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 webnews 04/12/15 (水) <前へ次へindexへ>
最後のチャンピオンシップの栄冠は横浜FM。第2戦を制した浦和はPK戦に散る
2004Jリーグ サントリーチャンピオンシップ 第2戦 浦和レッズvs横浜F・マリノス

2004年12月11日(土) 19:37キックオフ 埼玉スタジアム2002 観衆:59.715人 天候:晴
試合結果/浦和レッズ1−0横浜Fマリノス(前0−0、後半1−0、延前0−0、延後0−0、PK2−4)
試合経過/[浦和]三都主(76分)


取材・文/砂畑 恵

 相手に遅れて戦場に帰ってきた赤きイレブンが円陣を組む。残された時間は45分。スタンドから起こった「We are Reds」のコールはゴール裏やバックだけではなく、メインや2階からも滝のようにピッチになだれ込み、声がぶつかり合って木霊する。今までにこんな埼スタを経験したことはなかった。

 前半の浦和は攻め立てた。立ち上がりからエメルソン、永井の2トップが積極的に仕掛ける。後方からサイドへとロングボールを送り、大きなサイドチェンジを交えながら、三都主や平川、そして長谷部が後方から駆け上った。そんな浦和に横浜FMはてこずる。マークすべき選手が増え第1戦に通用していた囲い込む守備が追いつかない。身を削る様なディフェンスと引き換えに、浦和に何度となくセットプレーのチャンスを与えた。

 前の試合では凡庸だった浦和のリスタートは1週間で見違えるように多彩となっていた。15分のFKはアルパイが標的となるヘディングシュート。20分のFKには山田が横に流したグランダーのボールに対し、エメルソンがゴールとは逆に走るトリックプレーからのシュート。26分のFKは三都主が直接ゴール狙った。だがいずれもわずかの差で得点に至らず。

 そんな前掛かりの浦和に一太刀浴びせようと横浜FMの攻撃陣が襲いかかった。それに対し浦和の反応も素晴らしかった。特に31分には坂田に守備ラインを破られ1対1の場面を作られたが全力で戻った鈴木とGK山岸の必死なプレーで浦和は危機を回避。33分にも奥のロングフィードでピンチを迎えたがGK山岸がペナルテーエリアを飛び出してクリアーした。

 攻守に渡って浦和の気迫は相手を上回っていた。それでも前半の内に相手に追いつくことは叶わなかった。重苦しい表情でロッカールームへと消えた選手。居ても立ってもいられない。そんな想いが浦和サポーターを冒頭の行為へと駆り立てた。



 後半になると横浜FMは攻勢に出る。53分にはドゥトラのクロスに坂田がダイビングヘッド。58分にも奥のパスにタッチラインの外から回り込んだ坂田がアルパイをかわしてゴールへと突き進む。しかし浦和守備陣も高い集中力を発揮しゴールは譲らない。このピンチを潜り抜けた浦和は前半と同様に選手が出入りを烈しくして策を巡らしゴールを目指す。だが横浜FMの守備陣も一歩も引かない。そこで浦和ベンチは63分、満を持して田中達を投入。田中達の機動力が浦和の攻撃をそれまで以上にアップテンポにする。

 それに反して横浜FMは背走しながらの苦しい守備に追われた。その中で中澤の懸命な守備が光る。66分には長谷部のロビングボールを難しい体勢から跳ね返したばかりか、直ぐにボールを拾ったエメルソンに素早くマーク。68分には山田の浮き玉のパスに反応する田中達を追ってボールをクリアー。続くエメルソンのシュートにも反応してCKに逃れた。

 試合は終盤に入り浦和に初戦の1失点が重くのし掛かった。ネネや鈴木もミドルシュートで得点を狙う。72分の永井の強力ミドルもDFに当りGK榎本の手にすんなりと収まった。だがその2分後、田中のスルーパスにエメルソンが中澤を振り切り突進。掴まえようとする中西とエメルソンが縺れ合って倒れた。決定機を阻止した中西は一発レッド。浦和にFKのチャンスが与えられる。慎重にボールセットする三都主。キックされたボールは5枚の壁の脇を通り抜け、バウンドしてポスト下隅に吸い込まれた。

 スタンドを埋め尽くす赤い人々は総立ち。76分、ついに浦和がトータルスコアーで横浜FMに追いついた。そして更なるビックチャンスがロスタイムに待っていた。相手のミスから巡ってきたCK。三都主のキックにアルパイはニアへ動いてスペースを作る。後方から回り込んだ闘莉王が踊り出てヘディングシュートが炸裂した。タイミングは絶妙だったがボールの飛んだコースはGK榎本の真正面。劇的な締め括りとはいかず、勝負は延長戦に持ち込まれた。

 延長戦に入っても浦和ペースは続いた。それでも奥をボランチの位置に下げて守りに徹する横浜FMは揺るがない。がちりと組み合った両者に勝負を決する得点は産まれなかった。そしてついには年間王者の称号を賭けたPK戦へと突入。気負いで肩に力が入った様子の浦和の面々とは違い、横浜FMの選手には突き抜けたようなリラックスした雰囲気が傍目から感じられる。結局、先攻の浦和が闘莉王と長谷部がGK榎本に完全にシュートコースを読まれて止められたのに対し、後攻めの横浜FMは奥を筆頭に次々とPKを決めていく。最後のキッカー・ドゥトラはGK山岸のタイミングを外し、軽いボールタッチのPKを決め、横浜FMが04シーズンと最後のチャンピオンシップの王者に輝いた。



 やはり大舞台の経験から来る横浜FMの成熟度は浦和よりも上だった。自分達のペースに浦和を巻き込んだ第1戦試といい、退場者を出しながらも落ち着き払って守り抜いたこの日の試合といい、その試合運びの上手さは一枚上手だった。また献身的でダイナミックな守備を見せた中澤もMVPに相応しい活躍だ。これからもJリーグを牽引していって欲しい。

 準優勝チームとなってしまった浦和だが、今日の試合は得点こそ1ゴールに終ったが今季最高のプレーを見せてくれたと思う。また課題であるセットプレーについても最後にきてバリエーションが豊富になり、成長の歩みを止めていないことも確認できた。来年はマークもきつくなるだろうが、今後も攻撃的な浦和の色を深めてもらいたいと思う。


(浦和レッズ) (横浜Fマリノス)
GK: 山岸範宏 GK: 榎本達也
DF: アルパイ 田中マルクス闘莉王 ネネ DF: 中澤佑二 松田直樹 河合竜二
MF: 山田暢久 長谷部誠 鈴木啓太 平川忠亮(63分/田中達也) MF: 田中隼磨 上野良治 中西永輔(74分/退場) ドゥトラ 奥大介
FW: 永井雄一郎 三都主アレサンドロ エメルソン(119分/退場) FW: 清水範久(82分/山崎雅人) 坂田大輔
SUB: 都築龍太 内舘秀樹 酒井友之 岡野雅行 SUB: 榎本哲也 那須大亮 大橋正博 佐藤由紀彦
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