると、懸命に戻った岡山湯郷の安田邦子がクリアミス。こぼれ球を拾った大谷が、蹴りこんで2点目。さらに28分にも、山本の出したスルーパスに、GK・福元美穂が飛び出したが、その鼻先で大谷に交わされて3点目。30分には右CKを山本がニアサイドに蹴ると、鈴木が打点の高いヘディングシュートを見舞って4点目。41分にも後方からのロングボールを、DF2枚に競り勝った鈴木が決めて前半でハットトリック達成。TASAKIの個に切られた傷口を、自分たちのミスで広げてしまった岡山湯郷には最悪の展開だ。



4ゴールの大谷は、大逆転で得点王に。
 何とかホームの大観衆を前に、ひとつ良いところを見せたい岡山湯郷。後半開始早々、右から宮間あや、田中静佳と右サイドから中にボールを動かし、一番左に中田麻衣子が余った。まるでラグビーのような展開で生まれたチャンスだったが、サッカーにはGKがいる。中田との1対1を制したのは、なでしこジャパン合宿に召集された秋山智美。

 後半最初のピンチを凌いだTASAKIも、左ポストを叩く佐野のミドルシュートから立て直す。そして53分、柳田美幸のスルーパスでフリーになった鈴木が、大谷に戻して6点目。大谷も鈴木に続いてハットトリック達成。ゲーム開始時点で3点差をつけていたリーディングスコアラー・大野に追いついた。ここから双方、選手交代でガソリンを注入するが、前半から激しく動いていたこともあり、徐々に運動量が落ちていく。

 苦しい時間帯にも、ゴールへの意欲だけが衰えない両チーム。ポッカリと空いた中盤をすっ飛ばしてボールが互いのゴール前を行き来する。岡山湯郷のゴール裏の得点ボードで時を刻む針を睨みながら、TASAKIの選手たちは大谷にボールを集める。82分に山本が頭で奪った7点目を挟み、87分、その時がやって来た。

 右サイドからDFを置き去りにして土橋が突進する。目の前にはGKだけ。それでもシュートを打たない。一度は諦めたDFが後ろから迫り、交代出場の大石沙弥香もフォローに来る。それでも土橋は待った。そこへ長い距離を走り、DFを引きずるような形で大谷が飛び込んでくる。得点の可能性だけなら、最も期待値が低い選択肢だった。だが、土橋は迷わず大谷にパスを出した。一度はシュートコースをDFに塞がれた大谷だったが、もう一度ボールを持ち替え、渾身の力で右足を振り切った。このゴールが大谷に得点王をもたらした。

 8度、いや後半のキックオフを含めると9度センターサークルにボールをセットした岡山湯郷イレブンも、残り3分に今シーズンの全てを込めた。そしてほとんどロスタイムに入る寸前、途中交代でピッチに入っていた福原理恵が、宮間からのロブを絶妙なトラップでコントロール。完全にフリーの状態で決めたゴールに、今までうなだれていた美作ラグビー・サッカー場のスタンドから、万雷の拍手を受ける。1対8。それぞれの2005年度L・リーグが終わった。



TASAKIイレブンと子供たち。
試合終了後は岡山湯郷Belleのサイン会が行なわれた。
 またもや記録をアシストすることになった岡山湯郷。自分たちのミスで浮き足立った前半はともかく、後半の戦いぶりには光が見えた。「FWに入る縦のボールを切るように」という本田監督の指示を自分たちで消化し、ボールを奪われた後の戻り方を選手同士で話し合って修正したからだ。結果的に大谷に4得点を許したものの、前後半には雲泥の差があった。つまりそこまでは辿り着けるわけだ。

「皆さんの予想である7位、8位を脱して6位になることはできたんですが、その上の1〜5位に入れなかったのは残念です。今期はこういう結果になりましたが、ここで得たものを無駄にしないように、次の練習から頑張りたいと思います。まずは当面の目標として全日本女子選手権。冗談と言われるかもしれませんが、優勝を狙っていきたいです」(宮間)

 L1昇格初年度を戦い終えて6位は悪くない成績だと思う。日テレからゴールを奪った本物の「スーパー中学生」加戸由佳や、最後の3節で輝きを垣間見せた田畑沙由理など、成長を期待できる選手はいる。上位チームとの差をどこまで詰め、勝ち点を奪うことができるか。それが今後の課題だ。



「日テレ、浦和がスコアレスドロー」の報に「単独得点王だ!」と歓喜の声を挙げるTASAKIイレブン。それを見ながら吉田茂部長は「これが間違いだったらどうしよう。今さら『違いました』なんて言えないし」と呟きながら、もう一度さいたまスタジアム第2に電話で確認をとる。そしてその情報が正しいことを確認すると、ほっと胸を撫で下ろした。大逆転で2年ぶり4度目の得点王に輝いた大谷本人も、喜びの中に安堵の表情が垣間見えた。

「今日がリーグ戦最後ということで、全日本女子選手権へ向けて良いサッカーをしたいと思っていました。今日はチーム全員に気持ちが入った良い試合だったと思います。得点王という部分については、個人的にも優勝ができなかったので、何かタイトルをとりたかった。それを全員が凄く意識して援護してくれていたので、絶対に決めなきゃいけないと思っていました」

 TASAKIはチーム全体で大谷のバックアップをした。蹴りこむだけの場面でボールを戻した鈴木、大谷がやってくるまでボールを離さなかった土橋のプレー以外にも現れている。この日、大谷の放ったシュート数は11本にものぼる(岡山湯郷全体で5本)。さらに、そのうちの5本は残り15分となってからのもの。大谷はL・リーグ通算スコアを112に伸ばし、日テレ・澤穂希の歴代最多得点も抜き去った。

 TASAKIの次なる目標は元日の国立。「今シーズンは正月までサッカーができるかな? ベレーザさんともう一度サッカーをさせてもらえるかな? 前回は雪の西が丘で寂しく、寒く、散っていったからな(笑)」と吉田部長。チーム一丸で作った個人記録をぶら下げて、TASAKIイレブンはリターンマッチに思いを馳せる。


(岡山湯郷Belle) (TASAKIペルーレFC)
GK: 福元美穂 GK: 秋山智美
DF: 安田邦子、城地泰子、山崎由加、佐藤シェンネン DF: 磯崎浩美、中岡麻衣子(62分/白鳥綾)、下小鶴綾(H.T/甲斐潤子)
MF: 田畑沙由理(64分/江口なおみ)、北岡幸子(75分/福原理恵)、赤井歩、中田麻衣子、宮間あや MF: 土橋優貴、新甫まどか、柳田美幸、佐野弘子、山本絵美
FW: 田中静佳 FW: 大谷未央、鈴木智子(75分/大石沙弥香)
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