これが世界３位の実力　トルコがアメリカを降す
FIFAコンフェデレーションズカップ　フランス2003　グループＢ　トルコ代表vs.アメリカ代表

2003年6月19日（木）19:00キックオフ　サンテティエンヌ（スタッド・ジョフロワ・ギシャール）　観衆：16,944人
試合結果／トルコ代表２−１アメリカ代表（前１−１、後１−０）
試合経過／［アメリカ代表］ビーズリー（36分）、［トルコ代表］オカン・ユルマズ（39分）、トゥンジャイ（70分）


文／大内孝彦

　コンフェデレーションズカップの第２日目には、グループＢのチームが登場する。そのグループＢはブラジル、トルコ、カメルーン、アメリカの４ヶ国の組み合わせ。その初戦でトルコ代表とアメリカ代表が対戦する。2002年のワールドカップで３位という好成績を収めたトルコ代表。北米大陸を代表して出場するアメリカ合衆国代表。2002年Ｗ杯では良い戦い振りを見せた両国の対戦だけに、好ゲームが期待されるところである。

　試合は期待通りの激しいものとなった。まず最初に決定的な場面を迎えたのは前半12分、トルコの攻撃であった。FWのオカンが、相手ディフェンスラインの裏を衝いたパスに合わせて抜け出して右足でシュート。GKと１対１の絶好の場面であったのだが、これはGKハワードが足でセーブ。さらに18分にもギョクデニズからの見事なパスを受けたセルチュが左サイドからセンタリング。これも良い形の攻撃であったのだが、アメリカのDFがゴール前でクリアしてトルコに得点を許さない。

　さらにトルコの決定機が続く。時間は21分、アフメトのフリーキックがクロスバを叩く。さすがは世界第３位の実力を誇るトルコ。試合の主導権を握って試合を進めていく。しかし、トルコに押され気味のアメリカも粘りを見せる。ボールホルダーへの激しいプレッシャーを中盤から見せて、トルコに決して先制点を許さない。

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　試合が動いたのは前半36分。ハワードからの長いゴールキックをキロフスキが頭で左サイドのスペースへと落とす。これをドノバンが拾い、サイドを抉ってからセンタリング。そしてファーサイドでビーズリーがヘディングシュート。見事にゴールネットを揺らして押され気味だったアメリカが先制した。
　しかし、このアメリカのリードもほんの一瞬のことであった。39分、トゥンジャイへのファウルで得たPKをオカンが決めてトルコが同点としたのである。そして、前半はこのまま終了した。

　後半も前半同様に激しい戦いが続く。50分、トルコは長いスルーパスからギョクデニズが抜け出しシュートを放つが、これはアメリカのDFが体を張って防ぎ得点を許さない。対するアメリカも10番を背負うドノバンを中心とする鋭いカウンターを時折見せて、トルコに対して一歩も引かない。

　そして70分、トルコに勝ち越し点が生まれる。トゥンジャイがボルカンとのワンツーでディフェンスラインの裏へと抜け出し、さらにGKもかわしてゴールへと流し込んだのである。この試合、トルコは一貫してアメリカのディフェンスラインの裏を狙っていたのだが、このゴールはその狙いが見事に結実した形となった。

　結局、トゥンジャイのこのゴールが決勝点となった。この後、アメリカが必死の反撃を見せ、77分にはドノバンからのロングパスを受けたマティスが決定的なシュートを放つ場面もあったのだが、ビュレントがゴールライン上でクリアし得点とはならず。トルコは３分間のロスタイムにもアメリカに得点を許すことは無く見事に逃げ切った。

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　それにしても、この試合は好試合であった。ともにしっかりとした守備と明確な意識のある攻撃を見せていた。両国ともに１年前と比べて何人かの選手の入れ替えがあったことを考えれば、指導者の優秀さだけではなく、国としてのサッカーのレベルが底上げされていることが窺がえる。特に、主力級が半分近く抜けているにも関わらず、破綻の無い戦いぶりを見せたトルコについては、名実ともにこの国が世界の強豪国に上り詰めていることをあらわしている。この試合を見る限り、グループＢには楽に勝たせてもらえるチームはなさそうである。４チームすべてにとって、厳しいグループになりそうだ。