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 webnews 05/01/08 (土) <前へ次へindexへ>
勝負を決したセットプレー。星稜が石川県初のベスト4へ
第83回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝 星稜vs.前橋商業

2005年1月5日(月)12:10キックオフ 駒沢陸上競技場 観衆:3,390人 天候:晴
試合結果/星稜1−0前橋商業(前1−0、後0−0)
得点経過/[星稜]田宮(31分)


取材・文/中倉一志

 地区予選を含めて参加校総数3,674校が争ってきた高校サッカー選手権もベスト8が出揃った。憧れの国立までは後ひとつ。連戦の影響が出始める頃だが、憧れの舞台に辿り着きたいという強いモチベーションが身体を動かしてくれる。ここまで勝ち進めば、ベスト4はもちろん、どのチームにも頂点を極める可能性は等しくある。自らが破ったチームから託された千羽鶴と、これまで積み重ねてきた自信を胸に選手たちは戦いに挑む。

 駒沢陸上競技場で行われた準々決勝第1試合に登場するのは星稜高校と前橋商業だ。星稜の中心選手はJリーグの名古屋入りが決まっている本田(3年)。ここまでチーム得点のほとんどに絡んでおり、前評判どおりの実力を見せている。対する前橋商業はセットプレーが最大の武器。ここまで6得点のうち実に5得点がセットプレーによるものだ。そして注目を集めるのは4得点を挙げたDFの糠谷(3年)。今日も高い打点のヘディングでゴールを狙う。



 押しては引き、引いては押す主導権争いを経て、程なくリズムを掴んだのは前橋商業だった。風上に立つ前橋商業は中盤での攻防を避けてロングボールを前線へ。高い位置に起点を作ると中盤が素早く押し上げて攻撃の形を作る。そしてセットプレーは、ほとんどをゴール前へ。ターゲットとなる糠谷が自身5点目となるゴールを狙う。また、2トップのチェイシングから始まる守備で相手の中盤に自由を与えず、試合を有利に進めていく。

 対する星稜は中盤で主導権を握れない苦しい展開。セカンドボールを支配されてボールを本田に集めることが出来ずに攻めあがることが出来ない。やむを得ず、前線に向かって長いボールを蹴りだすが、これは本来の清涼のサッカーとは異なるもの。前線で本田と綿谷が横に並んでしまって、こぼれたボールに絡めない苦しい展開が続く。ロングボール主体の前橋商業の攻撃には対処しているものの、攻撃に出ることは許してもらえなかった。

 しかし試合の流れが必ずしも得点に反映しないのがサッカーというスポーツ。ここまでチャンスらしいチャンスがなかった星稜がワンチャンスをものにする。右サイドらのCKを本田が二アサイドへ送る。そこへ飛び込んできたのは田宮。頭で合わせたボールは左ポストを叩いて、そのままゴールマウスに吸い込まれた。本田はここまで思うようにボールに絡めなかったのだが、ここぞという時の集中力はさすが。星稜は1点のリードを奪って前半を折り返した。



 後半もロングボールを前線に合わせてくる前橋商業と、中盤でパスを繋ごうとする星稜という図式は変わらない。しかし、ともにボールを落ちつけることが出来ず、チャンスらしいチャンスが訪れないままに時間だけが経過していく。こんなときに怖いのはセットプレーとつまらないミス。そういう意味では、セットプレーからどんどん、どんどん放り込んでくる前橋商業の戦い方は星稜の無言の圧力を与える。「心臓がバクバクしていた」と河崎監督は振り返る。

 しかし、この前橋商業の攻撃パターンに、星稜の最終ラインは良く耐えた。この日、前橋商業が得たFKは、直接・間接を含めて29本。そのほとんどをゴール前に上がる糠谷めがけて放り込んだ。しかし、星稜は糠谷に制空権を渡すことなく、これを跳ね返した。この前橋商業の最大の武器を封じきったことが、勝利に結びつく要因となったのは間違いない。セットプレーからピンチを招くことはなく、前橋商業のパターンを研究した後が窺えた。

 それでも、残り15分を切ってからは激しく前に出始めた前橋商業のペース。25分、29分、33分と決定的なシュートも浴びた。だが、悪いなりに試合をまとめられるのも強者の条件。星稜は慌てることなく守りきって1−0のまま試合をまとめ上げた。星稜としては初めてベスト8に進出してから13年目、そして石川県勢としては初となるベスト4進出を決めた。「嬉しい。地元にいいエネルギーを与えられた。私たちだけではなく、石川県サッカー協会の喜び」。河崎監督はベスト4進出の喜びを素直に語った。



 挑み続けながら跳ね返され続けてきたベスト4の壁。それを打ち破ったことで、チームは今まで踏み入れられなかったひとつ上のレベルで戦うことになる。そのステージで自分たちはどれだけの力を発揮できるのか。今まで積み重ねてきた者の全てをぶつけることが出来るのか。おそらく、星稜イレブンの胸の中には、新たなステージで戦える喜びが溢れていることだろう。準決勝の相手は市立船橋。星稜らしい攻撃的なサッカーを見せてくれることを期待したい。


(星稜) (前橋商業)
GK: 小倉朋也 GK: 土田健太
DF: 山口裕士 作田裕次 込山和樹 清水孝太 DF: 山岸達弥 糠谷祐真 大河原亮 高橋秀人
MF: 大畑将徹 出村健次 田宮裕之(66分/塩原拓真) 本田圭佑 MF: 鈴木佑典 長部雄大 石上薫 大朏秀人(76分/関野拓也)
FW: 綿谷諒 橋本晃司(75分/三木卓哉) FW: 阿部弘迪(63分/岸波大樹) 都丸昌弘
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