topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 04/10/26(火) <前へ次へindexへ>
柏とC大阪、入れ替え戦行きは決着つかず!残る5試合に全てを賭けろ!
2004Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ 第10節 柏レイソルvs.セレッソ大阪

2004年10月23日(土)15:02キックオフ 日立柏サッカー場 観衆:10,273人 天候:曇
試合結果/柏レイソル1−1(前0−1、後1−0)セレッソ大阪
得点経過/[C大阪]大久保嘉人(25分)、[柏]明神智和(62分)


取材・文/貞永晃二

 「J1・最下位発、J2・3位との入れ替え戦行き」、この「悪魔のチケット」を受け取りたくない両チームが秋空の柏サッカー場で激突した。優勝争いと同じほど興味を引く試合に記者席は埋まり、そこには大宮・三浦監督、U19日本代表・大熊監督も姿を見せた。95年にJリーグ昇格を決めたいわば「同期」同士の戦いは序盤から激しいものとなった。



 まずは、ホームチームのエースが口火を切る。右サイドをかけ上がった波戸のクロスに玉田がボレーで合わせる。ワクには飛ばないものの、ゴール裏をイエローに染めるサポーターのボルテージを上げるには十分だ。さらに大野が左足でミドル、これはC大阪GK伊藤が反応よくはじき出す。

 この重要な試合を前に守備陣に負傷者が出たC大阪はスリーバックでのぞむ。ここのところ途中交代の続く森島を思い切ってサブに回し、西澤をセンターに古橋、大久保とでスリートップ気味の攻撃態勢をしいた。しかしなかなかトップにボールが入らない。緊急加入した柏CB・パラシオスがことごとく西澤に競り勝ち、ロングボールをはじき返していく。

 一方の柏は代表でも同じナンバー「28」を背負う玉田が切れ味鋭いドリブルで仕掛け角度のないところから思い切りよく狙う。しかし前節の神戸戦、中途半端なキックで失点を招いたGK伊藤がファイトあふれるセーブでゴールを許さない。

 積極的に前線でのチェイシングに駆け回るC大阪の「10」が味方の守備での頑張りに応えてみせる。25分、布部の入れたくさびを古橋がワンタッチ、ボールはバイタルエリアにこぼれる。これに誰よりも早く反応し柏DF網に突っかける大久保。パラシオスが足をとられ転倒する一瞬にシュートコースを見つけ、波戸と明神の間を抜けた右足シュートはGK南の手をかすめたもののネットに突き刺さった。エースの得点にピンクのサポーターたちは一瞬で点火し歓喜を爆発させた。柏サッカー場特有の狭いゴール裏で手を上げて応える大久保の笑顔がまぶしい。

 押し気味の展開の中、思わぬ失点を喫した柏は顔を上げて反撃に出る。大野が起点となり組み立て、玉田が豊富な運動量で右に左に顔を出すものの、なかなかシュートで終われないのが苦しい。一方先制したC大阪も攻めあぐむ。しかしゴールを決めた後の自信と余裕に満ちた大久保はやはり怖い存在だ。前半終了近く久藤のパスをDF、GKを背負った姿勢で受け、タックルを避けるためワンタッチで浮かせコースを作り、左足で豪快なボレーを放ち、ポストにぶつけた。咄嗟のアイデアをイメージ通りに行った大久保のプレーにスタジアムはため息で包まれた。



 後半開始から早野監督は動く。茂原、羽地を引っ込めピッチに谷澤、山下を送り追撃態勢を整える。しかし、両チームとも気持ちが空回りするのか得点の匂いは感じられず、膠着状態がしばらく続いた。そんな中、前半から切れのあるパスを見せていた大野が素晴らしいコントロールのパスを見せる。62分、左サイドでキープしC大阪DFの裏、しかもGKの出られないスペースを突いたパスに谷澤がしがみつくようなヘッド、バーを激しく叩いたボールにGK、DFともに反応できないC大阪。一人だけ猛然と飛び込んだ明神の「魂のダイビングヘッド」はネットを大きく揺らした。危機に瀕するチームを生え抜きの闘将の同点ゴールが救い、再びスタジアムは沸きあがった。

 追いつかれたC大阪は、追加点を狙って交代準備をしていた森島を同点となってから投入する羽目になった。そしてパスカットから久藤がドリブルで切り込むがラストパスは正確性を欠きシュートに結びつかない。柏は明らかに同点に勢いづいたようだ。両サイドを広く使う攻撃がスムーズさを増す。玉田の正確なスミを狙ったシュートもGK伊藤がはじき、こぼれに山下が飛び込むがワクからそれてしまう。

 柏は近藤に代えて小林を投入、C大阪は負傷を抱える西澤をミキに代える。柏はC大阪を自陣に押し込み、つかんだFKのチャンス、玉田の大きく曲がるキックに期待するがピンポイントで合わせられず、サポーターの期待する決勝点のシーンは訪れない。終盤訪れるピンチの連続に小林監督は、最後は「引き分けやむなし」と判断したのか、疲れの見える大久保をDF齋藤に代えて逃げきりに成功した。



 1−1の引き分け。この結果は直接対決だけに下位に位置するC大阪にとって大きなダメージだ。自力での最後の勝ち点挽回のチャンスはついえてしまった。確かに大阪ダービーや神戸戦での気が抜けたようなプレーは見られなかった。しかし、勝ち点1にものだ。しかし悔やんでいる時間はない。次なる相手に目を向けなければならない。相手は初優勝へのビクトリーロードを驀進する浦和。C大阪が守備を固めて勝ち点1を狙う、などという芸当ができるチームではないことは誰もが知っている。思い切って攻撃的に出るしかないだろう。そして随所で見せたボールへの執念はサポーターの胸に十分に響いたはずだ。しかしこれを継続しなければ意味がない。もはや欠点を補う時間は残されていない。ストロングポイント=攻撃力を前面に押し出す戦いに賭けるしかないだろう。

 柏にとっては価値あるドローとなった。結果としてC大阪を突き放すことは出来なかったが、守備の安定は早野監督就任の大きな成果だといえる。4節、万博でのG大阪戦(1−5)の試合の柏とは全く別チームに生まれ変わったと感じるほどだ。残る5試合で地道な勝ち点積み上げは可能と見る。今シーズンを振り返ったとき、明神の「魂のヘッド」がどれほど意味のある「一点」だったかサポーターは思い知ることになるだろう。


(柏レイソル) (セレッソ大阪)
GK: 南雄太 GK: 伊藤友彦
DF: 波戸康広 パラシオス 永田充 近藤直也(72分/小林祐三) DF: ラデリッチ 柳本啓成 千葉貴仁
MF: 大谷秀和 明神智和 茂原岳人(45分/谷澤達也) 大野敏隆 MF: 布部陽功 久藤清一 酒本憲幸(63分/森島寛晃) 古橋達弥 苔口卓也
FW: 羽地登志晃(45分/山下芳輝) 玉田圭司 FW: 大久保嘉人(88分/齋藤竜) 西澤明訓(80分/ミキ)
SUB: ノグチピント エリキソン 薩川了洋 SUB: 羽田敬介 佐藤悠介
<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送