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 webnews 03/12/12 (金) <前へ次へindexへ>
ゴールラッシュならず!日本PKの一点で香港に辛勝
東アジア選手権2003決勝大会 日本代表vs.香港代表

2003年12月7日(日) 19:16キックオフ 埼玉・埼玉スタジアム2002 観衆:45,145人 天候:曇
試合結果/日本代表1−0香港代表(前1−0、後0−0)
得点経過/[日本]三都主(37分・PK)


取材・文/貞永晃二

 この日の第一試合で韓国が中国に勝利し2勝、得失点差3、総得点4となった。日本が香港に2点以上の差をつけて勝利すれば、最終戦・韓国戦に引き分けでも今大会の初代王者に就くことができる。先日決まったワールドカップ一次予選の相手(オマーン、インド、シンガポール)が守備的に戦ってくるであろうことを考えると香港はそのシミュレーションとして最適の相手だろう。守備を固められたときにいかにそれをこじあけることができるか、そこが焦点となる。



 当然のように試合を支配したのは日本だった。今大会の最終ラインはスリーバック。緒戦の中澤が茂庭に代わった。従来サイドバックであった山田暢、三都主をそのままウイングバックとして常時高い位置に置き、左右のサイドからより攻撃的にプレーさせる意図だ。彼ら二人には浦和・清水での本来のポジションなだけにやりやすいはずだが。

 そして早速、三都主が左サイドを蹂躙しチャンスメーク。3分、ニアポストの久保を狙ったクロスはDFと競り合ってこぼれファーに詰めた大久保が左足でプッシュ。しかし、これまでの代表戦のビデオを見るかのように、セレッソ大阪では決まるゴールが、なぜか代表では決まらない。「ああ、またか」満員とはいかないものの4万5千を超す多くの観衆を飲み込んだスタジアムのあちこちで深いため息。さらに香港が自陣深いところでファウルを繰り返しFKを得るが、三都主・遠藤には帰国しなかったレッジーナのMFほどのキックの精度は残念ながらない。

 攻め続ける日本。MFに君臨する小笠原からゴール前に飛び込んだ久保の頭にピンポイントクロスが入るが、香港GKファンが必死にセーブ。さらに遠藤のスルーパスをオフサイドラインをヨコばいして入った大久保が受けるがGKが勘良く出て蹴り出す。香港もミドルシュートを放つが、楢崎が無難に処理する。

 日本のビッグチャンスは17分、福西、小笠原(スルー)、大久保と中盤をタテにジグザグにつなぎ、ボールは小笠原に。そして左に逃げた久保にパスが出る。左足シュートのフェイクから右足を一旋した久保。しかしボールはバーを激しく叩き、こぼれを山田暢が狙うが弱くGKへ。しかし流れるような素晴らしい攻めだ。さらに続く波状攻撃。26分、右CKから左、右と大きく香港DFを振り回し、最後は三都主の豪快な左足がうなったが、GKファンがまたもはじき出す。三都主はドリブルで二人かわしてのシュート、さらに大久保、久保に好クロスを合わせる。やはり守備の負担の軽減が彼をアグレッシブに変えるようだ。

 そして小笠原とのコンビで左サイドを破りGKをかわそうとしてファウルを「掠め取った」三都主。37分、スタンドからは、PKを「大久保が蹴れ」という声も上がるが、三都主が冷静にネットを揺すった。さあ、追加点を早く、の期待も込められた大歓声が大屋根に響く。しかしとうとう2点目は決まらずホイッスルが鳴った。



 後半最初のチャンスは香港に来た。坪井のファウルからの直接FKをプンがわずか左へはずした。日本は大久保のヘッドの落としを受けた久保が右サイドを単独ドリブルで突進、DF数人に囲まれたためクロスして中へ動いた大久保へパスを出せず、やむなく右足でシュートするがGKにブロックされる。さらに三都主のFKが大きくスワーブそGKを襲うが辛うじてファンはCKに逃げる。そのCKも久保がわずかに合わせられない。
 
 55分、小笠原が左足にラフタックルを受け負傷、相当に痛そうだ。豊富な交代選手を抱えるジーコ監督だが、交代させる様子はない。3試合をトータルで考える余裕がほしいところなのだが。そして追加点への焦りからか久保がDFマンと小競り合いでイエローをもらう。小笠原は再度ファウルを受けてしまう。流れは少しづつ悪化していく。

 65分、大久保が相手のミスを拾い素早く動き出した久保の前のスペースにパスを供給するが、DFが帰陣し防ぐ。67分、70分とジーコ監督は選手交代にようやく動く。遠藤からようやくデビューの山田卓、小笠原から奥へ。しかしCKからローレンスのヘッドが日本をひやりとさせる。日本も福西のドリブルから久保が左足アウトで大久保に合わせるがわずかオフサイド。お返しに大久保から久保へスルーパス、しかしコントロールミスで逃す。さらに山田暢からこれもデビュー戦となる石川へと交代し右サイドからの突破に期待がかけられる。そして、その石川に対するファウルから右サイド三都主のFKが茂庭の頭に合うがまたもバーが邪魔をする。

 攻め続けながらもどうしてもゴールをあげられない日本。攻め疲れも感じられるほどだ。タイムアップの瞬間、巨大スタジアムは大きなため息とブーイングで包まれた。 



 危なげない勝利ではあるものの残念ながら最少得点で終わってしまった日本。結果論ではあるが、大久保が最初のビッグチャンスをモノにできていたらゴールラッシュになっていたのかもしれない。ツートップはゴールへのプロセスはいいのだが、チャンスを迎えてまだ余裕がなく、「いただき!」というよりも「決めなければいけない!」という感じを受ける。特に大久保はセレッソ大阪での余裕あるプレーが見られないのが残念だ。ジーコ監督も彼は1点決めれば変わると考えて連続しての起用になっていると思われるだけに大会3試合中、最も力の差がある相手に対してのノーゴールはもったいないことをした。

 海外組を除いたメンバーでのMF陣も福西・遠藤のドイスボランチからスムーズに小笠原にボールが出るようになりチャンスメークに不満はない。攻撃が左サイド偏重になりがちだが左右均等に攻めることのできるチームなど世界にそうあるものではない。要はバランスだろう。ただ、中盤やDFから飛び出した選手は使ってやるべきだろう。無駄走りが続くと飛び出す意欲まで失われてしまうものだ。

これで日韓戦に勝つことだけを考えてプレーすることになった日本。変に引き分けでもOKなどという状況よりも戦いやすいはずだ。しかし小笠原が出場できるのか、少し心配だ。彼を失ってからの日本の攻撃が単調になってしまったからだ。今大会やや精彩を欠く韓国相手だけにきっちり勝って終われるか注目したい。


(日本代表) (香港代表)
GK: 楢崎正剛 GK: 范俊業(ファン・チョンイップ)
DF: 坪井慶介 宮本恒靖 茂庭照幸 DF: 頼啓卓(ライ・カイチョック) 李偉文(リー・ワイマン) 文彼徳(マン・ペイタック)
MF: 山田暢久(79分/石川直宏) 小笠原満男(70分/奥大介) 福西崇史 遠藤保仁(67分/山田卓也) 三都主アレサンドロ MF: 司徒文俊(シートウ・マンチョン) 劉志強(ラウ・ジーキョン) 陸冠邦(ロック・クーンボン) 黄鎮宇(ウォン・ジャイウー) 潘耀?(プン・イウチョ) (89分/梁志栄(リョン・ジーウィン)
FW: 久保竜彦 大久保嘉人 FW: 羅倫士(ローレンス) 羅振邦(ロー・ツエンボン)(87分/陳豪文(チャン・ホウマン)
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