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思い知らされた格の違い。だけど・・・！


文／石毛大介

　前節、柏レイソルにアウェイで、しかもこれ以上ないという劇的な逆転劇を演じ、初勝点３を得ました。あの時のアウェイ側のスタンドの歓喜の渦といったら、形容し難いものがありました。あとはホームビッグスワンで・・・。アルビを応援する誰もが願っていることです。

　第４節、対横浜Ｆマリノス戦。前年度Ｊ１チャンピオン、しかもファースト、セカンドステージ両制覇の完全優勝です。アジアチャンピオンズリーグのため、マリノスは中２日での試合です。ですがそういったタイトなスケジュールを乗り切る術を持っているだろうし、アルビの現戦力から考えたら、そのことがアルビにとって圧倒的なアドバンテージとはいえないでしょう。しかし前節劇的な勝利を収め、イケイケの雰囲気であると思います。スタジアムの４万人を超えオレンジ一色です。選手たちが燃えない訳がない。Ｊ１の舞台で初のホーム勝利。アルビに関わる全ての人が望んでいる結果を信じて、キックオフです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
「確かにマリノスは今までの中で格が違うだろう。でもホームだからな。よそ行きのサッカーはしてくれるなよ。勇気もって・・・」と思っていたのですが・・・。
　やはりマリノス、個人レベルでもチームレベルでも数段上です。とにかく全てに速い。４試合対戦したチーム中で一番と言っても過言ではありませんでした。パススピード等ボールの動きもそうですが、判断、予測が早いので選手個々人の動きが早いです。今までの繰り返しになりますが、ボール持ってからだけではなく、フリーの選手の動き、第２第３の動き・・・。完全に中盤、いやピッチ上を征します。完全に序盤からアルビを翻弄します。

　結局、前後半通じて翻弄されてしまいました。例えば、サイドにボールが流れます。同じ状況下でアルビの場合、ボールホルダーを見ながらランニングでポジションそのままでゴールにフリーの選手が「動き」ます。動くというか待っているというか・・・。しかしマリノスはただ待ったりしません。パスの受け手（パスレシーバー）が出し手（パサー）をコントロールする動きをします。「ここに出せ！」と声が聞こえてきそうな迫力です（某氏は爆発ダッシュという表現使いますが、まさにそんな感じです）。中央でゴールに猛スピードで走り込む選手。ある選手が中央からややサイドへ寄ったり、下がってきたら後ろの選手が追い越して、そこに出来たスペースに走り込む・・・。攻めも守りも共通のハイレベルなイメージがシンクロしているのを感じます。思い切りが良いこと、良いこと・・・。守勢にまわるアルビ側は精神的に参りそうなフリーランニングが多発します。

　一方のアルビ。先ほども言いましたが、プレー速度が遅いので、ディフェンスでもプレーが早いマリノスに簡単に捕まります。プレーそのものも受動的。せっかくボールキープしてルックアップしても、マリノスのようなフリーランニングがありません。直ぐに包囲網に引っ掛ります。しかもマリノスの今まで体感したことのない高質なサッカーを展開されてしまってか、引くにも程があるというくらい引いてしまいます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　試合後の反町監督も、「あそこまで引かせるつもりはなかった」と。「スカウティングで把握していたが、ズレが生じた。ゲームを実際にやって思ったより精度の高いプレー、アルビの反応、予測が遅かった感は否めない。クロスも引きすぎているのでノンプレッシャーで上げられてしまっていた」。監督選手全員がロジックだけでは征することのできない、Ｊ１のハイレベルなサッカーを体感したということでしょうか・・・。これら全てを踏まえれば、３失点は（点の取られ方も含め）納得がいってしまいます・・・。

　こうなると「やはりアルビはＪ１は難しい。Ｊ２落ちか？」という論調になりそうですが、僕はむしろ早いうちにＪ１の高質サッカーを体感できて良かったと思っています。先ほども言ったように、スカウティングを基にしたロジックでサッカーができるなら簡単ですが、もちろんそうではないのは皆さんご存知のとおりです。やはりそれに加えて選手、監督現場の人たちが体感したものが糧となります。もちろん下を向いてしまいますが、僕は知将反町監督を信じていますので、必ずＪ１昇格が掛かったあのアグレッシブで観ていて気持ちの良い、本当のムービングサッカーをＪ１でやってくれると思っています。それが実を結ぶまで今は体感レベルを貯える時期。学習機会と思っています。

　次節は言わずと知れた強豪アントラーズ（何のタイトルを何度取っているのか分からないほどのタイトルコレクターチーム）、そして初の国立決戦、対ジェフ戦（４節終わって２位！）。まだまだ強豪との対戦があります。ですが強い相手の方が学ぶことも多いと思います。ＧＷにはきっとガマンした甲斐があったと思わせてくれると信じて・・・。では。