topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 05/01/08 (土) <前へ次へindexへ>
エースの意地。興梠の一発で鵬翔が初のベスト8へ
第83回全国高校サッカー選手権大会 3回戦 鵬翔vs.広島観音

2005年1月3日(月)14:10キックオフ 三ツ沢球技場 観衆:4,000人 天候:晴
試合結果/鵬翔1−0広島観音(前1−0、後0−0)
得点経過/[鵬翔]興梠(27分)


取材・文/中倉一志

 大会屈指のMFと呼ばれる興梠(こおろぎ・3年)を擁する鵬翔が三ツ沢球技場に姿を現した。今夏の高円宮杯ではベスト4に進出。今大会でも優勝候補の一角に数えられている強豪だ。初戦となった矢板中央戦では、点の取り合いからロスタイムの興梠のゴールで相手を突き放したが、チームのポテンシャルは十分に発揮されているとは言い難い。初戦という独特な緊張感から開放され、どんなサッカーを披露してくれるかに注目が集まる。

 対する広島観音は学校創立82年目にしての初出場。自主性を重んじる独特のトレーニングで全国の舞台に進んできた。週3日のトレーンにグ以外は全て自主練習。基本的な部分は監督他、指導陣が指示を与えるが、チームのコミュニケーション作り、ゲームプランの策定、ベンチ入りメンバーの決定と交代まで、全て選手たちが自主的に行う。広島ジュニアユース出身者が多くいるチームの技術レベルは高く、今大会のダークホース的な存在だ。



 広島観音のシステムは4−2−3−1。ボランチの田中(2年)を興梠のマンマークにつけて試合をスタートさせた。「時間とスペースを消すような守備をすること。絶対に引くな」(畑監督・広島観音)。風上に立つ広島観音は長いボールを前線へ。そこへ中盤が押し上げて鵬翔の勢いを奪いにいく。「昨日は(2回戦)引いてしまったんでコンパクトにやろう」とは松崎監督(鵬翔)。4−4−2のシステムから、最終ラインを上下動させて広島観音の1トップの動きを封じる。

 互いに相手の様子を見ようとする意識が強すぎるのか、試合はゆったりとした大味な展開で進んでいく。左サイドの入船(2年)が押し込まれ、興梠も精彩を欠く鵬翔は、全くといっていいほど攻撃の形を作れず、トップにボールを入れさせてもらえない広島観音も、押し込んでいるようでチャンスが生まれない。ともにボールを繋ごうという意識はあるのだが、もう1本がつながらず、スピードも上がらず、試合は膠着状態から抜け出せないままに時間が過ぎていった。

 そんな中、鵬翔に先制点が生まれる。時間は27分、中盤のボールの奪い合いから木村(3年)がボールをキープすると、乱れた広島観音の最終ラインの裏へ興梠がスルスルと抜け出した。木村からのパスを受けてGKと1対1に。興梠は右へ流れるとGKの動きを冷静に見極めてゴールネットを揺らした。ここまでほとんどボールに触れていなかった興梠だが、ここ一番の決定力はさすがといったところか。そして前半は1−0のまま終了した。



 後半に入っても試合のペースは上がらない。風下に回った広島観音は2列目の両サイドを高い位置に上げて3トップ気味の布陣からパスを繋ごうと試みるが、鵬翔の堅いDFがこれを許さず。一方の鵬翔は、相変わらず興梠にボールが渡らないためにゲームが作れず、木村が広島観音の両サイドのスペースへ走りこんで起点を作っても、フォローの動きが足りないためにパスをつなげることが出来なかった。膠着状態は続いていく。

 そんな試合も、攻める意識を持ち続けた広島観音が少しずつ、少しずつ、ペースを引き寄せていく。左サイドへボールを集めてチャンスを作り出すと、鵬翔を上回る出足の良さでセカンドボールを奪取。そして松水(3年)にボールを集めてゲームを作る。自陣ゴール前に下がっていく鵬翔。前に出る広島観音。ゆったりとした展開で静かに進んできた試合が、ようやく動き始めた。そして残り10分となったところで広島観音の猛攻が始まった。

 狙いは鵬翔のCBの後ろ。ハーフタイムに「相手のセンターはあまり強くない」と選手同士で分析していた場所だ。松水が正確なロングホールを鵬翔ゴール中央に送り、そこへ人数をかけて飛び込んでいく。73分にはペナルティエリア内にこぼれたボールを競り合って、あわやというシーンも作り出した。しかし、広島観音は後一歩が届かなかった。終了間際にも混戦の中からシュートを放ったが相手DFに当たって万事休す。鵬翔が興梠の1点を守りきって準々決勝へ駒を進めた。



「週3日のトレーニングでも運動量で引けを取ることはなかった。生徒たちが自主的に決めたことを貫き通すやり方が全国でも通用することが分かった。あとは少しの所。そこの所の質を上げるトレーニングしていかなければいけない」とは畑監督。広島観音はサブを含めて20名のうち10人が2年生。この日の先発にも4人の2年生が顔を連ねた。この経験を生かして、来年は全国のトップレベルを狙う。

 さて、鵬翔は高校選手権では初のベスト8。しかし、監督にも、選手にも、必要以上の喜びの表情はない。目指すは全国の頂点。ベスト8はあくまでも通過点に過ぎないということなのだろう。準々決勝の相手は市立船橋。「滅多にやれる相手ではないので楽しみです」と松崎監督は口にする。市立船橋の堅い守りを崩すことがポイントになる次の試合。興梠がどれだけボールに絡めるかがポイントになる。







(鵬翔) (広島観音)
GK: 川添卓 GK: 相原剛
DF: 入船和真 池田卓弥 酒井剛 宮路洋輔 DF: 武田宗大 宮本知賢 免田哲矢(51分/中島徹) 左山晋平
MF: 熊元敬典 金久真也 木下大輔 堀田裕幸(37分/玉置慎也→39分/角島康介) MF: 田中康晴 小熊和人 長谷川博一 松永隆憲 岸本直樹
FW: 木村太輔 興梠慎三 FW: 小道薫
<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送