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 webnews 04/10/05(火) <前へ次へindexへ>
艱難辛苦の市原、首位・浦和に敗れ優勝争いから一歩後退
2004Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ 第8節 ジェフユナイテッド市原vs.浦和レッズ

2004年10月2日(土) 16:04キックオフ 国立霞ヶ丘競技場 観衆:34.793人 天候:晴
試合結果/ジェフユナイテッド市原0−4浦和レッズ(前0−1、後0−3)
試合経過/[浦和]エメルソン(16分)、永井(49分)、エメルソン(71分)、平川(89分)


取材・文/砂畑 恵

 千駄ヶ谷門を入るとスタジアムの柱には普段、見慣れないポスターが。荒々しい波が岩を打つオープニングでお馴染の映画会社・東映株式会社は市原の「マッチデースポンサー」で、新作「デビルマン」のタイアップ企画を行なっていたからだ。子供達はデビルマンが描かれたキックターゲットなどに興じ、コンコースは祭りのような雰囲気も香る。

 だが賑々しい、明るい気分とはいかないのが今日の市原。前節、2位に浮上し、本来なら首位・浦和の独走を止めたいところだが、マルキーニョスがアキレス腱断裂で今季絶望。サンドロと林は足の不具合が癒えず、今日の出場は見合わせるしかない。FW陣で万全なのは巻のみで、サブにはFW登録だがサテライトでは別のポジションで使われる事の多い、ルーキーの市原を初のベンチ入りさせる緊急事態。巻をワントップに据え、羽生と工藤をトップ下に置く、3−6−1の不慣れな布陣でこの窮境を乗り越えるしかない。

 同じく浦和もこの数試合で怪我人に見舞われたが、首位攻防となったG大阪戦ではトップ下に山田、右アウトサイドには永井という布陣が結果を残し、一先ずチームの形が付いた。ボランチの鈴木と酒井の連携も安定しており、チームバランスはしっかり保たれている。更に出場停止と怪我により2試合休場していたアルパイが復帰したのも好材料だ。



 そのアルパイが浦和の先制点をアシストする。開始4分、浦和はCKから三都主のシュートがクロスバーに当たる不運もあり、序盤は市原ペース。8分には闘莉王のマークを外した巻の鋭い反転シュートを浴び、14分には村井にゴール前へと切り込まれてシュートを打たれるなど、浦和が攻め込まれる展開。だが浦和は9分、田中のシュートで徐々にリズムを掴むと、16分、相手陣内浅いエリアに進出していたアルパイが絶妙なロングクロス。相手DFの厳しいマークを受けた永井にはわずかに合わなかったが、逆サイドのエメルソンがフリーで駆け込み、ダイビングヘッドを突き刺した。

 失点した市原だったが落胆の様子もなく、それまで通りに攻め続ける。17分にはオフサイドにこそなったが、佐藤がダイレクトで前線にロビングを上げる市原得意のアタックもあり、単調に攻め込んで一気にシュートという展開から、ワンクッション入れるパターンも見られるようになった。30分には阿部のワンタッチパスを受けた佐藤が中央を突破し、フリーの巻へ。ボールを受けた巻は振られた浦和DFの心理を逆手に取り、自分では打たず反対サイドの羽生へと横パス。だがボールは微妙にイレギュラーし、羽生のシュートは枠を外れた。

 決定機を決められなかった市原。だが、それよりも別の問題をチームは抱えていた。チームが攻撃に移行した時に徐々にミスが増えていったのだ。折角、相手陣内に攻め込んでもパスをカットされ、浦和のスピードに乗った攻撃に圧力を受ける繰り返し。ミリノビッチが何とか身体を張って凌ぎ、GK櫛野のナイスセーブもあって失点には至らなかったが、これではチームのリズムは悪くなる。終盤は浦和の攻めに晒される時間も長くなり、44分に得たCKのチャンスも斉藤のヘディングはわずかに左に逸れて、ゴールを奪うことなく前半を終えた。



 後半になると市原は羽生と阿部が左サイドのスペースに頻繁に顔を出すようになる。対面になる永井への牽制だ。前半の永井は村井に押し込まれる場面が何度かあり、対応に苦慮していた。そこを更に突いて攻撃を仕掛ける狙いがあった。だがその永井が浦和の2点目を叩き出すのだから皮肉なものだ。49分、ダイレクトに出された田中のパスを受けた永井は、ノーマークだったこともありゴール前へ一直線。ペナルティーエリアに入って直ぐ、的を射ぬくように豪快なシュートでネットを揺らした。

 2点を追う展開となってしまった市原は、優勝戦線に残る為にもリスク覚悟で攻めるしかなくなった。当然、破壊力を誇る浦和は嵩に掛かって攻撃を仕掛ける。その攻撃の波をくぐって攻める市原。53分には阿部のパスをスルーした工藤が、佐藤の壁パスを受けてシュートするも、GK山岸がナイスキャッチされる。61分には佐藤の浮き球のパスに、上手く羽生がDFの裏を取ったかに見えたが惜しくもオフサイド。67分にも工藤が浦和の軽い守備を突き崩してゴールに迫るが、またもGK山岸の攻守に阻まれた。

 そして71分、エメルソンが市原に強烈なダメージを与えるゴールを挙げる。闘莉王のロングパスを受けたエメルソンはマーカーの茶野をぶっちぎり、GK櫛野をもかわして冷静にシュートを流し込んだ。だが今のエメルソンの凄さを感じたのは89分の得点シーン。得点を決めたのはピッチに入って間もない平川。ペナルティーエリアの左で山田から浮き球のパスを受けた平川は寄せるミリノビッチをトラップでかわす。ボールの落下点にはエメルソンがいた。昔のエメルソンならマークがいてもシュートにいっただろう。だがエメルソンの状況判断は的確だった。ボールをスルーし、ゴール中央に向かうフリーの平川にボールを託したのだ。マークの厳しい自分より、得点の可能性の高い味方を優先させたエメルソン個人の充実ぶりと、浦和の結束の固さが映し出されたゴールだった。これにより浦和は久々4得点の大爆発。守っては念願の2ndステージ初無失点試合で、市原に完勝した。



 市原は敗戦により4位に転落した。個人的な意見だが、昨年の方が優勝への野心的な意気込みがあったように思う。勿論、苦しい台所事情はある。だが全員が根気よく走って守り、攻撃となれば一斉に相手に襲いかかる、あの肌をピリピリと貫く昨年までのスピリットが今一つ感じられない。優勝争い復権に向け、佐藤と阿部には注文を付けたい。今日の試合でも彼らが攻撃に拘われば市原の色が鮮明に表れ、反対に彼らが少しでも甘い守備をすればバックに危うい場面も生まれる。苦境だからこそ、120%の力を振り絞って欲しい。

 さて勝った浦和だが、G大阪、市原と続いた首位攻防戦でアウトサイドの頑張りが鍵になっていたように思う。三都主も永井も守備がそう得意ではない。だが前節は三都主が何度も守備で決定的ピンチを救った。この試合でも主導権は村井に奪われたが、懸命な守備をした永井が攻撃でも成果を上げた。それ以外では酒井と鈴木のボランチの意欲的な攻撃参加により、ゲームメーカー不在となったチームに、別の攻撃パターンが形を結びつつある。後はこの2連戦の結果に達成感を抱かないことだ。ナビスコ準決勝に横浜戦。そしてまだまだリーグ戦の先は長い。常にフレッシュな緊張感を伴い試合に臨んで貰いたい。



(ジェフユナイテッド市原) (浦和レッズ)
GK: 櫛野亮 GK: 山岸範宏
DF: 斎藤大輔 ミリノビッチ 茶野隆行(74分/結城耕造) DF: アルパイ 田中マルクス闘莉王 ネネ
MF: 坂本將貴 阿部勇樹 佐藤勇人 村井慎二 羽生直剛(70分/市原充喜) 工藤浩平(70分/楽山孝志) MF: 山田暢久 酒井友之(75分/堀之内聖) 三都主アレサンドロ(83分/平川忠亮) 鈴木啓太
FW: 巻誠一郎 FW: 田中達也 永井雄一郎 エメルソン
SUB: 立石智紀 中島浩司 SUB: 都築龍太 内舘秀樹 千島徹
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