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 webnews 04/11/26 (金) <前へ次へindexへ>
「大人のテイスト」、東芝府中がドラゴンズをうっちゃり決勝進出
第38回関東社会人サッカー大会 準決勝 東芝府中サッカー部vs.クラブ・ドラゴンズ

2004年11月22日(月) 13:30キックオフ 熊谷スポーツ文化公園補助陸上競技場 観衆:65人 天候:晴
試合結果/東芝府中サッカー部2−1クラブ・ドラゴンズ(前0−1、後2−0)
試合経過/[ドラゴンズ]矢澤(29分)[東芝府中]窪田(46分)野口(54分)


取材・文/砂畑 恵

 準々決勝は水色のユニフォームで何となくピンとこなかったが、今日の東芝府中はJ2の札幌と同じロッソネロ。東芝カラーなんだと改めて思いながら、その姿を眺める。対戦相手のドラゴンズは流通経済大サッカー部の20歳プラス・マイナス1歳の選手で構成された若いチーム。試合前の練習から溌剌とした動きが目に留まった。



 試合は開始から10分は探り合いといった様相を呈したが、それを過ぎるとドラゴンズが攻めのテンポを一挙に早めた。攻撃の起点となったのはボランチの菅野将。チームのタメを作り、鋭いパスを配給する。そのパスにサイドバックの丹も絶妙な上がりを見せた。この菅野将と丹のラインを結んだ攻撃は迫力があり、右サイドから東芝府中に果敢に挑む。これで勢いを付けたドラゴンズが待望の先制点を挙げた。29分、矢澤が自ら持ち込んでミドルシュート。GK秋山を越えたボールは急速にドロップしてゴールの内に吸い込まれた。

 ところがこのゴール後、ゲームの流れがすっかり変わってしまう。先制して波に乗るかと思われたドラゴンズだったが、突然にチームのリズムを崩してしまったのだ。それはグッと押し上げた東芝府中の最終ラインが関係している。東芝府中の前線までコンパクトになったゾーンでパスを通そうとする余り、東芝府中が張り巡らす網に次々カットされ、それまで出来ていたドラゴンズの快調なボール回しが全く影を潜めてしまった。

 これにより、ゲームの主導権は東芝府中の手中に落ちた。準々決勝で見た東芝府中の攻撃は退場者を出したとはいえ、その型がおぼろげだった。しかし、この日の東芝府中はポイントが明確。その狙いはサイドからの攻撃だった。サイドバックが攻撃参加し、あるいはFWの窪田や馬目が外に流れてセンタリングを入れるシーンありと、バリエーションも多彩だ。例えば36分には棚町のパスカットから左に開いた窪田がクロスを上げる。ボールはGK笹原キャッチされたがゴール前には馬目が走り込んでいた。また40分の攻撃も窪田がセンタリングを上げ、逆サイドの野口が中央に折り返して最後は後方から上がった東城がミドシュートを放つなど、徹底したサイドへの意識が感じられる。ゲームを支配し、攻撃の形も整った。後に残されたのはゴールという結果だけだ。



 その東芝府中は後半の立ち上がりに一時ドラゴンズの反発を許したが、直ぐにペースを握り返してゲームを進めた。そして46分にCKから同点に追い付く。棚町のキックが混戦からこぼれた。それを加河が左に横パス。ファーでフリーになっていた窪田が思い切りのよいシュートを叩き込んだ。更に東芝府中は畳み込む。54分、右からのクロスにドラゴンズDFがクリアーしたところを野口が電光石火のボレーシュート。一気に東芝府中が逆転した。

 続けざまに失点したドラゴンズ。試行錯誤しながらなんとかリズムを掴もうとする。56分、中島が左サイドを破り、大きなサイドチェンジで矢澤にパスを送る。その矢澤が深くえぐってアーリークロスを入れるが、中央に入った菅野将にはわずかに届かず、相手DFに跳ね返されてしまう。ベンチも62分には樋山、その3分後には鶴岡とフレッシュな選手を投入し活性化を図った。そんな中で66分、ドラゴンズにチャンスが巡ってきた。縦パスを受けた菅野将が、横を追い越す矢澤にスルーパスを送る。東芝府中DFの裏に抜けた矢澤。だが2列目からの飛び出しにも慌てずケアするGK秋山の前にシュートが決められない。

 残り10分になると東芝府中は完全に守り切る体勢に入る。ドラゴンズは最後の力を振り絞って猛烈に攻め立てた。だがドラゴンズは、あと1歩に迫りながらゴールをこじ開ける鍵を見付けられない。75分、東芝府中の守備が見せた一瞬の隙を突いて、樋山の楔のパスを受けた足立原がDFを背負いながら反転シュート。だが左ポストに当たって万事休す。結局、最後の奮闘も実ることなく、ドラゴンズは東芝府中の分厚い壁の前に屈した。



 やはりドラゴンズにとって悔やまれるのは、先制後に急激なペースダウンをしたことだろう。あの時間帯、一途にパスを繋ごうとすることが、却ってミスと焦りを誘発させてしまったように映った。それまでのリズムは相手を上回り、ラストシーンでは諦めない姿勢も見せた。そんなサッカーに相手をいなすプレーが加われば可能性が広がるチームのように思う。

 東芝府中は、失点後の主導権を奪い取る過程や、一気に逆転に持っていく様、そして、守備固めに際しての安定感は、社会人チームにあって、その成熟の高さを感じさせる。また準々決勝では、はっきりとした形を持たなかった攻撃を修正し、チームのコンセプトを明確にしていた。その戦術や、ゲームの流れに柔軟に対応するサッカーは、まさに大人のテイストが香るものであった。


(東芝府中サッカー部) (クラブ・ドラゴンズ)
GK: 秋山成樹 GK: 笹原幸広
DF: 菅谷準 沼田和喜 加河大 伊藤裕之 DF: 小林直幸 高橋聡 丹郁也 中島良(62分/樋山貴郎)
MF: 棚町佑介 東城祐一(40分/金藤克佳) 窪田慎吾(81分/落合俊哉) 馬目雄介 山本陽慈(80分/余湖佳祐) MF: 相川雄一郎 菅野将太(67分/足立原健二) 川村泰裕 矢澤貴浩 市川篤(65分/鶴岡学)
FW: 野口篤 FW: 野崎裕太
SUB: 高梨泰嗣 森屋博士 林晋吾 岩ア康博 SUB: 野口辰哉 菅森大介 吉澤真 秋元洋太
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