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 webnews 04/11/09 (火) <前へ次へindexへ>
「運は自ら掴み取るもの」。浦和、苦しみながら清水に逆転勝ち
2004Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ 第12節 浦和レッズvs清水エスパルス

2004年11月6日(土) 14:03キックオフ 埼玉スタジアム2002 観衆:43.853人 天候:晴
試合結果/浦和レッズ2−1清水エスパルス(前0−1、後2−0)
試合経過/[清水]北嶋(27分)[浦和]酒井(68分)闘莉王(84分)


取材・文/砂畑 恵

 打てども打てどもシュートがネットを揺らすことのなかったナビスコ杯から3日。悪い運気を断ち切りたいという思いがあったのだろうか。ブッフバルト監督の胸元にはいつもの赤ではなく濃紺のネクタイが覗いていた。

 サポーターも同様だった。ナビスコ杯では選手が普段通りの闘いが出来るようにと敢えて大仕掛けなパフォーマンスを控えたが、この日は特別な闘いを意味するように、ゴール裏にはユニフォーム型の大旗を広げ、バック2階からも赤と白の大旗を吊るす。更には今まで手掛けたことのないメインスタンドにも「We Are Reds」の大旗を広げた。



 もちろん選手からは敗戦のショックや疲れは微塵も感じられない。この日は内舘と酒井が先発に名を連ね、山田をトップ下にした3−5−2で臨む。選手が入れ替わってもいつもとなんら遜色はない。清水ゴールに向かいスタートから積極的に仕掛ける。6分、長谷部のスルーパスを受けた山田がDFに囲まれながらもボールをキープし三都主に繋げる。三都主はペナルティーエリアの外から右足で強烈な一撃。だがクロスバーに跳ね返された。

 ファーストシュートは不運な結果だったが、選手は攻めに意欲的だ。中でも山田が目立っていた。10分には相手陣内からドリブルで持ち込んでミドルシュート。14分にも左サイドを深くえぐったエメルソンからマイナスのクロスを受け、左足でシュートを放った。

 だが浦和の攻めはあまりにも正攻法。押してダメでも引いたりしないのが浦和の大いなる魅力ではあるのだが、ゴール前を8人で固める清水の壁に跳ね返される。縦へと突破する浦和FWに対し、森岡や池田は腰を落ち着けしっかりと受け止める。斉藤のカバーも的確だ。薄くなる中央のエリアは、中盤がバック陣に連動し黙々と埋める。そしてボールを受けると前線へロングボールを送り、素早く攻撃に切り替える。シュートこそ1本に抑えられていたが、やるべき戦術は全員に浸透していた。

 そのスタイルが2本目のシュートで実を結ぶ。27分、森岡のロングボールを浦和DFが跳ね返す。そのボール拾った久保山は右サイドを駆け上る太田へ。太田は寄せの甘いネネをかわすと低いアーリークロスを入れた。そこには内舘の目を盗んで、すっとゴール前に入った北嶋。浦和ゴールネットが揺れた。オーロラビジョンの再生映像を見ると、上手く合わせたかに見えた右足ではなく軸足に当たってのゴール。それでも、そのポイントに飛び込んで来るあたりはやはりストライカーの嗅覚ならでは。数では少ないアウェイ側の清水サポーターが歓喜の声を挙る。更に43分には清水らしいショートパスの交換から浦和を崩す。平松が久保山とワンツー。中央を突破し、DFの裏に抜けた平松のシュートは惜しくもGK山岸の好守に阻まれた。

 対する浦和は失点後も清水陣内でのプレーを積み重ねていた。だがゴールを量産していた頃と違い、シュートにはやる気持ちが微妙にプレーへと影響する。29分、長谷部がエメルソンのパスを受け、切り返しからシュート打つがポストの左に切れる。39分にはショートCKから闘莉王の落としに田中が飛び込むもクロスバーの上へ。44分にも田中のドリブル突破から中央のエメルソンに絶好のボールが入るが、エメルソンには似つかわしくなく空振り。前半だけで放ったシュートは13本。まるでゴールにバリアがあるように得点が遠い。



 後半もゲームの大勢は前半と同じだった。むしろ浦和にとっては厳しさが増したと言えるかもしれない。清水は後半の頭から久保山がベンチに下がり、怪我から復帰した杉山がピッチに登場。これにより伊東は1つ前にポジションを上げた。前半、中盤で嫌なボールの失い方をしていたことを懸念し、石崎監督は守備のバランスと強化を図ったのだ。

 また古巣・浦和との対戦に燃えるGK西部も前半の好調を維持。52分にはショートコーナーから田中の強烈なシュートを浴びるが、太田の触ったボールを顔面でクリアー。56分には山田のワンタッチパスをダイレクトで打った田中のシュートもがっちりキャッチした。

 浦和は、攻めても点が入らない状況に選手も赤いスタンドも悪いムードに流されて行く。ブッフバルト監督は「幸運を引き寄せる何か」が必要だと感じたのだろう。落ち込んでいくテンションを上げ、勝つんだという気持ちを新たに沸き起こす人物。62分、岡野に白羽の矢が立った。

 岡野はなすべきことを判っていた。右サイドを全力で疾走し、スタジアムの雰囲気を別物に変えた。それに釣られるように選手一人ひとりの動きも活発になって行く。そんな中で同点弾は産まれた。68分、右に開いた岡野を囮りに、長谷部がドリブルで強引にペナルティーエリアへと切れ込む。スイッチした田中が後方へボールを下げる。そのボールに酒井は渾身の力を込めて右足を振り抜いた。ミドルシュートは森岡の頭を跳ね飛ばしゴールに吸い込まれる。GK西部もなす術がなかった。

 更に浦和は怒涛の攻めで清水を押しまくる。そこにブッフバルト監督は更なる新風を吹き入れた。80分、山田に代えて横山を投入。横山はこの日がJ初出場である。だがボカ戦でゴールを奪った男だ。周囲の雰囲気に臆することなく自分のプレーをする。そして投入4分後、横山が大仕事を成し遂げた。横山は三都主のCKを相手と競り合いながらヘッドでゴールへと折り返す。そのボールに対し闘莉王がキャッチしようとするGK西部の前に身体をねじ込み、気迫でゴールに押し込む。これが決勝点となり浦和が苦しみながらも貴重な勝ち点3をゲットした。



 先制点を挙げながら逆転負けを喫した清水。今、守備を立て直すために試行錯誤しているようだが、この試合では一貫性のある守備が出来ていたのではないだろうか。森岡が「やれれた気はしない」と口にしていることからも、攻め込まれてはいたが浦和の攻撃陣を自由にはさせなかったという自負が感じられた。後はその守備力をキープしながら、奪ったボールを素早く、そして正確に攻撃に切り替えられるか。先制ゴールのような形をどれだけ作れるかがポイントになるだろう。

 さて浦和は自ら運を引き寄せ苦闘の末に壁を破った。ついに2ndステージ優勝まであと1歩。次節の名古屋戦は駒場だ。浦和に携わってきた人々の想いは押して図るべしだ。


(浦和レッズ) (清水エスパルス)
GK: 山岸範宏 GK: 西部洋平
DF: 内舘秀樹 田中マルクス闘莉王 ネネ DF: 森岡隆三 斉藤俊秀 池田昇平
MF: 山田暢久(80分/横山拓也) 長谷部誠 三都主アレサンドロ 酒井友之 MF: 太田圭輔 伊東輝悦 戸田和幸 高木純平(75分/アラウージョ) 久保山由清(45分/杉山浩太)
FW: 田中達也 永井雄一郎(62分/岡野雅行) エメルソン FW: 北嶋秀朗 平松康平(75分/澤登正朗)
SUB: 都築龍太 堀之内聖 平川忠亮 SUB: 黒河貴矢 鶴見智美
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