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 webnews 04/10/15(金) <前へ次へindexへ>
FC東京、初タイトルまであと1つ!
2004Jリーグヤマザキナビスコカップ 準決勝 FC東京vs.東京ヴェルディ1969

2004年10月13日(水)19:00キックオフ 味の素スタジアム 観衆:15,855人 天候:曇
試合結果:FC東京4−3東京ヴェルディ1969(前3−0、後0−3、延前1−0)
得点経過/[FC東京]ジャーン(6分)、ルーカス(14分、42分、91分)  [東京V]山田(47分)、平本(78分)、小林大悟(79分)


取材・文/中島泰介

 スリリングなゲームだった。圧倒的なFC東京ペースで進んだ前半を終えた時、ここまで白熱した展開になるとは思いもしなかった。

 6分に左コーナーキックのボールをルーカスがファーで折り返し、ディフェンスに競り勝ちジャーンが頭で決めて先制すると、以降もFC東京は東京ヴェルディ陣内に何度も侵入する。ゲームは東京ヴェルディ側から見ると左、FC東京の右のサイドで活発だった。東京ヴェルディは平本、FC東京は石川が果敢に突破を試みたが、その結果は大きく違った。平本は、加地に代わって右サイドバックに入った藤山にその行く手を阻まれ、石川の突破は何度も決定機を演出した。

 14分にその石川が起点となり、2点目が生まれる。東京ヴェルディのパスミスをカットした藤山から、石川は自陣でボールを受け取り、大きく空いた右サイドのスペースをドリブルで東京ヴェルディ陣内へ入り込み、そして中へ切り込む。中央で待つルーカスへ短いパスを送ると、ルーカスはワンタッチでコースをついた丁寧なシュートをゴールへ送り込んだ。ルーカスの落ち着いたシュートも素晴らしいが、ケリーの、ルーカスの前を縦に走った動きも見逃せない。ルーカスは前に平本、後ろから米山にマークされていたが、ケリーの動きに平本が対応せざるを得ず、ルーカスは苦も無く石川のパスを受け取ることができた。

 22分、奪われたボールを取り戻そうと、ケリーのユニフォームを掴んだ林が2枚目のイエローカードをもらい退場となり、東京ヴェルディはますます苦しい状況に立たされる。29分にスローインを受けた小林慶行が角度の無いところから、35分には山田のクロスを平本が頭でゴールを狙うが、FC東京はGK塩田がしっかりとゴールを守る。そしてFC東京の攻撃は、多くの人数が絡み厚みを増す。

 36分、ペナルティ・エリア前中央で石川、ケリーと繋ぎ、右サイドの藤山へボールを送る。藤山のクロスのこぼれ球を拾った馬場は、上がってきた三浦へパスをすると、三浦はダイレクトでゴールを狙ったがこれははずれた。38分には左サイドで馬場から金沢、今野と繋ぎ、戻してもらったボールを馬場はシュートするが、ディフェンスに当たり枠を逸れた。39分には奪ったボールを今野は石川へはたき、石川は中央へパスを送ると、またも馬場が3点目を狙う。しかし馬場のミドルシュートはバーに阻まれてしまった。

 そして前半も残り少なくなった43分、またも石川が起点となった。平本を振り切り石川が送ったクロスボールを、ルーカスが地面に叩きつけるヘッドで3点目を奪った。相手は1人少ない上に3点のリードという、圧倒的な優勢でFC東京は前半を終えた。



 しかし後半開始から2分、気の緩みからか、FC東京はゴールを許してしまう。左からゴール前へのロングボールを平本がファーで折り返すと、山田がヘディングでネットを揺らしたのだ。ゴール前にいた茂庭とジャーンはボールにしか注意が向いておらず、走りこんだ山田には気づかなかったようだ。

 だがこの直後にFC東京は三浦のミドルシュート、そしてこのシュートから得たコーナーキックから馬場のヘッドでゴールを狙うがこれらをGK高木がセーブ。ゴールライン付近で取られた間接フリーキックも得たが、これはディフェンスに弾かれた。ゴールにはならなかったとはいえ、連続して決定機を作り出し、後半もFC東京ペースになることを感じさせるプレーだった。

 56分にFC東京は、攻守に貢献したベテラン三浦を下げ宮沢を投入し、東京ヴェルディはディフェンスの戸川に代えミッドフィールダーのウーゴをピッチに送る。この後から次第に試合展開が変わってくる。もうあとが無い東京ヴェルディは、リスクを覚悟の上で攻撃の枚数を増やし、ゲームのペースを掴み始め、そしてFC東京がカウンターを狙う。

 そのカウンターから61分、馬場のクロスをフリーで受けた石川がシュートを放つが東京ヴェルディのディフェンスがブロックする。65分には中央をドリブル突破した平本からボールを受けた相馬が強烈なシュートを打つが塩田が正面で弾く。66分にも東京ヴェルディ、小林大悟のシュートがディフェンスに当たりディフェンスラインをすり抜けると、平野がそれに反応するが、FK塩田が一瞬早く反応しピンチを防いだ。東京ヴェルディのGK高木も負けていない。73分に1対1のピンチを迎えるが見事な飛び出しでゴールを許さない。



 前半とは違いFC東京陣内へ攻め込むようになった東京ヴェルディだが、なかなか得点に結び付けられなかった。だが78分、ついに1点差に詰め寄る。ペナルティ・エリア前に放り込まれたロングボールを、山田が頭でゴール前へ送る。塩田はパンチングでこれをクリアするが、平野がこれを拾い小林大悟へボールを渡す。小林のシュートは、GK塩田の目の前でジャーンがブロックするが、こぼれ球に反応したのは東京ヴェルディだった。平本がこぼれ玉を押し込み、3−2。

 そしてたった1分後である。ウーゴから小林大悟が中央でボールをもらうと、右へ開いた平本へパスを出す。そしてゴール前へ走りこんだ小林大悟へ平本はボールを折り返すと、小林はダイレクトボレーでこれをゴールへ突き刺し、スコアをイーブンにした。ゴール前に十分人数が揃っていたFC東京ディフェンスだが、まったく小林をフリーにしてしまった。

 数的有利を生かすどころか、劣勢となったFC東京はここから反撃に出て、80分、83分、89分とゴールに近づいたが、これらを東京ヴェルディに跳ね返される。逆にロスタイムには平本のシュートがポストにあたり、あわや劇的逆転勝利を献上するところだった。

 全く勝敗が分からなくなった試合は、Vゴール方式の延長戦に突入する。開始早々、石川に代わり74分から入っていた阿部が突破を試みFC東京はコーナーキックを得る。そしてこのコーナーキックに触ったのはルーカスだった。ハットトリックとなるゴールを頭で突き刺し、熱戦に終止符を打った。

 Vゴールが決まった瞬間、湧き上がるFC東京の選手とサポーター、そして崩れ落ちる東京ヴェルディのプレーヤー達。よく使われるフレーズだが、“勝者と敗者の残酷なまでのコントラスト”が、ここ味の素スタジアムに映し出された。



 東京ヴェルディはよく戦った。1人少ない中3点差を追いつき、あと一歩のところまでFC東京を追い詰めた。あきらめずに勝利を目指した執念は心を打たれるし、賞賛されるべき敗戦だと思う。長らくタイトルから遠ざかっている東京ヴェルディにとっては、非常に悔しい敗戦だが、これを名門復活の糧としてほしい。

 まさかの急なペースダウンで大苦戦を強いられたFC東京。前半はサイド攻撃が冴え、ルーカスの決定力も見せ付けたが、後半は相手の気合いと捨て身とも言える攻撃に中盤から押され、攻撃力も半減してしまった。また相手をフリーにしてゴールを許したのは集中力の欠如。90分ペースを握るのは不可能にしても、もっとコンスタントに力を発揮することが必要だ。しかし、何はともあれクラブの初タイトルまであと1つというところまで到達した。決勝の相手は3週間前にリーグで完封勝ちした浦和レッズ。はたして11月3日に同じ結果を生むことはできるだろうか。再現できれば、リーグでの1勝とは違う、大きな勲章を受け取ることになる。


(FC東京) (東京ヴェルディ1969)
GK: 塩田仁史 GK: 高木義成
DF: 藤山竜二、茂庭照幸、ジャーン、金沢浄 DF: 米山篤志、戸川健太 (46分/ウーゴ)、ウベダ
MF: 石川直宏(74分/阿部吉朗)、今野泰幸、三浦文丈(56分/宮沢正史)、馬場憂太(87分/鈴木規郎)、ケリー MF: 山田卓也、小林大悟、林健太郎、小林慶行、相馬崇人
FW: ルーカス FW: 桜井直人(64分/平野孝)、平本一樹
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