topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 05/04/05 (火) <前へ次へindexへ>
「同期の桜」、草津が徳島から花も実もあるJ2初勝利
2005Jリーグ ディビジョン2 第5節 ザスパ草津vs.徳島ヴォルティス

2005年4月2日(土) 14:04キックオフ 群馬県立敷島公園県営サッカー・ラグビー場 観衆:2.561人 天候:晴のち曇
試合結果/ザスパ草津2−0徳島ヴォルティス(前0−0、後2−0)
試合経過/[草津]吉本(48分、49分)


取材・文/砂畑 恵

 今年、J2に昇格してきた両チームのここまでの道のりは両極端だ。プロサッカーが華々しく誕生した頃からJ入りの気運は盛り上がったものの、なかなか実現には至らず、紆余曲折を経てようやく夢舞台を踏んだ徳島。それに対し、リエゾンという当地チームが元ではあるも、実際には2002年にザスパを名乗ってから本腰を入れ、わずか3年という短期でJリーグへと登り詰めた草津。そして、チームの生い立ちも違えば、J2昇格後の戦績もまた違う。初陣で勝利を飾り、2勝1分1敗と昇格組としては健闘している徳島に対し、草津は開幕4連敗と辛酸を舐めている。



 穏やかな風に春香る敷島グラウンドで行なわれた「同期の桜」対決。この日の草津からはゲーム開始から並々ならぬ思いが伝わってきた。試合は徳島のキックオフで始まったが、ボールを奪うと、わずか30秒足らずで草津は相手陣内に攻め込んでいた。その心意気はピッチに響く選手の声から判る。ここは大宮サッカー場のように選手との距離が近い。それでも札幌戦では客席まで声が届くことはなかった。敗戦が続き暗い状況に陥るとついつい怠ってしまう基本。今日の選手からは原点回帰した姿が垣間見られた。

 そんな草津で特筆するのは山口のポジション取り。基本のポジションはトップ下だが、サイドに開くプレーが目立つ。かつて名古屋にいたストイコビッチは中央からサイドに開いてゲームをコントロールしたが、それを思い浮かべて欲しい。中央かと思えば、サイドへと烈しく動き回ってパスを繰り出す山口。それに呼応するように、本来なら右エンドにいるはずの酒井が内に絞って前線へと飛び込んで行く。これにより草津は宮川、吉本に加えて酒井とゴール前で相手DFと3対3の状況を作り出した。更に攻めのリズムが安定する草津はサイドバックも思い切りのよく攻撃にチャレンジ。手連手管で徳島攻略に取り掛かる。

 この攻撃に徳島は苦戦を強いられた。ボランチの筒井と秋葉は次々と相手が自陣に現われるために捉えるべき選手を絞り込めない。3バックもゴール前にいる同数の相手の目配りで手一杯。そんな中で宮川と競り合うことが多かった石川。このマッチメイクは迫力があった。23分にあった依田のクロスを競り合った際も烈しい攻防の末に石川がチームのピンチを救った。



 ところで徳島の攻撃陣だが時間を追う事に前線で取り残された。しかし一旦、ボールが前に繋がると興味深いものがある。21分には筒井からボール受けた大島がダイレクトで伊藤へ。透かさずDFの裏を突いた伊藤の低いロブは大島の前でGK岩丸に阻止されたが、その小気味よさが徳島の特徴だろう。33分にも大島、小林、伊藤とでタッチ数の少ないテンポの早いパス回しで草津を脅かし、伊藤がシュートに持ち込んだシーンもあった。

 だが徳島はそんな攻撃場面を多く産み出すことは叶わなかった。理由はチーム全体の押し上げが遅く、攻撃陣のフォローが間に合わなかったことと、草津の帰陣がべらぼうに早かったことだ。徳島がパス出しに少しの躊躇いを見せると草津は素早く囲い込む。また草津の4バックもしっかり詰めてコースを掻き消し、容易に徳島はシュートを打てない。

 草津は前半の攻勢をそのままに、後半わずか3分で待望の先制点を決める。48分、吉本の低いクロスはゴール前の混戦を擦り抜けてそのままゴールイン。そのラッキーな先制点の余韻も収まらぬうち、吉本はまたまた大きな仕事を成し遂げた。徳島のマークが甘いと見るや渾身の力を込めたミドルシュート。周りもあっと驚く閃光がゴールネットを揺らしていた。

 2点のビハインドを負った徳島は72分、田中と羽地を同時に送る。秋葉も攻撃に専従させて得点を狙った。この戦略はチームの攻撃を活性化しつつあった。羽地がポストになり、片岡や大場の攻撃もスムーズ。秋葉からも生きたパスが出る。81分には羽地の惜しい反転シュート。だがゲーム流れを完全に引き寄せるまではいかず、ゲーム終了の笛を迎えた。



 徳島・田中監督は「全体でつなぐサッカーをやろうとしたが、全くできなかった」と振り返る。時折、見られた前線の3人が早いパスで崩す攻撃は目を見張るものはあった。ただ後方からの押し上げなくしては、その攻撃も長続きはしない。守備から攻撃へと移るブレイクポイントをチーム全体で意識統一することが大切だと思われる。

 さて結果、内容とも相手に優った草津。勝因は攻守のバランスよさに尽きる。その点で氏家の存在大きい。「氏家をディフェンスに集中させ、相手のトップ下をケアさせた」と草津・手塚監督。大宮で同僚だった伊藤と対峙した氏家は果敢にボールを奪いに行き、味方の危機にはDFラインに入って献身的な守備をし通した。「相手のトップ下を機能させないように、センターバック、サイドバックと連携をとった。今日は、(守備的な)役割をハッキリといわれていたのでプレーしやすかった」と氏家はゲームを振り返り、そして胸を張った。草津が挙げた初勝利は氏家の存在なしには語れない。







(ザスパ草津) (徳島ヴォルティス)
GK: 岩丸史也 GK: 山口篤史
DF: 依田光正 小田島隆幸 籾谷真弘 寺田武史 DF: 谷池洋平 石川裕司 谷奥優作
MF: 山口貴之 鳥居塚伸人 氏家英行 酒井良 MF: 秋葉忠宏 筒井紀章 大場啓 伊藤彰(72分/田中大輔) 片岡功二(88分/鎌田祥平)
FW: 吉本淳(83分/御給匠) 宮川大輔 FW: 大島康明 小林康剛(72分/羽地登志晃)
SUB: 小島伸幸 佐田聡太郎 小久保純 堺陽二 SUB: 高橋範夫 小峯隆幸
<前へ次へindexへ>
topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送