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 webnews 04/11/18 (木) <前へ次へindexへ>
10人のホリコシがジャイアントキリング!柏の攻撃を跳ね返し1点を守り切る。
第84回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 柏レイソルvs群馬FCホリコシ

2004年11月13日(土) 13:00キックオフ 日立柏サッカー場 
観衆:2.577人 天候:晴時々曇
試合結果/柏レイソル0−1群馬FCホリコシ(前0−0、後0−1)
試合経過/[ホリコシ]奈良(67分)


取材・文/砂畑 恵

 この日、柏サッカー場の対戦カードはJ1の柏と群馬県代表でJFL所属のホリコシ。単純な比較では柏の方が技術もあって、対戦相手のホリコシよりチームのポテンシャルは断然上だ。だが今の柏を取り巻く状況は厳しい。リーグ戦では残留争いの渦中におり、神経を尖らせる試合が続いている。また、格下のチームとの対戦では、選手には「絶対に負けるわけにはいかない」とプレッシャーがかかるのもやむを得ない。

 実はホリコシは格下と言えど「大一番」に強い。ホリコシのJFLでの順位は7位と中位どころ。ところがJ入りが噂されるザスパとの群馬ダービーでは1勝1分。2年前の天皇杯では山形を破る大番狂わせを起こした。そういうことではホリコシは侮れない相手なのだ。



 中2日で天皇杯を迎えた柏はリーグ戦とは異なる顔ぶれが並ぶ。柏の対新潟戦をビデオで分析していたホリコシにとっては予想外。ホリコシは15分まで柏の様子を見てみる。だが柏は意外なほど動きが重い。「柏がガツガツとは来なかった。だから普段のサッカーで行ける」(藏川)。試合の早い段階で普段着のサッカーを選択できたことで、ホリコシは徐々に自分達の色を出し始める。

 それが形になって現われたのが25分のプレー。町田が2人のDFに囲まれながらも右サイドを突破してセンタリング。森の落としたボールを蔵川がシュートを放つ。続く35分にも、CKの流れから素早くつないで奈良へ。そして奈良からのクロスに小松原がボレーシュートで合わせる。早い攻守の切り替えから突破力のある両ウイングを生かすのがホリコシの形。そのホリコシらしいサイドからの攻撃が機能し始めた。

 それにしても柏はいただけなかった。前線にはある程度ボールを運べるのだが、シュートの前の段階でトラップが乱れたところをクリアーされ、ホリコシDFの粘り強い守備によってCKに逃れられたりとすっきりしない。多かったFKのチャンスも活かせずじまい。前半のシュートはホリコシの7本に対し柏は4本。「(選手達に)迷いがあった」(早野監督・柏)。4バックを上げずにゾーンを潰す相手に攻めあぐねたまま、ハーフタイムを迎えねばならなかった。



 そこで早野監督は後半の頭から平山に代えて加藤をピッチに送り出した。この交代は一応の成果を挙げる。加藤が中に入ってボールに触ることで中盤が活性化。谷澤が加藤とポジションチェンジを繰り返して中へ切り込み、最後尾から近藤や永田が攻撃参加する場面も増えた。前半よりややアップテンポになった相手の攻撃にホリコシはファールが増えていく。そして58分、自チームのCKの際、チュウミに反則があったとして2枚目のイエロカード。会場にいた多くの人々にホリコシの「善戦もこれまで」といった雰囲気が流れた。

 だがホリコシに回りが思うほどの動揺はない。「4−4−1にすれば、奈良と町田は機能していたし、攻守の切り替えを早くすれば対抗出来る」。池田監督(ホリコシ)は小松原をベンチに下げて深田を投入。10人で闘うホリコシは柏にボールを回されながらも、ボールを奪うと素早くカウンターの体勢に入り、虎視眈眈と得点の機会を窺う。

 そしてその機会は案外に早くやって来た。67分、小山がロングフィード。右サイドに開いていた森が柏バックラインの裏をすっと抜け出し、ダイレクトでゴール前に折り返す。DFの間に入った奈良はマークが甘いこともあり、絶好の機会に身を固くしながらヘディングシュート。地面に叩き付けられたボールはゴールへと吸い込まれた。

 先取点を奪われた柏だったが、まだ追撃の時間は十分にあったはず。しかし、際どいシュートが決まらず、同点のチャンスを逸する度に、柏の焦燥感が増幅していく。83分には、長身の中澤を前線へ送り込みパワープレーに賭けたが、縦へ単調にロングボールを放り込む攻撃は、10人で戦わなければならないホリコシにとってはまさに好都合。三本菅を中心に選手全員が団結してそれを跳ね返し続け、審判のホイッスルを待つ。そして相手にゴールを許さないまま貴重な1点を守り通した。



 10人で戦いながらビッグキリングを果たしたホリコシ。群馬県にはザスパだけではなく、こういうチームもあるんだということを全国に知らしめるとともに、大きな喜びを手にした。次は磐田との対戦。3人が出場停止と苦しいチーム状況だが、今日の対戦のように全力を尽くして欲しい。

 さて腑甲斐ない負けを喫した柏。「コメントすることのない、非常に酷いゲーム」と早野監督は記者会見で憤りを隠せなかった。プレーの1つ1つに貪欲さが欠け、ボールのない所での動きがない。何よりチームとしての戦う気持ちが希薄だった。これで、今シーズンの残り試合はリーグ戦が3つ。今回の敗戦を薬として気迫の溢れる試合をして貰いたい。


早野宏史監督(柏レイソル)記者会見
池田司信監督(群馬FCホリコシ)記者会見


(柏レイソル) (群馬FCホリコシ)
GK: ノグチピント・エリキソン GK: 井坂進一
DF: 渡辺毅 薩川了洋 永田充 近藤直也 DF: 神田文之 三本菅崇 小山大樹 チュウミ(58分/退場)
MF: 大谷秀和 下平隆宏(83分/中澤聡太) 谷澤達也 平山智規(HT/加藤望) MF: 藏川洋平 羽山拓巳 町田多聞 小松原学(60分/深田慶太) 奈良安剛
FW: 宇野沢祐次 玉田圭司(62分/矢野貴章) FW: 森陽一
SUB: 南雄太 小林祐三 SUB: 中西功 菅野賢一 北原健二 ダニロ
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