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 webnews 03/06/26 (木) <前へ次へindexへ>
激闘90分!トルコが決勝トーナメント進出を果たす。
FIFAコンフェデレーションズカップ フランス2003 グループリーグB ブラジル代表vs.トルコ代表

2003年6月23日(月)21:00キックオフ サンテティエンヌ(スタッド・ジョフロワ・ギシャール) 観衆:29170人 
試合結果/ブラジル代表2−2トルコ代表(前1−0、後1−2)
得点経過/[ブラジル]アドリアーノ(23分)、[トルコ]ギョクデニズ(53分)、イルマズ(81分)、[ブラジル]アレックス(93分)


文/中倉一志

「トゥルキエ!トゥルキエ!」。スタッド・ジョフロワ・ギシャールにトルコサポーターの歓声がこだまする。その大歓声はカナリア色を身にまとったブラジルサポーターの声援を圧倒して、スタジアムはトルコホームの様相を呈している。ここまでの2試合では攻撃のリズムを作ることが出来ず、しかも、トルコに勝つ以外には決勝トーナメント進出の道がないブラジル。「王国ブラジル」と言えどもプレッシャーのかかる大一番だったはずだ。

 しかし、やはりブラジルはブラジルだった。過去2試合を戦ったチームとはまるで別のチームのように立ち上がりからトルコに襲い掛かる。この日のブラジルは両サイドバックにマウリーニョとジウベルトを起用。そのマウリーニョが開始早々、高い位置から攻撃参加すれば、左サイドからはジウベルトが積極的にオーバーラップしてトルコ両サイドをこじ開ける。ここまで全く機能しなかった両サイドからの攻撃を武器にトルコゴールに迫る。

 何が何でもゴールをこじ開ける。そんな気持ちを前面に出して戦うブラジルの攻撃は圧巻だった。トップ下のロナウジーニョを中心に、クレベルソン、エメルソン、ヒカルジーニョが速いテンポでボールを回す。そして、トルコの注意を中央にひきつけると、絶妙のタイミングでマウリーニョ、ジウベルトがオーバーラップ。トルコの守備網を易々とかいくぐって何度もチャンスを演出する。トルコは必死になって跳ね返すので精一杯だ。



 最初の決定機は7分、クレベルソンからのクロスボールにイランが合わせる。シュートはポストに嫌われたが、トルコが肝を冷やすには十分だった。続く15分、ロナウジーニョからのパスを受けたアドリアーノが無人のゴールにシュート。これは必死になってゴールマウスに戻ったビュレントが足ではじき返した。しかし、時間の経過とともに激しさを増すブラジルの攻撃をいつまでも跳ね返すのは至難の業。そして、とうとうブラジルがゴールをこじ開けることに成功する。

 時間は23分。最終ラインからのルシオフィードに、タイミングよく飛び出したアドリアーノがGKと1対1に。肩でコントロールしたボールは高く弾んで難しい体制になったが、つま先でボールをつつくと、ボールは飛び出してきたリュシュトュの頭上を越えて、ゆっくりとゴールマウスに吸い込まれた。その後もブラジルの攻撃はとどまるところを知らない。トルコは反撃の糸口を見つけられないままだ。

 負ければ全てが終わってしまうトルコは35分、ボランチのボルカンを下げてイルマズを投入。中盤をダイヤモンド型の構成に変えて、前線を2トップに変えた。しかし、ブラジルはびくともせずに攻撃を繰り返す。そして試合はこのまま前半が終了。ゴールこそ1つだったが、ブラジルがトルコを圧倒して45分を終えた。しかし、後にして思えば、一方的に攻めながらも1点しか奪えなかったことが試合の流れを大きく変える要因となった。



 後半に入ると、突然ブラジルのリズムが変わる。前へ出るプレッシャーは半減し、両サイドも前へ出てこない。この変化をトルコは見逃さなかった。両サイドの守備から解き放たれたトルコは、自由奔放に中盤を動き回り、高い位置からブラジルにプレッシャーをかける。そして、速いテンポのパス回しと、ボールを奪ってから縦に速い攻撃で主導権を奪い返した。ブラジルにとって初めて迎える我慢の時間帯。緊迫した時間が続く。

 そして53分、トルコが値千金の同点ゴール奪う。ファディ・アキイエルが前線へ長いボールをフィードすると、わずかに乱れたブラジルのオフサイドラインの裏側にギョクデニズが飛び出す。そして右足アウトサイドでボールをふわりと浮かせた。GKジーダはボールの軌跡をただ見つめる以外に方法がなかった。これで完全に波に乗ったトルコは、スピードあふれるプレーでブラジルを圧倒。明らかにブラジルは浮き足立った。

 しかし、ブラジルは再び最後の力を振り絞って前へ出始める。引き分けならグループリーグでの敗退が決まるブラジルは、なりふりかまわず人数をかけて攻撃を仕掛ける。一方のトルコは、粘り強く守ってカウンターで対抗。互いにゴール前での攻防が増えていく。そして81分、強引に突破しようとしたアドリアーノからボールを奪ったトルコは、すかさずカウンター攻撃を展開。トゥンジャイ、バシュトュルクとボールをつないで、最後はイルマズが勝負を決める逆転ゴールを決めた。



 ブラジルは4分間のロスタイムで1点を返して同点にしたが、時すでに遅し。結局総得点数で1点足りず、グループリーグでの敗退が決まった。しかし、若手のテストの意味合いが強く、しかも過去2戦ではブラジルらしいところを見せられなかったにもかかわらず、勝負がかかった大一番で見せたパフォーマンスは、さすがはサッカー王国と呼べるもの。2002年W杯組と比較すれば物足りなさは否めないが、王国の意地は十分に見せたと言っていいだろう。

 一方、決勝トーナメントへの進出を決めたトルコは、2002年W杯で見せたスピードあふれる小気味よいサッカーを再び見せてくれた。前半が終わった時点では完全に負けゲームだったが、ブラジルのわずかな変化をかぎつけリズムを奪ったこと、その後のブラジルの猛攻を粘り強い守備で跳ね返したこと等、こちらも持ち味を十分に発揮した試合だった。準決勝で相対するのは地元フランス。2002年W杯王者を下したトルコの次の目標は、1998年W杯王者を倒すことだ。


(ブラジル代表) (トルコ代表)
GK: ジーダ GK: リュシュテュ
DF: マウリーニョ ルシオ ファン ジウベルト(71分/クレーベル) DF: ファディ・アキイエル アルパイ ビュレント イブラヒム・ユジュメルズ
MF: クレベルソン エメルソン ロナウジーニョ ヒカルジーニョ(63分/アレックス) MF: ギョクデニズ ボルカン(35分/イルマズ→88分/セルカン) バシュトュルク セルチュク エルギュン(72分/イブラヒム・トラマン)
FW: イラン(61分/ジウ) アドリアーノ FW: トゥンジャイ
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