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 webnews 05/02/05 (土) <前へ次へindexへ>
車窓から撮影した別府駅近辺の風景。まるで北海道の大雪原
シーズンの勝利は宮崎にあり
宮崎キャンプレポート その1


取材・文/中倉一志

 もっとサッカーに関わりたいという思いを強くして昨年の秋に仕事の環境を変えた。やりたいことだけに専念することと生活的に安定することは、往々にして一致しないものだが、本人はいたって気楽に新しい環境を楽しんでいる。経費節約のために一番安い移動経路を探したり、徒歩で30分程度の距離なら迷わず歩いたり、はたまた駅のホームで1時間に数えるほどしか来ない列車を待っていたりしていると、金がなかった学生時代が思い出されて(いまも決して金持ちとは言えないが・・・笑)、なんだか青春時代に戻ったような錯覚に陥る。

 さて、いま私は宮崎に滞在している。滞在期間は2月1日から2週間。何の制約も受けずに動けるようになった利点を生かさないのはもったいないと、初めての長期滞在によるトレーニングキャンプ取材をすることを思い立ったからだ。私の地元にホームタウンを置くアビスパ福岡のトレーニングキャンプを中心に、いくつかの場所を回りながら、宮崎でのキャンプの様子を見る予定になっている。

 宮崎への移動日に当てた2月1日はロシアからやって来たマイナス36度の寒気が日本列島を覆った影響で、日本は真冬に逆戻り。九州も例外ではなく交通網は大混乱に。福岡発の高速バスが全て運行見合わせになったため、急遽、JRを利用しての宮崎入りとなったが、車窓から見る大雪原は、さながら北海道。信号機が雪に覆われたと言っては止まり、時間調整と言っては止まり、約4時間半で到着するはずが、結局は7時間かけての宮崎入りとなった。

 さすがに宮崎市内には雪は積もっていなかったが、昼間の気温は3度。市内にも雪がちらついたとのことだった。翌2日、コンサドーレ札幌のキャンプ場所が見当たらず、広大な宮崎シーガイアの中を、とぼとぼと彷徨っていた私に声をかけてくれたおじいさんによれば、こんな天候は18年ぶりだということだった。しかし、そんな天気も次第に回復。現在では、日のあたる場所なら十分に暖かさを感じるまでに回復している。



青く澄んだ空と緑の芝生。ここで札幌はリーグ戦を乗り切る力を蓄え
ている。
 取材初日となった2月2日、まず札幌のキャンプを覗いた。前日の寒波はまだ宮崎に居座り、風も強く体感温度はかなり低い。「あったかいつもりで来たんだろうが、寒い中でサッカーしよって、大変じゃなあ」。私を練習場まで連れて行ってくれたおじいさんは、そういって申し訳なさそうに笑った。確かに思惑通りの天候とはいかない。しかし、まだ大地は雪の中に埋もれている札幌から比べれば遥かに暖かい。しかも青々とした見事なピッチの上でトレーニングが詰めるのだから、選手たちにとってこれ以上の環境はない。

 午前中の練習はサーキットトレーニングのみ。置かれたコーンやバーの上をジャンプしたり、ゴムチューブを腰に巻きつけて引っ張ったり、選手たちは黙々とトレーニングを続けながら、シーズンを戦える力を自分の身体の中に蓄えていく。そして、メディシンボールを使って上半身強化のトレーニング、ストレッチを経て、午前中のトレーニングを終えた。ボールを使っていないこともあって、静かに感じられる練習だった。

 札幌は4日、宮崎市内から車で1時間ほどのところにある綾町でキャンプを張っている川崎Fと練習試合を行った。対戦相手が昨シーズンのJ2を圧倒的な強さで駆け抜けたチームだったことも手伝って、残念ながら試合内容は決して満足のいくものではなかった。攻守に渡って連携不足が目立ち、まだまだチームは調整段階であることが窺われた。試合前、「ゲームをすることで、練習の中では見えてこない課題を見つけたい」と柳下監督は語っていたが、見つかった課題を整理して、7日に行われる福岡との練習試合で再びチームの出来上がり具合を確認することになる。



素晴らしい環境を提供する宮崎県総合運動公園
 さて、2日の午後は宮崎県運動公園に移動して福岡のキャンプインの様子を取材。悪天候のために福岡空港からの出発が1時間以上も遅れたが、宮崎入りしたスタッフ・選手には疲れの表情は見えず。総合公園内にある武道館前広場での歓迎式典に出席した後、すぐにラグビー場へ移動。4組に分かれてインターバル走、ミニゲーム(×4)と精力的にメニューをこなした。残念だったのは、ミニゲーム中に膝をひねった山形恭平が、右膝内側々副靭帯捻挫で全治4週間の診断を受けたこと。今は休む時期だと割り切って、回復に努めてもらいたい。

 それにしても福岡の選手の仕上がりの早さには驚かされる。1月17日にチームとしてから2週間足らず。しかし、基礎体力は既に出来上がっており、トレーニングでは全員がシャープな動きを見せている。どのポジションも0からのスタートとし、宮崎キャンプを選手選考会と位置付ける松田監督の考えを理解していることと、昨年味わった悔しさを必ず晴らすという強い気持ちが影響しているようだ。その気持ちは、翌日に行われた紅白戦(30分×3本)にも顕著に現れ、まるで本番さながらの激しい試合が行われた。

 シーズン中はレギュラーポジションを意味する黄色いビブスを着けたのは、最終ライン右から、中村、千代反田、岡山、アレックス。ダブルボランチはホベルト、松下で、両ワイドが大塚と宮崎。2トップには有光と太田が入った。2本目は有光→福嶋、岡山→木場。更に3本目には千代反田→川島、アレックス→宮本と、それぞれ交代を行った。なお、立石は赤いビブスをつけて1本目に左サイドハーフとしてプレー。今シーズンは、ひとつポジションを前にあげてプレーすることになりそうだ。



 しかし、現時点でのビブスの色の違いは絶対的なものではない。赤のビブスを着けた選手たちも一様に鋭い動きを見せており、監督をはじめ、選手たちも「どのポジションも横一戦」と口にする。激しく高いレベルでの競争を行い、その中で競争を勝ち抜いてきて欲しいとする松田監督だが、チームはその狙い通りにスタートしたようだ。
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