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 webnews 03/12/16 (火) <前へ次へindexへ>
日本、完敗。ブラジルの前に手も足も出ず。
FIFA World Youth Championship UAE2003 準々決勝 日本代表vs.ブラジル代表

12月12日(金)21:00キックオフ ドバイ(ラシェド・スタジアム) 観衆:10,000人
試合結果/日本代表1−5ブラジル代表(前0−4、後1−1)
得点経過/[ブラジル]ダニエル・カルバーニョ(2分、13分)、クレベル(15分)、ニウマール(34分)、[日本]平山(89分)、[ブラジル]ニウマール(91分)


文/中倉一志

 開始早々の2分、ダニエル・カルバーニョの左足が唸りをあげる。ペナルティエリアのすぐ外からのFKの場面。彼の左足から放たれたボールは、日本の壁の左側を巻くようにしてゴールマウスへと向かう。低く、スピードに乗ったボールは左ポストに当たってゴールの内側へ吸い込まれた。完璧とも言えるFK。今大会、当たりに当たっているGK川島をしてもノーチャンスだった。そして、この1点が試合の大勢を決めてしまった。



 サッカー王国ブラジル。そのU-19代表は際立つ技術の高さを披露しながらも、ここまで苦しい戦いが続いていた。グループリーグでは初戦のカナダ戦こそ2−0と勝利したものの、続くチェコ戦は1−1の引き分け。最終戦では24本のシュートを打ちながら、11本のシュートしか打てなかったオーストラリアに2−3で敗れた。グループ2位で進出した決勝トーナメント1回戦でも、スロバキアを延長戦で下すのがやっとという有様。高い技量を持つ反面、チームとしての完成度は決して高くはなかった。

 そんなブラジルに対し、日本は現在得点王争いトップに並ぶ坂田と、今大会絶好調の平山を前線に並べて勝負を挑んだ。組織的な守備でブラジルの攻撃を封じ込め、切り返しの早いアタックでゴールを目指すのが狙いだ。中盤で、どこまでブラジルと渡り合えるかがポイントと思われたが、ブラジルのここまでの戦い方と、1試合ごとに成長する日本代表イレブンの勢いを比較して、ブラジルにつけ入る隙はありそうに見えた。

 しかし、あっという間の喫した先制点は日本のゲームプランを大きく狂わせた。傘にかかって攻めてくるブラジルの攻撃を止めることが出来ない。13分、ペナルティエリア内で菊池がこぼれ球を一度足元に持ったところを奪われ、最後はダニエル・カルバーニョに決められる。15分には、同じくペナルティエリア内のこぼれ球をクレベルに叩き込まれた。あっという間の15分。日本が何もしないうちに勝負は決まってしまった。



「実力の差」と言ってしまえばそれまでだ。しかし、両チームの間に出来た大きな差は、ゲームへの入り方の差が生んだもの。日本にしてみれば、まずは守りを固め、少ないチャンスを平山のポストと坂田のスペースへの飛び出しでゴールを目指すというのがゲームプランだったはず。だが、日本は守るでもなく、攻めるでもなく、集中力を欠いた状態でゲームに入ってしまった。失点のきっかけとなったFKを与えたファールは、なんとなくプレーしてしまった隙をつかれてのものだった。

 一方のブラジルは立ち上がりの時間帯に勝負を仕掛けてきた。早い時間帯で勝負をつけてしまおうという姿勢が明らかに見て取れる。右からはSBのダニエルが積極的にドリブル突破を見せれば、クレベルがトップから中盤にかけて動き回ってボールを捌き、その動きに連動してダニエル・カルバーニョがチャンスを作る。さらにも後方からも積極的に押し上げて日本を自陣内に閉じ込めた。ただでさえ技量の高いブラジル。この試合への入り方の差は致命的だった。

 3失点後、ブラジルが無理をせずにボールをコントロールしはじめたために、試合は落ち着きを取り戻した。しかし、主導権を握るのはブラジル。日本はあと一歩を踏み出すことが出来ず、前に出てくるブラジルに自由にプレーさせてしまっている。そして34分、ブラジルはジュニーニョのドリブル突破からファーサイドのクレベルへ。クレベルが旨で落としたところをニウマールがシュート。ボールはDFに当たったが、そのままゴールマウスに吸い込まれた。



 ハーフタイムで大熊監督の檄が飛んだのだろう。後半に入ると日本は積極的名姿勢を見せ始めた。しかし、4点差はいかんともしがたかった。落ち着いてボールをコントロールするブラジルに日本は反撃の糸口さえ見つけられない。終了間際に平山がCKに頭を合わせて1点を返したが、ロスタイムにはニウマールに5失点目を決められた。結局、立ち上がりのゲームへの入り方が全て。日本はよもやの大敗で大会から姿を消すことになった。

 日本は後半に入ってからアグレッシブにボールにアタックし、そこから素早く攻撃に転ずるシーンが見られるようになった。出てくる相手に対して前からぶつかり、ブラジルが苛立つシーンもあった。勝負の結果はともかく、これを立ち上がりから出来なかったことが悔やまれる。人についているように見えても、ボールへのアタックが緩くては自由にやられてしまう。まして相手は際立つ個人技を持つブラジル。日本は敗れるべくして敗れた。

 集中力を保ち組織的に守れば世界のトップレベルでも通用することを知ったグループリーグ。ほんの少しの集中の欠如が大敗につながることを教えられたブラジル戦。この大会で日本は大きな経験を積んだ。準々決勝の内容は悔やんでも悔やみきれないものであったが、この悔しさを生かして大きく成長して欲しい。本番はワールドカップの舞台。その舞台へは、この大会で得た経験を無駄にしなかった者だけが出場を許される。大会は終わったが、彼らにとっては世界との戦いは始まったばかりだ。


(日本代表) (ブラジル代表)
GK: 川島永嗣 GK: ジェフェルソン
DF: 近藤直也 菊地直哉 角田誠(46分/永田充) DF: ダニエル アウシテス・エドアルド アダイウトン アドリアーノ
MF: 徳永悠平 小林大悟(23分/谷沢達也) 成岡翔 今野泰幸 鈴木規郎(76分/茂木弘人) MF: カルロス・アウベルト(72分/ジャルデウ) ドゥドゥ(66分/レナト) ダニエル・カルバーニョ ジュニーニョ
FW: 坂田大輔 平山相太 FW: ニウマール クレベル(60分/ダゴベルト)
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