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 webnews 03/06/23 (月) <前へ次へindexへ>
スター不在だろうと面白い試合には理由がある
FIFAコンフェデレーションズカップ フランス2003 グループA フランス代表vs.コロンビア代表

2003年6月18日(水)21:00キックオフ リヨン(スタッド・ジェルラン) 
試合結果/フランス代表1−0コロンビア代表(前1−0、後0−0)
得点経過/[フランス]アンリ(39分PK)


文/砂畑 恵

 コンフェデレーションズ杯のフランス対コロンビアは、ペナルティーエリアに侵入したヴィルトールが、ディフェンスのカバーに入ったヴェラスケスのハンドを誘い、フランスがPKを獲得。キッカを務めたアンリは、じっくりとGK O・コルドバの動きを見極めながら、逆を付いてPKを沈めた。このPKによるゴールが両チーム唯一の得点であり、明暗を分ける恰好となった。



 コリア・ジャパンW杯ではよもやの1次リーグ敗退となったフランス。サンティニ監督にとっての目下の仕事は、前回優勝国ということで予選免除となったユーロ2004ポルトガル大会に向けてのチーム作りである。よってコンフェデレーションズ杯の目的は、結果もさることながら、若手の選手に真剣勝負の機会を与えて場数を踏ませてやることに主眼を置いている感が強い。地元フランスでの大会で無様な試合を見せるわけにはいかないが、海外のクラブで名を馳せているベテラン組に混ざって、メクセス、ペトレッティ、カポといった国内選手や、海外クラブ所属でも出番の少ないダクールなどの代表経験の薄い選手を先発で起用していることからも監督の心情が解る。

 対戦相手のコロンビアもチーム作りの最中だ。コロンビアサッカーが注目されたのは案外、歴史も浅く、80年代後半で現在のチームを率いるマツラナ監督が就任した頃からであり、90年のW杯イタリア大会にてベスト16に食い込んだことが切っ掛け。ライオンの鬣のようなヘアーに、異彩を放つパスでチームを操ったバルデラマの登場も大きく影響している。その後はイタリアのパルマでも活躍したアスプリージャなどの選手も育ったが、94年W杯アメリカ大会では多大な期待を受けながら1次リーグ敗退と、その期待を裏切る形となった。

 続く98年W杯フランス大会は出場したにはしたが、バルデラマやアスプリージャといった主力級の選手の高齢化もあって1勝するのがやっと。01年のコパ・アメリカで地元優勝するも、コリア・ジャパンW杯では、とうとう出場することも叶わなかった。こういった現状を打破し、チームを若手に切り替えることが、名将の誉れ高いマツラナ監督が代表監督に再々就任した理由でもあろう。



 そんな両チームの事情に加え、フランスにはスペインリーグも終盤ということありファンタジスタ・ジダンはいないし、コロンビアにもゲームを操るコンダクター役の選手がいない。華麗なテクニックや、万人が驚かされるようなスーパープレーは存在しないゲームとなると、ややもすれば退屈なゲームになるだろうと思いがち。しかもゴールもたった1本。しかし、両チームがピッチで表現したサッカーは、十分に見応えのある一流のサッカーには違いなかった。それは、ピッチにいる選手の誰もが、サッカーで1番大切な基本をに見事に体現していたからに他ならない。少ないタッチ数で、申し分のないパススピードで、卓越した足元の技術やトラップを見せてくれている。

 それにコロンビアの中盤でのチャージ&カバーは素晴らしかった。フランスボールとなるとボールホルダーに対して2人でボールを奪いに行くのだが、ボールを持つ選手にアタックする者と、その間隙をついてボールを奪う者との連動するタイミングが絶妙である。そのままマイーボールになった場合は、本来のポジションをブレークしながら、味方同士のトライアングルを作る的確な距離感。DFはフランスのスピードと攻撃力を警戒して、ほとんどの時間帯を4人とも守備に専念していたが、FWに簡単に当たりには行かず、辛抱して自分の間合いに誘い込む。

 フランスはフランスで、最初は絞り気味にしてコロンビアの中盤の守備と真っ向対決。コロンビアの攻撃を中央に集中させて、固いセンターラインで絡め取り、コロンビアにシュートチャンスを与えない。そして徐々に横にワイドに広がりながら、コロンビアの選手同士の守備の距離を開けさせて、チャージ&カバー網を破っていく。FWの2人が外に開いたり、アウトサイドが中に入ることでテュラムやリザラスが攻撃参加してサイドから揺さぶりを掛けた。これによりサイドの主導権どころかゲームを支配し、コロンビアのボランチを守備に回らせ、より相手を中央攻撃しか出来ない状況に追い込み、守りでもコロンビアに優越していった。



 両チームの若手の選手も、それぞれ監督の期待に応えるプレーを見せ、互いが繰り広げる丁々発止の攻防戦に、見る側はどんどんと虜になって、息を飲み、手に汗握る。スーパースター不在の試合だったとはいえ、フランスもコロンビアも基本に忠実でありつつ、なおかつ戦術の妙を披露し、サッカーそのもの楽しませてくれた。コンフェデレーションズカップの位置付けの不明確さが指摘され、各国とも必ずしもフルメンバーで参加しているわけではないが、両チームは十分サッカーの面白さを伝えてくれたのではないだろうか。


(フランス代表) (コロンビア代表)
GK: クペ GK: O・コルドバ
DF: テュラム メクセス デサイー リザラス DF: マルティネス(93分/バジッェホ) I・コルドバ シエペス ベドジャ
MF: ヴィルトール ペトレッティ ダクール カポ(61分/ピレス)  MF: ベラスケス ロペス パティーニョ(66分/アリアガ) エルナンデス
FW: シセ(77分/ゴヴ) アンリ(85分/マルレ) FW: ベセーラ アリスティサバル
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