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 webnews 04/11/18 (木) <前へ次へindexへ>
広島のストロングポイントを抑え、横浜FCが5回戦に進出
第84回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 横浜FCvs.サンフレッチェ広島

2004年11月14日(日) 13:01キックオフ 横浜市三ツ沢公園球技場 観衆:2.316人 天候:曇
試合結果/横浜FC1−0サンフレッチェ広島(前0−0、後1−0)
試合経過/[横浜FC]山尾(84分)


取材・文/砂畑 恵

 会見場を素通りしてしまい、慌てて戻ってきた横浜FCのリトバルスキー監督を記者が笑で迎える。会見は終始和やか。それもそのはず昨年は4戦全敗で歯が立たなかった広島に天皇杯の場で借りを返したからだ。

 試合が始まって横浜FCのポジション取りに目を見張った。それは臼井と大友の両アウトサイドが非常に位置を高くしていたこと。まるでFWが4人いる様にさえ見える。特に臼井は開始直後からドリブルで果敢に広島陣内に攻め込みスタジアムを大いに沸かせた。



 「前半の45分、凄いプレッシャーを与えること」(リトバルスキー監督)それをテーマに今日の試合臨んだ横浜FC。殊に警戒していたのはピンポイントクロスを上げる服部と駒野。服部と駒野の後ろに出来るスペースに長いスパンのボールを送り込み、逆に自分から前に出ることで相手にプレッシャー掛けたわけである。更にはパスの配給元である森ア和とベットにはバックラインを上げてスペースを無くし、パスの寸断を図った。

 この横浜FCのシナリオにはまった形となった広島はいいところがない。攻勢の相手に押し負け守備ラインが後退する。服部と駒野も自分の裏のスペースをカバーするのに必死となった。折角、相手からボールを奪っても前線とは距離が開いてしまって、広島らしいパス回しが出来ない。結局、前田と中山へと直接ボールを送る形となり、そこでボールの収まりが悪ければまた横浜FCの守備陣に長いボールを蹴り返される繰り返し。森ア和にしろベットにしろ自分の頭上をボールが行き交うだけで、仕事のしようがなくなった。

 だが一度、広島のパスが回り出すと戦況は変わってくる。19分、駒野から逆サイドの服部にボールが渡り、右サイドを破って森ア和がヘディングシュートを放つ。これを契機に23分には楔のボールを受けた前田が自ら仕掛け、中島を躱してシュート。GK菅野の素晴らしいセービングがなければ1点もののシーンだ。40分には森ア和のパスカットから前田シュート。クロスバーに阻まれるも、ゴール前に詰めていた中山が透かさシュートを試みる。しかしまたもGK菅野のファインセーブにあって広島は絶好機を逸してしまった。



 そこで広島は55分過ぎに中盤の構成を変えてベットをトップ下に置いた。前半は上手く攻撃に絡めなかったベットはポジションを1つ上げると生き生きし始める。まずは62分、ベット、服部と繋いだボールが中山に渡る。中山はダイレクトで前線へ上がったベットにスルーパスを送った。2列目からの飛び出しに横浜FCはノーマーク。だがベットのシュートはポストの右にわずかに逸れる。74分にはボールを持つ中山に集中した横浜FC守備陣を尻目に前線へと走り込み、中山からスルーパスを受けてシュート。これをGK菅野が弾き返す。その零れ球拾ったベットだったが2度目のシュートもGK菅野がスーパーセーブ。広島にとり、この日のGK菅野は何とも恨めしい存在だったことだろう。

 相手に中央突破を許すことが多くなっていった横浜FCだったが、前半と同じく広島のサイドを突く意識は萎えてはいなかった。大友も臼井も力強い走りでボールを追う。それを援護するかのように中島も攻撃参加。FWの城と北村はそれに応えようと前線を動き回る。だがフィニッシュの精度を欠き広島の牙城を崩せない。

 そんな横浜FCに84分、CKの機会が与えられた。それまでは高いボールの多かったキッカーの中島。だが今回は低めの早いボールを蹴り込んだ。相手と縺れるようにニアに走り込んだ山尾の頭による一撃。試合大詰めを迎えて横浜FCの先制点を奪った。

 残り時間は5分少々。必死に追い付こうと攻める広島。横浜FCの選手達は一気に沸き立った水色のサポーターの声に励まされるようにゴール前を固めた。その中でも異彩を放っていたのはトゥイード。ゴール目前で相手ボールカットし、ハイボールを跳ね返す。その度にスタジアムはやんやの歓声に包まれる。そして審判の長い笛が吹かれた。



 カテゴリーの違うチームの対戦は、「追う者」と「追われる者」の関係に似ている。格下チームの「大物を喰ってやろう」という心意気に追い詰められる格上のチーム。 横浜FCは自らが積極的に攻めに出て、相手の「サイド攻撃」というストロングポイントをよく抑えた。フィニッシュの点で課題は残るし、万事が総て上手くいったとは言えないが、それでも勇気に満ちたプレーは誇れるものだ。

 対する広島は決定機が多く、それさえ決めていれば戦況は全く変わっただろう。だが本来、広島が持つ良さである「サイド攻撃」は最後まで陰を潜めた。この日は相手を押し返すだけの強い意志が欠けていた。それが最も大きな敗因のような気がしてならない。


小野剛監督(サンフレッチェ広島)記者会見
リトバルスキー監督(横浜FC)記者会見




(横浜FC) (サンフレッチェ広島)
GK: 菅野孝憲 GK: 下田崇
DF: 早川知伸 トゥイード 山尾光則 中島崇典(86分/小野智吉) DF: リカルド 小村徳男 吉田恵(85分/盛田剛平)
MF: 臼井幸平 マシュー 内田智也(88分/小野信義) 大友慧 MF: 駒野友一 李漢宰(HT/森ア浩司) 森ア和幸 ベット 服部公太
FW: 北村知隆(86分/河野淳吾) 城彰二 FW: 前田俊介 中山元気(78分/チアゴ)
SUB: 柴崎貴広 吉武剛 SUB: 林卓人 外池大亮
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