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クラシコ観戦記 (1)


文/茶美

 Piacenzaでの仕事を終え、ミラノの空港近くのホテルで一泊し、翌朝バルセロナへと飛び立ちました。空港の待合室は、既にサッカーの気配が充満し、ヨーロッパのいろんなチームのユニをまとった若者がうろうろしていました。Piacenzaでの学究的な生活を終えたばかりの私にはすごく新鮮。Over booking のため、ラッキーなことに私はビジネス。ハムとジュースの軽食で一息し、窓外の景色を楽しみました。マルセイユかなー、港と海の対比が美しい。
 
 バルセロナの空港は清潔でしたが、治安が悪いから気をつけろといわれていたので、ホテルまでタクシーに乗り、25ユーロ。昼頃ホテル着。ホテルは、最低!!!おんぼろ安アパートと言った感じ。フロントも感じ悪い。電気のヒューズも飛んじゃうし、トイレの水はなかなか止まらないし、セーフティボックスの鍵はないし、帰国の時、旅行会社に思い切り文句を言ってきました。日本人の団体客が多いので、いい気になっている気がしました。まあ、いろんな宿があるのでしょうが。
 
 ホテルの周りを歩いて、地下鉄の駅を確認し、パエリアと魚のスープを食べて、ワインを飲んで、4時頃からとにかく一眠りしました。クラシコは夜の10時からとのこと。そんな遅くに女一人で大丈夫かなー。ま、もう、女じゃないか(若くないということです、念のため)。


 7時頃おきだして、ひと風呂浴びて(ボロッチーけど久しぶりの浴槽)8時に出発。ホテルのフロントにカンプノウへの行き方を尋ねるのもおっくうで、地球の歩き方に書いてあった通りに、リセウから一駅乗り換えて、コインブラで下車。地下鉄の中はカンプノウへ向かう人々でごった返していました。老若男女、全く危険は感じせんでした。
 
 駅を降りると、そこはもう別世界。バルサ、バルサ、と叫びながら行進するデモ隊(?)や、バルサの旗を振りかざして疾駆するオートバイの行列や、あちこちで飛び交う発煙筒や、武装した警察が右往左往といった感じ。でも、やっぱり危険は感じない。

 わくわくしながら、歩くこと7分、ああ、カンプノウが見えてきた!!!!!!!!!!!!!!ああ、カンプノウだ。ついに来てしまった。体中が震える思いで、入り口にたどり着き、近くの人に頼んで記念写真。私が旅行で自分の写真を撮るなんて、まったく、もう、考えられない。でも、スタジアム周辺の興奮が、私を正常な精神状態にはしてくれない。宝物みたいなチケットを胸ポケットにしっかりと抱きしめて、とにかく自分の席に着こうと入り口を抜け、観客席へ。

 私の席はバック側コーナーにかかったところの中段、安い席(79ユーロ)のはずですが、ピッチはすぐそこに、手に取るように見える。素晴らしい。いすの中央に穴があいていて、青い紙がはさんであった。これが、大切な人文字なんだろう。ピッチを背景に、近くにいた日本の男性に頼んでまたまた記念写真。何だ、私は、全く観光客じゃないか。自嘲しながらもわくわく感が押さえられない。だって、カンプノウなんだもん。同じサッカー専門店でチケットを買ったと言う日本人もちらほらいて、少し話をしました。みんなヨーロッパサッカー観戦は数回めとのこと。お金あるんだねー。


 せっかくだから、スタジアムの屋台の食べ歩きをしようと、すごーく肉臭いホットドッグや、ツナのサンドや、カプチーノを買い込みましたが、なんせ、量が多いので、途中で食べるのを諦めました。座席のマットレスを1.2ユーロで借りて、外廊下を半周してみました。国立競技場の雑然とした雰囲気によく似ていました。スタジアムの売り子のお兄さんやおばさん(なぜかお姉さんがいないんだけど・・・)は、一応英語が話せるのでずいぶんスムーズにことが運びました。

 席に戻り、改めてピッチを見回すと、今日は少し暖かいせいか、試合開始1時間前には半数位の席が埋まっていました。そんななかで、面白い光景を見つけました。報道関係者らしき背広姿の東洋人二人が、ピッチのベンチの前で、お互いに記念写真を撮りあっているのです。楽しそうです。名のある解説者かもしれませんが、彼らにとっても今日は特別な日なんだなあ。


 試合開始が近づくと、ごく普段着のシーズンシートのサポたちが集まってきました。隣のおじさんに、いつも来ているのですか?と、かなりゆっくりした英語で聞いてみたけど、とたんに慌てて、no English, no English と言って、2つ先のシートにいた大学生みたいな若者に助けを求めました。イタリアでもスペインでも、私が世界の共通語だと思っていた英語をしゃべる人はほとんどいません。イタリアではイタリア語、スペインではスペイン語を話さなくては生活ができないのです。

 先ほどの大学生に、おじいさんの代からチケットを買っていること、スペインリーグでもとくにこのカードは特別なことなどを教えてもらいました。切符がとれなくて、何人もの知り合いが今日はテレビ観戦だ、とも言っていました。ごめんなさい。私みたいな日本人がこんなところに来ちゃって。でも、私にとっては一生に一度の機会かもしれない。

This is the first and maybe the only one chance for me to watch this kind of great match, you understand ?

と私が申し訳なく言うと

Yes, yes, it's my pleasure people all over the world know Barcelona is such a good team!! と言ってくれました。なんていい人なんだろう。

 レアルもバルサも今年の夏に日本に来てくれたんですよ、親善試合なのに手を抜かずによいプレーを見せてくれたんですよ、と話すと、「今日はそのときの試合の何倍も君は興奮するよ」、と保証してくれました。このとき、ピッチの中央に運んでこられていた四角のテントが開けられて、青と赤の風船が一斉に放たれました。いくつ位あるんだろう、夜空を背景にものすごい数の風船がそれはそれは美しい文様を紡ぎだしました。この光景は一生忘れない・・・・・。
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