topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 05/01/04 (火) <前へ次へindexへ>
試合開始30分前、チケット売り場には長蛇の列。
鹿児島実業、エースのハットトリックで2005年をスタート!
第83回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 修徳高校vs.鹿児島実業高校

2005年1月2日(日)12:10キックオフ 西が丘サッカー場 観衆:6,159人 天候:晴
試合結果/修徳高校0−3鹿児島実業高校(前半0−2、後半0−1)
得点経過/[鹿児島実業]山下(24分、26分、74分)


取材・文/西森彰

 東京都代表の修徳高校と名門・鹿児島実業高校の対戦に、西が丘サッカー場は超満員となった。会場の入口には当日券を求める長い列が作られ、場内放送は何度と無く「通路での立ち見禁止」を呼びかける。全日本女子選手権の準決勝、そしてこの高校選手権の1回戦といずれも雪に見舞われた西が丘サッカー場にようやく戻ってきた太陽の姿。除雪作業の効果もあって、芝生は緑に蘇っていた。

 筑陽学園高校に敗れた昨年、試合後に行なわれた記者会見で「12人、13人のチームでは全国制覇はできない」と語った鹿児島実業の松沢隆司総監督。今年の陣容を尋ねると「今年は14人、15人はいるみたい。まあたいしたことはないけれどね。特に穴はないけれども。まあ中の上くらいのレベルだけれど」という答えが返ってきた。

 挑戦する立場の修徳は帝京高校を破って4年ぶり6回目の選手権出場を手にした。東京都代表との対戦に松沢総監督は警戒を強めていた。「(西が丘は)グラウンド自体はジュビロユースとやった時に経験しているから大丈夫。ここは観客席との距離が近いから『冷静にやろう』と声をかけました。(地元よりの声援を)気にせず、プレーに集中できるかどうか。それが心配だった」。



上村(赤6)は再三、左サイドから攻撃を仕掛ける。
 松沢総監督の心配は杞憂に終わった。鹿児島実業はホームチームを凌駕する勢いで、キックオフからゴールに迫った。3バックの両脇にできるスペースへ、右からは渡邊辰巳、左からは上村豊和。サイドハーフが次々に飛び込んで、ここから戦果を拡大していく。

 24分、中央から右サイドに流れていた坪内佑太郎のクロスを、ファーサイドで受けた山下真太郎が、ワントラップしてDFを振り切り、ゴールの右隅に流し込む。さらにその2分後、今度は渡邊のロングスローから修徳のペナルティエリア内で混戦が生まれ、粘った重富朝登がこぼれ球をつないで、山下が詰める。鹿児島実業にすれば思い通りの展開だ。

 一方が思い通りの展開ということは、対戦相手にとって最悪の流れということになる。修徳は16分に伊賀貴一が早々とイエローカードを提示され、フィジカルで上回る相手に、強いチャージを仕掛け辛くなった。18分、成毛克年のヘディングシュートはスーパーセーブに遭い、前半終了間際の混戦から再び成毛が放ったシュートは、DFの手に当たったようにも見えたがノーファールの判定。流れに乗れないまま、ハーフタイムを迎えてしまう。

 後半に入ると、厚い中盤を敷く修徳が、守備から攻撃に切り替えるスピードを増した。今井翔平の正確なフリーキック等で、鹿児島実業ゴールに迫る。だが、相手のリズムの中でも、岩下敬輔を中心にした赤い壁は全く崩れない。「プロに行こうというのだから、あれくらいやって当然」(松沢総監督)と信頼するキャプテンは、読みの良いディフェンスで最終ラインをまとめ、決定的なシュートを打たせない。

「相手がペースを取り戻してきていた。だから次の1点が勝負になると思っていた」と松沢総監督。その1点を決めたのは、やはり鹿児島実業のエース・山下だった。坪内が、1点目と同じようなクロスを右から入れると、胸トラップで落としてシュート。今大会初戦でハットトリックを達成した。修徳も最後まで鹿児島実業ゴールに向かう姿勢は見せたが、試合終了の笛まで3対0のスコアは動くことがなかった。



後半に向けて、気合を入れ直した修徳だったが…。
 敗れた修徳だが、肝心な場面でジャッジが相手に流れる、かわいそうな面もあった。鹿児島実業の寄せのスピード、リーチの長さ、そして高さに対する答えとして、グラウンダーの速いパスを多用してゴールに迫ったが、最後のところでフィニッシュに精度を欠いた。それでもフリーキックを担った今井を始めとして個々の選手のテクニックは高く、もう少し見ていたいチームだった。

 勝った鹿児島実業は、松沢総監督が警戒していた「初戦の悪魔」に出番を与えなかった。「『プレーに集中すること』をひとつのキーワードにしていた」松沢総監督だが、選手たちはアウェーの初戦を落ち着いてクリアした。

「まだ今日はウチの良さは出ていないし。プレッシャーから(良い時の)60%くらいかな。ただ山下が点を取ってくれた。彼は全日本ユースから、ずーっと点が取れていなかったんですよ。県予選でもほとんど取れていなかった。その山下が全国へ来て点を取ってくれた。それが収穫かな」

「まあ、まだ初戦ですから。たくさんこういう機会(報道陣との質疑応答)があれば嬉しいことですね」と最後に付け加えた松沢総監督。南の強豪が、9年ぶりの全国制覇へ向けて好スタートを切った。




(修徳高校) (鹿児島実業高校)
GK: 山下渉太 GK: 片渕洋平
DF: 荒川洋平、石川悠、尾形一騎(57分/鈴木一矢) DF: 重富朝登、岩下敬輔、伊集院俊弘、西岡謙太(64分/赤井田侑志)
MF: 長崎祐也、藤村拓矢、篠崎伸一朗(72分/太田雅也)、今井翔平、新保修(67分/斉藤幸司) MF: 三代将平、坪内佑太郎、渡邊辰巳(76分/豊満貴之)、上村豊和
FW: 成毛克年、伊賀貴一 FW: 大脇辰也(46分/栫大嗣)、山下真太郎
<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送