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 webnews 04/11/29 (月) <前へ次へindexへ>
C大阪、火事場の馬鹿力!全員一丸で大久保の送別試合に貴重な勝利!
2004Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ 第14節 セレッソ大阪vs.清水エスパルス

2004年11月23日(火・祝)15:04キックオフ 長居スタジアム 観衆:21,035人 天候:晴
試合結果/セレッソ大阪2−1(前2−1、後0−0)清水エスパルス
得点経過/[C大阪]久藤清一(9分)、古橋達弥(28分)、[清水]杉山浩太(44分)


取材・文/貞永晃二

 試合後、スペイン・マジョルカへのレンタル移籍でチームを離れる大久保が涙を流し想いを語った。サポーターの大歓声に四年間の様々なシーンが頭をよぎったのだろう。そして幾度となくイエロー、レッドをもらい、そのたび失望を与えつづけたサポーターへの感謝の気持ちを表したかったのだろう。そんな彼を疎むどころか愛しつづけてくれたサポーターに伝える言葉などいらなかった。その涙がすべてを物語っていたからだ。

 2試合を残し頭上のライバル・柏との勝ち点差は「4」。柏が勝てばその瞬間に最下位が決まる、ギリギリの戦い。もちろん、勝利を目指すしかない。リードしながら守り切れない試合が続き、取れる勝ち点をみすみす失ってきたためにここまで窮地に追い込まれたC大阪。対戦相手は清水、最近相性がいいこと、しかも前節で残留を決めていたことは大きなアドバンテージとなった。特にスタメン復帰の森島に大きな期待が集まった。



 この重要な試合に出場停止のGK伊藤に代わってゴールを守るのはなんと徳重健。かつての高校サッカーのヒーローも浦和では出番をつかめず、サブ・キーパー多田を負傷で失ったC大阪に緊急のレンタル移籍で加わった。大久保のホーム最終戦は国見高で1年後輩である彼にとって記念すべきJリーグ初出場となった。しかし年代別の代表チームでの試合経験は豊かな彼なのだが、、、。

 C大阪は今シーズン最高の立ち上がりを見せる。西澤がターゲットマンとして前線に仁王立ち、大久保が高度な足技で清水DFをかき回す。この日は1トップ・2シャドーシステムを取らず、西澤、大久保を2トップに森島が飛びだす形。古橋は左アウトサイドに置かれたのだが、これが見事に機能した。清水の攻めの起点となる右アウト・太田の上がりを牽制しつつ古橋は攻守にアップダウンを繰り返した。ここ数試合、C大阪にとって最もコンスタントなプレーを見せてくれるのは彼だ。

 先制点は攻守に清水を圧倒していたC大阪があげる。9分、ボックスの左角で受けた西澤がゴール前中央に入り込もうとする大久保へ浮きダマを入れる。清水DFの注意が背番号10に集中した瞬間、右から大久保とクロスするように侵入したのは久藤だった。胸で押し出してDFの間を抜け、バウンドするボールを正確に左足ボレーで叩くと、弾道はGK黒河のリーチ外を飛んだ。土壇場に立つチームをサポートするために足を運んでくれた2万を超えるファンへの感謝の表し方としては最高のものだった。しかしピンクのサポーターは大歓声で称えながらも同時に、3試合連続して先制しながらも勝利という結果を見せてくれない愛するチームに対する不安を感じずにはいられなかったのだ。



 先制された清水は当然反攻に出る。ボックス内で久保山が倒れるがノーホイッスル。さらにチョ・ジェジンのシュートもDF千葉に密着されワクを外す。そのたびスタジアムは安堵のため息に包まれる。

 そして再びC大阪がのびのびした攻めを見せる。酒本が右から、久藤が左から清水DFを切り裂く。西澤、布部のシュートが清水ゴールを脅かし、右コーナー付近では大久保が十八番のフェイントで突破を仕掛ける。清水のチョは受けるボールが浮きダマが多いためか、「足元にくれ」と大きな身振りで味方にアピールする。

 そして喉から手が出るほど欲しかったC大阪に追加点が決まったのは28分。ロングボールが左サイド古橋へ。清水DFの足が軽く触れボールは並走する森島の頭上へ。小柄な坊主頭のヘッドパスは前進を止めなかった古橋に「さあどうぞ」というプレゼントボール。古橋は普段なら胸でコントロールし前進するところ、美しい後傾姿勢からなんら躊躇することなく浮いたボールに右足を振り抜いた。予想外のシュートにGK黒河の反応は一瞬遅れた。野球でいうシュート回転のボールはゴール右スミに矢のように飛び込むゴラッソ(スーパーゴール)!。両手を高く上げて喜びを表現する古橋。長居は再度大歓声に包まれた。

 珍しく(失礼!)2点リードしたC大阪。追う立場の清水も目の色を変えては攻めに出てこない。淡々と時間だけが流れる。そして前半も残りわずかとなった。あと数秒の我慢。これができないために何度サポーターは悔しい思いをしてきたことだろう。そしてまたもやC大阪は同じ失敗を繰り返してしまう。アラウージョの蹴った右CK。ニアポストで杉山がヘッドで合わせる。GK徳重健が一歩も動けないコースをボールは通過しネットをゆっくりと揺らした。C大阪はせっかくの好ムードを自らぶち壊す失点となった。



 前半終了間際に得点した清水が予想どおり後半のペースを握る。前半とは一転して正確なショートパスをつなぎ、サイドを使った攻撃はC大阪に脅威となった。若きボランチ杉山がミドルを狙い、左アウトサイドの高木が鋭利なクロスでチャンスを作り、さらにカットインから右足でミドルを放った。

 巻き返したいC大阪も前節出番のなかった森島がピッチ狭しと動き回る。そこへ古橋、大久保が絡んで左右のサイドを広く使って攻めを構築する。酒本のクロスを西澤が落とし大久保が狙う。さらに大久保がスルーパスを受けてシュートに持ちこむ。石崎監督はアラウージョ・久保山をあきらめ、前節J1残留を決めた曲者平松、高さの北嶋を投入しC大阪DFの混乱を狙う。

 ここでスタジアムにどよめきと大きな拍手が連続した。「柏0−2浦和」続いて「柏0−3浦和」の電光表示。これにピッチ上の選手が気づいたかどうかはわからない。しかしサポーターの応援に一層の熱が加わり、生み出された大歓声は疲れた選手に大きな励ましとなったはずだ。この時間帯、足を引きずっていた大久保がフリーで抜け出しGKと一対一、しかし左に外してしまう。巻き起こる「ヨシト・コール」に顔を上げて守備に戻る大久保。もう足が痙攣寸前なのだろう、ミドルシュートも大きくふかしホームラン。

 出場停止明けで攻守に大奮闘した久藤もお役御免、下村が代わる。西澤もドリブルで足がもつれチャンスをつぶす。守備に人数をかけ守りきろうとする最下位チームを攻め崩せない清水。4枚のイエローをもらったC大阪。褒められることではないが、この試合に賭ける想いはサポーターに十分伝わった。40分を過ぎ、パスを受けると敵ゴールへ向かわず、コーナー付近でのキープで時間消費を狙う大久保。「勝ちたい」気持ちが重い足を動かし、気迫で清水DFのタックルをはね返す。CK、スローイン、そしてCK。長い長い「3分」が経過し、選手、ベンチ、そしてサポーターに笑顔が広がった。



 やはり、前節残留を決めた清水の選手の心をモチベートするものはこの試合には存在しなかったようだ。柏に勝ってC大阪に負ける、残留争いの2チームに不公平すぎる結果になった。決してどこにも引けをとらないメンバーを揃えながら、最後まで「強さ」を見せることができなかった清水。加入直後は結果を出していた韓国代表の若きエースも十分に研究されたためか尻すぼみに終わった感じだ。結局はシーズン途中での監督交代も結果にはつながらなかった。年齢的にはこれから油ののる選手が多い清水、何か強烈な刺激が必要なのかもしれない。

 GKに不安を抱えていたC大阪だったが、全くの杞憂に終わった。C大阪が攻めつづける試合展開に徳重健がプレッシャーを感じる場面は失点シーン以外ほとんどなかったからだ。「やればできるやん」ほとんどのC大阪ファンが抱いた感想だろう。しかしできないからこそ、地獄のテールエンドに位置しているのだ。「お休み明け」の森島のふんばり、清水のチョが全く起点になれなかったのに比し、西澤は今季ベストパフォーマンスだった。前半からストッキングを下げていた大久保も疲れの色を隠せなかった。しかし彼ら中心選手が90分を走り切ったことが久々の勝利とともにサポーターに満足感を与えたのは間違いない。さあ泣いても笑っても日曜日、アウェーのビッグスワンで全てが決着する。良い日と悪い日、久藤のプレーが象徴する波の激しいC大阪が今季「最初で最後」の連勝で締めくくれるか、注目しよう。


(セレッソ大阪) (清水エスパルス)
GK: 徳重健太 GK: 黒河貴矢
DF: ラデリッチ(89分/齋藤竜) 柳本啓成 千葉貴仁 DF: 森岡隆三 斉藤俊秀 戸田和幸
MF: 布部陽功 久藤清一(80分/下村東美) 酒本憲幸 古橋達弥 森島寛晃 MF: 太田圭輔 伊東輝悦 杉山浩太 高木純平(89分/村松潤) 久保山由清(68分/北嶋秀朗)
FW: 大久保嘉人 西澤明訓 FW: チョ・ジェジン アラウージョ(63分/平松康平)
SUB: 羽田敬介 苔口卓也 徳重隆明 SUB: 西部洋平 池田昇平
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