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 webnews 04/10/17(日) <前へ次へindexへ>
日本、貫禄の一次予選突破。難敵オマーンを1−0で下す。
2006FIFAワールドカップドイツ アジア地区第一次予選グループ3 オマーン代表vs.日本代表

2004年10月13日(水)18:30キックオフ オマーン・スルタン・カブース・スタジアム 観衆:30,000人 天候:晴
試合結果/オマーン代表0−1日本代表(前0−0、後0−1)
得点経過/[日本]鈴木(52分)


文/中倉一志

「1点差負けでもピンチ。2点差以上負けなら絶望的」。オマーン戦を迎える前、各紙では、ほぼ同じような内容の記事が掲載されていた。日本代表のW杯アジア一次予選での敗退の可能性が報じられるのはオフト以前までさかのぼらなければならず、それは同時に、国内のメディアが、かなりの危機感を持っていたことを意味していた。しかし、それは杞憂だった。激しく前に出てくるオマーンに対して日本は大人のサッカーを展開。終わってみれば、当前のように一次予選突破を決めた。



 予想通り、オマーンは立ち上がりから激しく前に出てきた。早いタイミングでロングボールを前線に放り込み、後方からグイグイ押し上げたかと思えば、中盤にスペースを見つけるとテクニックとスピードを武器にしてドリブルで日本の中盤を切り裂いていく。中盤でオマーンを捕まえきれない日本は防戦一方。前線と分断された中盤をオマーンに支配され、簡単にバイタルエリアに侵入される。日本は反撃の糸口さえ見つけることができないように見えた。

 しかし、日本は落ち着きを失ってはいなかった。自陣に押し込まれる形にはなったが、前線の選手は献身的にボールを追い、やや低めに設定した最終ラインでオマーンの攻撃を断ち切った。オマーンのミドルレンジからのシュートが不正確なことと、最終局面では個人の力だけが頼りなことを考えれば、実に現実的な戦い方だった。些細なミスが出ることだけが心配だったが、日本は安定感のある完璧な守備でオマーンの攻撃を跳ね返していく。

 そして31分、オマーンの僅かな隙を突いて高原が決定的なシュートを放つ。これはGKアルハブシの好セーブにあったが、このプレーを境に流れが変わり始める。オマーンから前への勢いが消え、日本がゆったりとボールを回せるようになっていく。それでも日本は激しく攻め立てない。試合の流れと勝負所を見極めるようにボールを回し、オマーンの圧力をかわしていく。そして試合はこのままハーフタイムに。「前半は0−0でもOKという気持ちでやっていた」(宮本)。この時点で、日本の一次予選突破の大勢は決まった。



 一次予選突破には勝つしかないオマーンは後半も前に出る。しかし、立ち上がりのような勢いがなくなってしまっては日本の敵ではない。そして52分、日本が鮮やかに先制ゴールを挙げる。左サイドで得たFKに小野が素早くリスタート。中村が個人技で左サイドを突破してファーサイドへボールを送ると、そこへ走りこんできた鈴木が頭で合わせてオマーンのゴールネットを揺らした。勝負所を見逃さず、一瞬のチャンスをモノにした日本。逞しさを感じさせる先制ゴールだった。

 この試合、日本の最大のピンチは57分。GK川口のパンチングがこぼれたところをアルホスニに拾われて、無人のゴールにシュートを打たれた。しかし、これはゴールのカバーに入っていた田中が身を挺してはじき返すファインプレー。以降は、ボールを回してオマーンの意欲をはぐらかし、隙を見つけてはボールを前に運んでオマーンを後方へと押し戻すという完璧なゲームコントロールを実践。格の違いを見せ付けて試合を1−0で終わらせた。

「引分けでもいいと、現実的な試合運びができた」と満足気に語る宮本。「選手たちの気迫が前面に出て、非常に満足できる内容だった」とジーコ監督も試合を振り返る。国内では一次予選突破を危ぶむ声が大きくなり、直前のトレーニングキャンプでの怪我人の続出や、台風の影響でオマーン入りが1日遅れるというアクシデントにも見舞われた。しかし、そんな中で、日本代表は当たり前にオマーンを下し、当たり前に一次予選を突破した。



 とにかく、日本代表の逞しさと力強さを改めて感じさせられた試合だった。ワールドカップ予選はもちろんのこと、代表同士の試合はどんなときでも厳しいもの。そんな中で、苦しい時間帯に決して相手に付け入る隙を与えず、訪れたチャンスを確実にモノにして試合の流れを引き寄せることができるのが強者の証だ。そしてジーコジャパンは、いくつもの経験と勝利を積み重ねていく中で、冷静さと、試合の流れを読みきる能力と、そして、それを実行する力を手に入れていた。それは、かつての日本が強豪国から嫌というほど感じさせられていたものと同じものだった。

 もちろん、最終予選は簡単に勝ち抜ける戦いではない。最終予選に進出する10チームに対し、4.5枠もの出場権が与えられているといっても、それは厳しさが緩和することを意味しない。ほんの少しの気の緩みが取り返しのつかない結果を招くことは、サッカーを知っている者なら誰もが理解していることだ。それでも、上手さに勝負強さを兼ね備えた日本が、最終予選でアジアの強豪国相手にどんな試合を見せるのか、今から楽しみである。


(日本代表) (オマーン代表)
GK: 川口能活 GK: アルハブシ
DF: 田中誠 宮本恒靖 中沢佑二 DF: アルヌービ アルラカディ ファラジアラー(70分/ラビーア)
MF: 中村俊輔 三都主アレサンドロ 福西崇史 小野伸二 加地亮 MF: ドゥールビーン アルブサイディ アルマハイジリ アルガイラニ A・アルムハイニ(81分/ジャンダル)
FW: 鈴木隆行(89分/玉田圭司) 高原直泰 FW: アルマイマニ(70分/アルバルシ) アルホスニ
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