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 webnews 05/01/09 (日) <前へ次へindexへ>
エース・渡邉千真の2得点で国見はペースを掴んだ。
前半は国見、後半は盛岡商業。スコアどおりの内容。
国見、辛くも逃げ切り、後輩たちへ贈り物を残す。
第83回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝 国見高校vs.盛岡商業高校

2005年1月5日(水)12:10キックオフ 三ツ沢公園球技場 観衆:約11,000人 天候:晴
試合結果/国見高校3−2盛岡商業高校(前半3−0、後半0−2)
得点経過/[国見]渡邉千(12分、17分)、出崎(36分)、[盛岡商業]福士(47分)、斉藤(65分)


取材・文/西森彰

 2日前に藤枝東高校をPKで辛くも退けた前回優勝校の国見高校。この日は津工業高校を降して、勝ち上がった盛岡商業高校が相手である。前回優勝メンバーの平山相太が応援団の最前列で見守る中、国見は良いスタートを切った。盛岡商業が丁寧にパスをつなごうとするところを狙い、出足良くパスカットしては、相手陣内に攻め込んでいく。スピードを買われて起用された田中政勝が裏に飛び出し、渡邉千真も積極的にゴールを狙う。

 12分、盛岡商業ゴール前でボールを持った渡邉千は、相手DFと対峙した姿勢から小さいステップでシュートを放つ。打つ直前まで全く気配を見せなかったシュートは、林立するフィールドプレーヤーがブラインドにもなり、盛岡商業のゴールネットを揺らしていた。さらに5分後、右からのコーナーキック、ニアサイドに飛び込んだ渡邉千は、ヘディングシュートで再びゴールを奪う。浅い時間帯での2ゴールは、盛岡商業に深いダメージを与えた。

 36分、盛岡商業のライン裏に出たボールに、副審の旗が上がった。いったん動きを止めかけた両チームの選手だが、主審はこの判定を流す。このジャッジが、エアポケットを生んだ。一転、続いた国見の攻撃を一度は断ち切った盛岡商業だったが、いったん支配下に小林祐久とGK・三浦昭がお見合いをしてしまう。抜け目なくこれをさらった出崎のゴール。前半で思いがけない大差がついた。



 しかし、この3点差が国見イレブンの心に隙を、盛岡商業イレブンの心に開き直りを生んだ。後半から、盛岡商業は左サイドハーフの藤舘祐輔に代えて田中大介を投入。福士徳文のパートナーとして先発した高橋大を左サイドの2列目に下げる。マンマークを逆手に取った盛岡商業のポジションチェンジに、国見のディフェンスが混乱した。

 47分、盛岡商業の中野翼がゴール前で福士にパスを通す。福士は寄せてくるDFからドリブルで逃げ、シュートを放つ。「DFとしては、ニアに打たせる場面だからミスではない。問題はGKのポジショニング」(小嶺総監督)。GK・原田が、練習で何度も体に刷り込んだはずの位置にいなかったのは、3点差に集中を切らしていたせいかもしれない。

相手のミスを見逃さず、斉藤?がゴールに流し込む。
最後まで追いかけた盛岡商業だったが…。
 福士の4戦連続ゴールで盛岡商業の戦意はさらに燃え上がった。ダイレクトパスをつなぎながら国見ゴールを目指す赤いユニフォーム。国見は、最終ラインの混乱が中盤にも悪い影響を伝え、チェックがことごとく後手に回る。そして、65分「あんな大チョンボしたら、チームも意気消沈しちゃうよね」と小嶺忠敏総監督が嘆いたミスが出た。

 盛岡商業の直接FKが壁に当たってこぼれる。このリバウンドに反応した村上大心が蹴ったボールは、落ち着いて処理すれば何の問題も無いボールに見えた。「回転のかかったボールを簡単に取ろうとしてしまった」原田は、これをファンブル。万が一に備えて詰めていた盛岡商業・斉藤知志が、これをゴールに流し込む。国見の楽勝ムードは霧散した。



 盛岡商業の追い上げに、冷や汗をかいた国見。小嶺総監督は「勝負の世界はこんなものなんですよ。そういう甘いご時世じゃないし、そんなに勝負の世界は甘いもんじゃないし、思い通りにならないのが人生ですよ」と振り返った。

 だが、その中で小嶺総監督は、もうひとつの収穫を語る。「ベスト4まで行ったということで後輩たちにシード権、財産を残したということ。いつも言っているのが『ベスト4に行ってシード権を得るのが先輩たちの置き土産』。1発目を戦うのと戦わないのでは、後々で必ず響いてくる。だから、今回も『1発目を戦わないで済んだのは先輩たちのお陰なんだぞ』と言いました」。

 前回大会でベスト4に入った都道府県代表は、次の大会で1回戦をパスできる。ベスト8に残った学校のうち、1回戦から勝ち残っているのはこの日の対戦相手の盛岡商業、そして前橋商業高校の2校だけ。ベスト4に残ったのも2回戦からの出場校だけである。厳しい集中日程の中で行なわれる冬の選手権で、1試合多く行なうかどうかの違いは大きい。

 試合に負けた瞬間に、次の年へと切り替えるチームはある。しかし、全国大会を戦いながら、翌年のトーナメント表へ思いを馳せるチームがいくつあるか。このあたりも「常勝・国見」のメンタリティだろう。後輩たちへの義務を果たした2004-2005国見イレブン。この先は自分自身のための戦いだ。




(国見高校) (盛岡商業高校)
GK: 原田和明 GK: 三浦昭
DF: 比嘉隼人、藤田優人、吉住貴士 DF: 村上大心、斉藤知志、川村雅俊、小林祐久(78分/中村翔)
MF: 木村星弥、出崎升浩、渡辺三城、城後寿、本吉伸 MF: 高橋佑彰、中野翼、山崎良介(57分/藤原純)、藤舘祐輔(41分/田中大介)
FW: 田中政勝(74分/中川翔平)、渡邉千真 FW: 福士徳文、高橋大
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