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 webnews 03/06/30 (月) <前へ次へindexへ>
今年のターニングポイントか!? 川崎、鳥栖を圧倒
2003Jリーグ ディビジョン2 第20節 川崎フロンターレvs.サガン鳥栖

2003年6月28日(土)19:00キックオフ 等々力スタジアム 観衆:7,973人
試合結果/川崎フロンターレ6−3サガン鳥栖(前3−0、後3−3)
得点経過/

[川崎]今野章(7分・32分)、中村憲剛(41分)、[鳥栖]佐藤大実(51分)、[川崎]バルデス(55分)、[鳥栖]森惠佑(65分)、[川崎]今野章(68分)、バルデス(71分)、[鳥栖]三好拓児(87分)


文/原田桂

 試合前の子供向けのイベントもあって、多くの家族連れで賑わったこの日の等々力。前回のホームゲームで起きた暴動の余韻など全く感じなかった。暴動の際、無数のペットボトル等が投げ込まれたのにも拘わらず、手荷物検査が無いというのには少々驚いたが、ビン・カン類から自主的に紙コップに移しかえる人々の姿を見て、運営サイドの判断が正しいことが分かった。スタジアム内は普段のほのぼのとした雰囲気に包まれていた。



 出場停止のボランチ茂原に加え、攻撃の要ジュニーニョを怪我で欠いたこの試合、川崎は攻撃のパターンを変えてきた。前節からスタメン復帰のバルデスのポストプレーを起点に長橋・アウグストのサイド攻撃。さらに中盤の4人が縦に横にポジションチェンジを繰り返しながら、ゲームを組み立てつつ相手DF裏をも狙う。従来のアウグスト・ジュニーニョの個人技中心のカウンターに比べ、より「連動」を意識。攻撃の幅が格段に広がった。

 中盤に守備的な選手を並べる大幅なスタメン変更に踏みきった鳥栖。ボランチの組み立てとアウグスト・ジュニーニョの両助っ人さえ抑えれば川崎はチャンスさえ作れないというデータを意識してのものだったはず。それをもとに導き出したであろう川崎のカウンター対策と、ピッチ上での川崎のプレーとのギャップ。中村・鈴木のオーバーラップに活路を見出そうとするが、さすがに戸惑いを隠せない。

 試合が動くのにそう時間はかからなかった。7分、左サイドアウグストから中村がゴール前にスルーパス。ダイレクトで今野が落ち着いて流し込む。中村には、今野以外にも縦に久野・ファーサイドにバルデスと3つのパスの選択肢があった上に、攻撃のリズムに緩急をつけての得点。ここ最近の川崎の得点シーンとは明らかに違っていた。川崎のゴールラッシュを予想するに充分なゴールだった。

 バルデスのポストプレーと中盤の動きに完全に振り回された鳥栖を尻目に追加点は32分、ロングボールにバルデスが競り、こぼれ球を教科書通りにDFの裏を取った今野がそのままシュート。
 そして圧巻は41分、アウグストがアウト気味にかけたピンポイントクロスがファーサイドの中村へ。このクロス自体も凄かったが、ミドルレンジ右45度から放たれた中村のダイレクトボレーシュートはまさに世界レベル。ゴールに対するコンセプト・テクニックは以前から評価の高かった中村。川崎の新エース誕生を予感させるダメ押しゴールが決まり、前半を折り返す。



 3点差を跳ね返すべく、鳥栖は後半開始に小石・服部、68分にジェフェルソンを入れ攻撃的にする。ここで川崎は、ゲームを落ち着かせて上手くゲームを壊すというセオリーを無視し、あえてやり合う事を選択する。
 守備にメドが立っている分、もう少し攻撃を意識させたいという意図。また、試合でフィットしてると言い難かった選手を馴染ませ、各選手に様々なポジションで試すなど今後を見据えた目的も感じられた。両チーム、点の取り合いになるのは自明なことだった。

 51分、中央突破から佐藤(大)のゴール。前半からのサイドの崩しが実った66分に森、終了間際にFKから三好と鳥栖は後半3点を奪うものの、川崎もゴールを量産。開幕から15試合連続無得点と不振に喘いでいたバルデスの2ゴールとハットトリックとなる今野のヘッド。
 後半だけで互いに3ゴール、計6ゴール。終わってみれば、J2新記録となる9ゴールの乱れ打ち。内容的には、川崎の快勝であったが、両チームの攻撃的な姿勢が色濃く出た試合だった。



 格上の相手に裏をかいたつもりが逆に完全に裏をかかれ、前半で簡単に勝負を決められてしまった鳥栖。さらに相手が今後を見据えた試合をし始めるなど、ピッチ内の状況だけでもモチベーションがなくなる要素は沢山あった。多発したラフプレーには少々問題はあるが、そんな状況下でも3得点を挙げた選手達の姿勢にはプロとしての意地を感じた。

 普段のカウンターサッカーとは違った戦い方をみせた川崎。バルデス・今野の活躍もさることながら、個々のセールスポイントが連動し、どこからでも点の取れるサッカーが出来たというのが大きい。プレスとの兼ね合い、ミドルシュートやサイドに対しての守備などまだまだ課題があり、対戦相手のよっての一戦術という位置付けの可能性もあるが、もしかしたらこの試合が大きな意味を持つものになるかもしれない。

 川崎の先制点の中村・今野のコンビネーションや、3点目のアウグストのピンポイントクロスと中村のダイレクトボレー、終了間際のバルデスのキックフェイントなどなど、子供達の目にしっかり焼きついたことだろう。
 体力・運動量的な面も必要ではあるが、やはりサッカーである以上は「ボールをめぐる攻防での創造性」などの「球技としての部分」を大切にしてもらいたい。ファンタジックなプレーを真似しようと練習するあどけない子供達の姿が目に浮かぶ。


(川崎フロンターレ) (サガン鳥栖)
GK: 吉原慎也 GK: 高橋範夫
DF: 箕輪義信 渡辺匠 伊藤宏樹(69分/黄川田賢司) DF: 鈴木勝大 宮川悟 三好拓児 中村祥朗(45分/小石龍臣)
MF: 長橋康弘 久野智昭 山根巌 アウグスト(77分/伊藤優津樹) 今野章 MF: ジュニーニョ 佐藤陽彦 井手口純 森惠佑(68分/ジェフェルソン) 石橋直希(45分/服部浩紀)
FW: 中村憲剛(61分/岡山一成) バルデス FW: 佐藤大実
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