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アルビの宝刀リマ
2005Jリーグ ディビジョン1 第10節 アルビレックス新潟vs.川崎フロンターレ

文/石毛大介

 GWの中日ということもあり、ビッグスワンは4万人超え。天気もポカポカ陽気。家族連れも多く、土地柄からかのんびりした良い雰囲気。ただ足りないのは「勝利」。先月の対大宮戦以来、勝ち星から遠のいています。前々節の清水戦、前節の広島戦はまだ録画を見ていませんが内容は良いとは決していえない試合だったとか。まぁ広島戦については0−5の敗戦ですからネ・・・。ここで勝ち星が欲しいのは選手たちや、全てのアルビスタッフだけではなく僕たちも同じ。対戦相手は昇格組の川崎。特にジュニーニョは一人で点の取れる選手。アルビ守備陣は何としても彼を封じ込めないといけません。チーム全体が停滞していても彼の個人技で・・・。何てことにならないように・・・

 今日のアルビの基本システムは3−5−2。久々の3バック。「お、ジュニーニョ封じだな。うんアルビには3バックでガッチリマークディフェンスの方がいいだろう。ゾーンで受け渡してジュニーニョに前向かれるよりは。多少中盤にスペースができるかもな。アルビの中盤プレッシャーは弱いから・・・。ジュニーニョをある程度抑えられれば歯車が狂いだすかも・・・」何て考えていました。それだけ僕は彼は怖い存在だと、前節の川崎対千葉の試合を等々力で観戦して思いました。


 さて、今日のアルビですがいつもより中盤プレッシャーが厳しいように思いました。判断基準がいつもとですから、上位チームのそれと比べればまだまだ。でも選手一人一人の気持ちが伝わってきます。「もうこれ以上負けられない、しかもホームで」そんなスピリットが伝わってきます。そして特筆ものだったのが今日初先発の岡山。グランパス時代から好きな選手の一人でしたが、途中交代での出場機会はありましたが、やっとこさ巡ってきたスタメン。本人も燃えないわけがありません。

 基本ポジションの中央でのタテの動きだけではなく、左右に動き回ってボールを呼び込み非常にアグレッシブでした。何でも両手を広げて「こっちによこせよー」というシーンも目にしました。決めることはできませんでしたが、彼に最後の勝負シーンも何度か。GKとの1対1も惜しかったし(残念ながらイエロー貰ってしまいましたが)。シュートシーンにスタジアムは何度も沸きあがり、何度も岡山コールで盛り上がりました。リアクションではなく自分で流れを作ろう加わろうというスピリットは本当に見ていて気持ちがいい。もちろん僕だけではなく観客全員がそう思ったに違いありません。それは彼が途中交代する際の拍手歓声からも手に取るようにわかりました。今後大いに期待したいと思います。

 川崎もダマっていません。やっぱりこの人、ジュニーニョ。何とかアルビの守備陣が封じ込めますが、もちろんそれは余裕ではなくギリギリの勝負。見ていてハラハラです。第三者的に見れば面白いかもしれませんが、僕らはそうは見ることができませんからね。いや前節の川崎対千葉の試合は本当にリラックスして観戦できました。第三者で見るのは本当に気分が楽です(川崎、千葉サポの方ゴメンなさい)。そして川崎に先制されます。

 中央からの長いパスに丸山が反応しますが、足を滑らせたためにジュニーニョがボールをコントロール。そして野澤と1対1。野澤はジュニーニョの放ったシュートを右足1本で何とか防ぎます。ですがボールはまたジュニーニョの元へ。アルビDF陣も戻り、数は揃いました。ところが、やはりジュニーニョはジュニーニョ。軽快なステップを踏んで素早い足の振りからのシュート。これを見事に決められてしまいます。もうこれはお手上げです。素直にジュニーニョの個人技を認め、褒めるしかありません。やはりこういう1人で出来る選手がいるチームは怖いです。ワンプレーで勝負決めますからネ。この1点のまま後半を迎えます。


 先制されるとなかなか追いつけないアルビ、少々不安を抱えての後半スタート。個人的にはそういう心境でした。ですが杞憂に終わります。PA付近で岡山が浮かせたボールに本間が頭で合わせ、そのボールを船越がコントロール。川崎DFを背負いながらキープして、そして振向きざまにシュートを放ちます。次の瞬間、川崎のゴールネットが大きく揺れました。何でも1999年の湘南対磐田戦以来のゴールだとか。1999年はまだ20世紀。世紀を越えてのゴールにスタンドが歓喜にわきます。

 ここからアルビが攻勢に出ます。前半川崎に先制されてから、追いつかなくてはならないのにどこか停滞したムードがありましたが、やはり勝利が欲しいアルビイレブン。徐々にアグレッシブな展開を見せます。もちろん川崎もジュニーニョを始め黙ってはいませんが、アルビ専守防衛ブロックが瀬戸際で防ぎます。何としても勝利を。そんな想いが伝わってきます。プレーの精度やスピードが数段アップしたわけではありませんが、攻守共々テクニックを超えた闘志溢れるプレーで川崎を迎撃します。一進一退の攻防が続きます。でもどちらかというと川崎でしょうか。やはりジュニーニョがいますからネ。彼がボールをPA近くで持つと本当に怖い。悲鳴にも似た歓声が出てきます。

 そんな中アルビが絶好のチャンスを迎えます。慎吾がPA内ギリギリで倒されFK。スタジアムが歓声に包まれます。スタジアム全体が1人の男の交代が頭に浮かんだと思います。そして反町監督が動きます。アルビの宝刀リマ。この交代は本当に早かった。リマがビブスを脱いで交代用紙を第四審判に渡してピッチの外で交代を待つ時間は1分くらいだったのでは。ケガ人での交代でもこんなに早く準備が整うことないと思います。そして慎吾と交代します。スタジアムはリマコールの大合唱。アルビの勝利は、リマのFKが決まって同点、そして彼のCKからファビのシュートで逆転。何か起こしてくれそうな予感です。


 もちろん、川崎も分かっています。フィールドプレーヤー10人で壁を作ります。アルビの選手たちもこの壁に入ろうとします。主審も壁を下げようとします。こういうセットプレーではよくあるシーンですが、今日はいっそう緊張感があります。なかなか蹴られる状態になりません。こういうシーンでの駆け引きは気持ちを乱れさせてしまいそうですが、リマは違います。ピッチに入りFKのポイントに立つや、両足をしっかりとピッチにつけ、ボールとゴールに目線をやります。微動だにしません。ゴール前の壁の位置を巡っての攻防とは違う世界にいる感じがします。ものスゴイ集中しているのが分かります。

 一度主審の笛がなりますが、もう一度壁の位置の修正。それでもリマはさきほどと同じように集中を高め自分の世界で時間を過ごします。そして2度目の笛。リマの右足から放たれたボールを早く鋭く曲がり川崎のゴールに突き刺さります。アルビ逆転。スタジアムが狂乱と化します。そしてリマは自ら放ったFKよりも、素早く、そして高く自分のユニを脱ぎ捨てアルビサポーターへ。その様は子供が始めて大浴場に行き、はしゃいで洋服を脱ぎ捨て風呂に飛び込むかのようです。リマもそんな感じで着ているもの全部脱ぎ出してしまわんばかりの喜びを爆発させます。ピッチに上半身裸で帰ると、待っていたのはイエローカード。でも笑顔で受け入れ「そんなのは分かっているんだ。今は気持ちが良いから関係ない」。オーロラビジョンにはそのFKのシーンが流れどよめきます。本当に素晴らしいFKでした。残り時間ずーっと流してほしいくらいでした。


 何とか勝点3をゲット。ホッとしました。でも一番ホッとしたのは反町監督では。この試合にも無様に負けるようなことがあれば解任ってこともあり得ますからネ。アルビに関わる全ての人が待ち望んだ勝利。内容は万全ではありませんが、とにかく勝たないことには話になりませんから。勝利しても修正があるでしょうが、それは現場の方たちに任せて、僕らは素直に喜び、そして次の勝利をまた待ちましょう。やはり勝利で帰宅すると疲れも感じません。帰りに新潟駅で買った山古志のお酒が美味しかったです。

 次節は対柏戦。もちろん観戦に行きますが去年J1昇格して初めて勝利した相手。ですが代表クラスの選手がいますからね。侮れません、というかアルビにとって侮っていいチームは0ですがネ。おそらく多くのアルビサポが新潟からやってくるでしょう。その方たちの帰路が心地よいものになるように祈りたいと思います。では。
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