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 webnews 04/11/17 (水) <前へ次へindexへ>
両チームの間にある歴然とした地力の差。G大阪が鳥栖を下す。
第84回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 サガン鳥栖vs.ガンバ大阪

2004年11月13日(土)13:01キックオフ 鳥栖スタジアム 観衆:3,371人 天候:晴
試合結果/サガン鳥栖3−1ガンバ大阪(前2−0、1−1)
得点経過/[G大阪]實好(25分)、大黒(34分)、[鳥栖]佐藤大実(53分)、[G大阪]フェルナンジーニョ(87分)


取材・文/中倉一志

「サッカーという戦術、技術では決して負けてはなかったし、五分五分のゲームが出来た。けれども、結局は個人のスピードとパワーというのが最後のところで得点の差になってしまう」(松本監督・鳥栖)。「ほとんど鳥栖のペース。その中でカウンターのいい形で点が取れたということだけ」(西野監督・G大阪)。松本監督はやりきれなさをぶつけるように、西野監督は情けない表情で試合を振り返った。両チームの監督がともに不満を持って臨む記者会見も珍しい。

 試合そのものは鳥栖がペースを握って進めていた。その戦い方は狙い通りだったと言っていい。しかし矛盾するようだが、勝てる要素があったかと言えば、それは余り感じられなかった。また、G大阪は勝てたという結果以外に何もなかったのは事実。いくら天皇杯がJ1のチームにとって難しい大会であるとは言っても、その内容に不満を抱くのは当然だった。両チームの間にある厳然としたポテンシャルの差だけで決着した試合。両監督の発言の背景にはそういう事情があった。



「守備は前半15分は前から行け」。松本監督の指示通り、鳥栖は立ち上がりから積極的に前に出た。中盤の3人が鋭い出足でボールを追い、奪ったボールを左サイドへ流れる竹村へ。そこへ中村がオーバーラップして攻撃の起点を作る。その勢いに押されたのかG大阪は殆ど5バック。マイボールもビルドアップすることが出来ずに最終ラインで回すシーンが目立つ。攻め手は右サイドへのロングフィードと、フェルナンジーニョに預けるだけだ。

 ところが18分、G大阪にあっけなく得点が生まれる。平凡なCKが實好の出した左足に当たって、そのままゴールマウスへ。鳥栖の選手は誰も反応しない、あまりにも無防備な守備が生んだゴールだった。そしてG大阪の追加点は34分、フェルナンジーニョがプレスをかけてきた本橋を反転してかわすと、右サイドを駆け上がった吉原へ。そのクロスボールに大黒が鮮やかに合わせた。たった2本のパス、ほんの数秒で奪った追加点だった。

 G大阪は2得点を奪った前半でさえ、ほとんど何も仕掛けてはいない。体重を後ろにおいて守ることが主。相手のミスや隙を突いてカウンターを仕掛けただけに過ぎない。だが、終始、積極的に前に出た鳥栖に決定機は2回しかなかったが、G大阪の決定機は4回。そしてスコアはG大阪の2−0。相手チームにリスクを負って仕掛けることをせず、しかし結果として差をつけるのは強者の常套手段。ここまではG大阪に何の問題もなかった。



 G大阪の問題点は、このまま試合を終わらせられなかったことだ。前半同様、積極的に仕掛けてくる鳥栖に対して53分、シジクレイが佐藤(大)を倒してPKを献上。これで1点差に詰め寄られた。これで目が覚めたのが、G大阪は11分、そして14分に2回、決定的なシュートを放つ。ところが、一気に片をつけるかと思われた矢先にトーンダウン。再び後ろに構えて受身のサッカーに戻った。そして、運動量が極端に落ちていく。

 ここからは完全に鳥栖のペース。中盤の出足で上回る鳥栖はセカンドボールの殆どを奪取。テンポのいいパスを回してG大阪を振り回す。そして最後は両サイドのスペースにボールを供給。サイド攻撃を主体に何度もG大阪ゴールに迫り、67分には本橋が、81分には高橋が決定的なシュートを放った。G大阪は86分、森岡に代えて中山を投入。右サイドに吉原を下げて打開を図るが功を奏さず。むしろ、鳥栖の攻勢は勢いを増していく。

 しかし87分、誰も予期しなかったゴールで試合に決着がついた。ハーフウェイラインを少し越えたところに平凡なロビングボールが上がる。このボールに対応した朝比奈がジャンプ。ただそれだけのことだった。ところが、このボールを朝比奈は触れずに後方へそらした。そこにいたのはフェルナンジーニョ。そのままドリブルで持ち込むと、鳥栖の息の根を止める3点目をゲット。これで鳥栖の天皇杯が終わった。



 試合後、鳥栖スタジアムを包んだ空気は何とも言えないものだった。「うちの選手たちの持っている力は出した。選手たちは良く頑張った」(松本監督)。鳥栖は積極的な姿勢で攻め続け、後半はG大阪を翻弄するシーンさえあった。しかし、決定機を作っても得点の匂いがしない。そして、いずれも軽率なプレーから失点した。大健闘と言える試合も、全体を見渡せば負けるべくして負けた試合。J1との能力差を目の当たりにさせられた試合だった。

 一方のG大阪。負ければ全てが終わるトーナメント戦、しかもJ1のチームにとってはモチベーションの維持が難しいとされる天皇杯の早いラウンドでは内容よりも結果が優先。そういう意味ではG大阪に問題はなかった。しかし、あまりにも受身になりすぎた。結果論ではなく、相手との力の差を測った計算しつくした勝利が欲しかった。次の5回戦ではG大阪らしいサッカーを見せてもらいたいところだ。


西野朗監督(ガンバ大阪)記者会見
松本育夫(サガン鳥栖)記者会見


(サガン鳥栖) (ガンバ大阪)
GK: シュナイダー潤之介 GK: 松代直樹
DF: 朝比奈伸 井手口純 加藤秀典 DF: 實好礼忠 シジクレイ 入江徹
MF: 落合正幸 本橋卓巳 高橋義希 村主博正(HT/伊藤彰) 中村翔朗 MF: 森岡茂(86分/吉田宗弘) 橋本英郎(HT/松下紳一) 山口智 児玉新(62分/中山悟志) フェルナンジーニョ
FW: 佐藤大実(82分/矢部次郎) 竹村栄哉(75分/下司隆士) FW: 大黒将志 吉原宏太
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