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 webnews 04/11/26 (金) <前へ次へindexへ>
PK戦に委ねられた決着。飯能が念願の関東リーグ入りを決める
第38回関東社会人サッカー大会 準決勝 飯能ブルーダーvs.図南サッカークラブ群馬

2004年11月22日(月) 11:00キックオフ 熊谷スポーツ文化公園補助陸上競技場  観衆:83人 天候:晴
試合結果/飯能ブルーダー1−1図南サッカークラブ群馬(前1−1、後0−0、延前0−0、延後0−0、PK4−2)
試合経過/[図南]塚越(22分)[飯能]水沢(35分)


取材・文/砂畑 恵

 試合後の挨拶を済ませた両者はあまりにも違い過ぎていた。雄叫びを挙げる白い輪と、頬を伝う涙を拭う蒼い列。この大会に出場したチームのいずれもが優勝を目指していただろうが、それ以上に望んでいたのは準決勝で勝者になることだったかも知れない。なぜならこれに勝ち残ったチームは関東リーグ2部へ自動昇格を果たすことが出来るからだ。

 この試合に期する思いは飯能も図南もあるだろう。だが蒼いセカンドユニフォームに身を包んだ図南にとっては、それとは別に去来するものがあった。2シーズン前、関東リーグが1、2部制に移行する際、初年度は各部に同県チームは2つ置かない特別処置が取られた為、図南はザスパ草津と入れ替え戦を闘うこととなり、PK戦までもつれた末に群馬県社会人リーグに降格した苦い経験があった。

 そんな図南は、降格時の悔しさを胸に秘めた清水や二井を中心に、素早くパスをトップに預けて攻撃を組み立てる。そして24分、小仁所のパスを受けた塚越が右サイドを破って豪快なシュート。前半に得点を挙げ幸先のよいムードが出来上がった。

 だが相手の飯能は手強い。アウトサイドの突破力を活かしたサッカーを展開する飯能は、特に失点後、右サイドの山田が相手陣内に切り込んでチームの重い空気を振り払った。これでリズムを取り戻した飯能は35分、前半2本目のCKに水沢がゴール前へと身体を滑り込ませてヘディングシュート。あっと言う間に突き刺さったゴールで同点に追い付いた。



 後半に入ると図南の猛攻が始まった。ボランチの二井が前へ出て、攻撃で相手にプレッシャーを掛ける。長年、プレーを共にする清水とのコンビネーションも図南の大きな武器だ。この2人の動きに刺激を受けたように塚越と吉田も積極的にシュートを放つ。しかしどうしてもゴールネットを揺らせない。62分の吉田のシュートもGK中村宏の正面を突いた。

 この苦しい時間帯、飯能は高い集中力と粘り強い守備で対抗した。図南のシュートが枠を捉えなかったのも、守備陣が最後まで身体を寄せ続けた結果によるもの。そして固い守りを礎に相手を突き放す機会を窺う。だがパスの回る場面はあるものの、図南の守備の前に全くシュートまで持ち込むことが叶わなかった。76分、後半唯一にして絶好のチャンスも穂積、山田の連続シュートはDFのゴールカバーとGK中村楽の好守に阻まれた。

 両者、決定打が産まれぬまま迎えた後半のロスタイム、図南に最大級のチャンスが訪れた。途中からFWにポジションを移動していた二井がDFの烈しいマーク打ち破りGKと1対1。後はもういつシュートを打つかのタイミングだけ。二井はGK中村宏の動きを見ながら狙いを定める。しかし慎重過ぎてシュート体勢に入るや否やDFにクリアーされてしまった。



 延長戦に入って最初にチャンスを掴んだのは飯能だった。85分、宮崎のミドルシュートが炸裂。GK中村楽の手をかすめたボールはクロスバーの金属音を響かせた。その後は命拾いした図南が再び猛烈にアタックを仕掛ける。けれどもシュートを打てど飯能ゴールは遠く、刻々と時間は過ぎた。それでも延長戦終了目前の99分、スローインから山田が落としたボールを清水がゴール前に持ち込む。ペナルティーエリア内でDFをかわしてシュート。だが絶妙なポジショニングを取っていたGK中村宏に阻まれてしまった。

 両者の命運を占うPK戦。どちらも1人目が決めて、先行の飯能の佐藤がボールをセットする。GK中村楽は最初のPKも手に当てていた。佐藤の蹴ったボールは1本目のPKと同じコース。今度はGK中村楽が読み勝って弾き返した。そして図南2人目は東田。フェイクを入れて左に狙い済ましたシュートを放つも、無情にもゴールポストを叩く。続く3人目、飯能がしっかり決めてきたのに対し、図南・山田のシュートはGK中村宏の正面に飛び防がれる。結局、飯能は5人目の河野がゴールを沈め、念願の関東リーグへの切符をもぎ取った。

 飯能はよく図南の攻撃を耐え抜いた。今後、カテゴリーが変わり色々と大変なこともあるだろうが、今日のようなチーム一丸の粘り強さがあれば自信を持って闘えることだろう。一方、残念ながら涙を飲んだ図南。負け=無になるわけではない。必ず得る糧もあるはず。悔しさを心に刻んでもっと高みを目指し羽ばたいて貰いたい。

 そして最後に両チームには数は少ないが、最後まで声を嗄らして応援をしてくれたサポーターがいる。選手は彼らの願いを受け止めて何があっても諦めず夢を追い続けて欲しい。


(飯能ブルーダー) (図南サッカークラブ群馬)
GK: 中村宏紀 GK: 中村楽
DF: 水沢雅之 河野大樹 高橋宏明(49分/大野孝之) 宮崎智秀 DF: 生方育大 東田学 川田正二 上田敏之
MF: 佐藤周 清水洋介 山田健司 河崎健太郎 MF: 本藤拓也 清水千章 二井大二 小仁所洋平(80分/二瓶隼)
FW: 中野一孝 穂積一哉 FW: 塚越良太(61分/山田一也) 吉田卓弥(74分/渡辺智洋)
SUB: 鷹野正博 矢部晃弘 石川光明 熊谷哲平 里見洋一 石牟礼泰成 SUB: 中里曜一 小井土佳央 岸憲彦 大場正彦
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