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 webnews 03/06/11 (水) <前へ次へindexへ>
新シフトも空転!日本、アルゼンチンに歯が立たず!
キリンカップ2003 日本代表vs.アルゼンチン代表

2003年6月8日(日) 19:24キックオフ 大阪・長居スタジアム 観衆:42,508人 天候:晴
試合結果/日本代表1−4アルゼンチン(前0−2、後1−2)
得点経過/[アルゼンチン]サビオラ(30分)、サネッティ(45分)、[日本]秋田(
54分)、[アルゼンチン]ロメオ(79分)、ロドリゲス(82分)


取材・文/貞永晃二

 素晴らしいサッカーを見た。高度な能力を持った選手たちが、そのポテンシャルを最大限に発揮し、しかもフォア・ザ・チームに徹して戦う。その姿は、ため息が出るほどの美しささえ醸しだしていた。ただ残念だったことは、そのチームが私たちの愛する青き代表ではなく、若きセレステ・イ・ブランコたちだったことだ。



 完敗を喫した韓国戦から一週間。そのスタメンは、パルマから戻った中田英を三都主に代えただけのものだ。しかし、ジーコ監督の指示したシステムは、中田英をいわゆるトップ下に、その後ろに右から小笠原、稲本、中田浩をトレス・ボランチ気味に置く目新しいものだ。しかし韓国戦の反省から短い準備時間で構築したものが、強豪アルゼンチンに果たして通用するのだろうか。

 キックオフは日本。しかし、いきなり中田英の出したパスがタッチラインを割る。「ヒデさえも・・・」スタジアムがいやな空気に包まれた。カンビアッソのさばき、アイマールのドリブルを中心としたアルゼンチンのボール・キープ率は予想通り高い。さらに高い位置で忠実にチェイシング、プレッシングを仕掛けてくる。しかし日本も決定的なピンチを迎える前に辛うじて「芽」の段階でつぶすことに成功していた。

 最初の決定機は18分、アイマール、ガレッティ、ソラリとつなぎサビオラが抜け出しシュート、GK楢崎が止める。再度拾ったサビオラは楢崎をひらりとかわしシュート、今度は秋田が防ぐ。日本も中田が持ち味の「強い」ドリブルでカンビアッソを振り切るが、2トップの動きがダブってパスコースが消される。



 日本にはアルゼンチンの圧倒的な攻撃にさらされる我慢の時間が続く。アイマールの運動量はすさまじい。まるで2人いるようにさえ見える。あの華奢な体のどこにパワーが潜んでいるのだろうか。29分、稲本がコース取りの良いドリブルで前進、3人を交わしシュート、しかしインパクトが悪くGKカバジェロが軽々とセーブする。

 そしてアルゼンチンがあっけなく先制する。30分、左サイドでアイマールが小笠原を翻弄したあと、内へと入り込み、DFの注意を自らに集め、フリーで待つサビオラへ「どうぞ」。こういうチャンスに力まずに、コースを狙えるのがサビオラらしいところ。ボールは右スミに飛び込んだ。170センチから168センチへ、サッカーはやはり身長では測れない。

 先制した後もアルゼンチンは攻め続ける。パスがピッチを縦に、横に、そして斜めに回る。懸命に後を追いかける青いジャージがむなしくそして哀しい。加えて、たまに来るチャンスも小笠原、中田浩、稲本と自らのミスで失っていく。

 前半なんとか1失点で終われたらと思われた45分、中盤で中田からボールを奪い、追いすがる稲本を弾き飛ばし、猛烈な加速でゴールへ向かったのはサネッティ。98年トゥールーズでの日本をも知るベテランが、サビオラと素早いワンツーを交わしリターンを右足アウトナ強烈に撃った。手を伸ばす楢崎から逃げるように右サイドネットを揺すった。選手もサポーターもあっけにとられる見事な一発だった。 



 後半を迎えジーコ監督はあっさりとトレス・ボランチを捨て従来どおりのドイス・ボランチに変えてきた。守備に忙殺された小笠原、中田浩と中山をアウトし三都主、福西、大久保を投入し、やりなれたシステムで得点を狙う意図だろう。

 ホームスタジアムでの試合に燃える大久保は、三都主のクロスから顔見せシュート。そしてリズムの出た日本の追撃ゴールは54分。右CKを三都主が鋭いキック、鈴木の跳んだ陰のニアで秋田が彼らしいストロング・ヘッド。1−2、ようやく溜飲の下がったサポーターは、応援のボルテージが高まる。得点後もペースは日本が握り、同点への期待が膨らんだ。鈴木から三都主とパスは流れゴール前へ侵入した中田英にチャンスが訪れるがシュートはアルゼンチンDFが許さない。カウンターから中田英、大久保とつながるがカンビアッソが文字通り体を投げ出し止める。

 アイマールがアウトし、リケルメがイン。日本も鈴木から永井へ。日本は大久保の奮闘が目を引く。しかし日本のシュートはまとわりつくアルゼンチンDFが足で、体で防ぎGKカバジェロを脅かすに至らない。それでも攻撃にリズムがあるときは守備面でも組織は乱れないものだ。そしてロメオがサビオラに替わって入る。この高原の同僚は登場早々に日本に引導を渡す役割を果たす。79分、ゴール正面のFKをリケルメがふわりとGKとカベとの間に落とす。横から入ったロメオが森岡の緩慢なマークもあってフリーでボールに触れ、GK楢崎の頭上を越えさせた。日本DFの集中がふっと途切れた時間帯の失点。またも2点差となる貴重な追加点だ。

 畳み掛けるアルゼンチンはソラリに替わって入ったロドリゲスが終盤の82分、左45度から思い切りよく狙うと、右ポストを叩いた後不運にも楢崎の身体に当たりゴールへ入ってしまった。1−4、ついに3点差で試合は終わった。



 日本代表にはほとんど収穫のない試合となってしまった。採用したトレス・ボランチは、
合流した中田英を最大限活かそうとしたものだったのか、それとも対アルゼンチン用にリアクション的に組まれたものだったのか、はっきりわからないまま前半だけで終わってしまった。
 
 しかしシステム云々より前にアルゼンチンとの、世界列強国との実力差がまだまだ大きいことを痛感させられた。そしてわずか1ヶ月間の世界大会でのベスト16というものが、決して世界のトップ16ではないということを、誰もが思い知らされたのではないだろうか。

 しかも本来的に「代表」へのモチベーションの強いアルゼンチンの選手たちである。さらに早くもはじまろうとしている「予選」に選抜されるかどうかぎりぎりの選手が多く、アピールの場としての対日本、対韓国の2試合であること。一方、指揮官の目指すサッカーがどのようなものなのか、選手によって理解のレベルが違うように思われる我らが代表。彼我の置かれた立場はかなりの温度差があったことも事実だろう。

 ジーコの目指すサッカーがパラグアイ戦、その後のコンフェデとどのような形で姿を現すか楽しみでもあり、怖くもある。アントラーズがJリーグの強豪となる過程で、ヨーロッパ遠征での対クロアチア代表戦1−8という試合のことがよく言われる。この日の完敗を同様のものにできるか、ジーコのお手並み拝見だ。


(日本代表) (アルゼンチン代表)
GK: 楢崎正剛 GK: カバジェロ
DF: 名良橋晃 秋田豊 森岡隆三 服部年宏 DF: キローガ コロッチーニ プラセンテ
MF: 小笠原満男(46分/三都主アレサンドロ) 稲本潤一 中田浩二(46分/福西崇史) 中田英寿 MF: カストロマン(36分/エインセ)カンビアッソ サネッティ アイマール(63分/リケルメ)
FW: 中山雅史(46分/大久保嘉人) 鈴木隆行(65分/永井雄一郎) FW: サビオラ(72分/ロメオ)ガジェッティ ソラリ(76分/ロドリゲス)
SUB: 川口能活 山田暢久 宮本恒靖 坪井慶介 奥大介 遠藤保仁 松井大輔 石川直宏 SUB: ブランコ ドゥチェル ゴンサレス
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