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 webnews 05/04/19 (火) <前へ次へindexへ>
数字以上に存在した地力の差。福岡が横浜FCを下す。
2005Jリーグ ディビジョン2 第7節 アビスパ福岡vs.横浜FC

2005年4月16日(土)14:04キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:7,906人 天候:晴
試合結果/アビスパ福岡1−0横浜FC(前0−0、後1−0)
得点経過/[福岡]グラウシオ(57分)


取材・文/中倉一志

「うちと似たようなチームという印象がありますね」。雁の巣レクリェーションセンターでの練習後、松田監督はそう話していた。横浜FCの基本は相手に点をやらないこと。4人の最終ラインとボランチが守備的に構えて試合を進め、勝負所では、ジェフェルソンの高さや、内田のパスセンスとドリブルで攻撃のバリエーションを作る。攻撃面に課題があるというものの、2勝3分1敗と数字を残すことで内容も徐々に上向き始めている。

 単純にチームの総合力を比較すれば福岡に軍配が上がる。しかし、昨シーズンの対戦成績は福岡の1勝2分1敗。相性というものがあるとすれば横浜FCに分がある。両チームあわせて5つのゴールしか生まれなかった試合はいずれも1点差。そして先制点を奪ったほうが勝ち名乗りを上げている。福岡にとっては先制点を奪って地力の差をスコアに表したいところ。横浜FCは終盤まで粘って1点勝負に持ち込むことがポイントになる。



 この日の横浜は、ポジションとメンバーをいじってきた。右SBに佐藤、左SBには河野を置き、左右のワイドにポジションには内田とシルビオを配した。「前半はいい形で突破をさせないということを大前提においてゲームに入った」(足達監督)。前半のゲームプランは福岡のサイド攻撃を抑え込んで失点を防ぐこと。ワイドの選手とSBが連携してサイドへボールを追い込むことが狙いだ。あわよくば、そこに起点を作ってカウンターを仕掛けたい。

 ところが福岡が使ってきたのはバイタルエリアの中央。グラウシオが、このスペースで自由に動いて起点を作り、福岡が試合の主導権を握る。しかし、リスクを背負わずにゴールを守ることに専念する横浜FCは、崩されかかってもクロスだけは入れさせない。やや持ちすぎたことも手伝って、福岡は攻め込んでいる割にはチャンスが作れない時間帯が続く。前線に大きく蹴りだすしか攻撃の手段を持たない横浜FCと、ラストパスをつなげられない福岡の戦いは、やがてこう着状態に陥っていく。

 両チームを通じて前半の決定機といえば37分のシーンの1回だけ。ペナルティエリアに入り込んだグラウシオの前にボールがこぼれたシーンだ。間違いなくゴールネットが揺れたと思われたが、次の瞬間、横浜FCのDFが足を投げ出してグラウシオのシュートをカットした。結局前半は0−0。放ったシュートは福岡の3本と横浜の2本。互いにチャンスらしいチャンスを作れないままに前半を終えた。



 後半開始から松田監督が動く。山形を下げて太田を投入。中盤をホベルトのワンボランチにして、右に中村、左に松下。中央のやや下がった位置にグラウシオを配した。グラウシオが加入して以来、福岡が流れを変えるお決まりのパターン。そしてこの日も、この采配で福岡が再び攻撃のリズムを刻みだした。パス回しにスピードと緩急が生まれ、そのリズムに乗ってアレックスも高い位置から攻撃に参加する。そして57分、松下が上げた絶妙なクロスにグラウシオが頭で合わせてゴールネットを揺らす。

 先制点を奪えば福岡の必勝パターン。先制点の後、やや中途半端な展開で横浜FCに押し込まれるシーンもあったが、72分には有光を下げて田中を左サイドに投入。グラウシオを再びトップに上げて、中盤をダブルボランチに戻してチームのバランスを整える。その直後の73分には、岡山が2枚目のイエローカードを提示されて10人で戦うことを強いられたが、チームは全く慌てるそぶりを見せない。中村を左SBの位置に下げて、当たり前のように淡々と守っていく。

 76分、横浜FCはジェフェルソンと大友を投入。最終ラインを3人にし、チームに高さとスピードを加えてゴールを奪いに行く。しかし、この投入は機能しない。太田、田中、アレックスの3人が連携して、福岡の左サイドの高い位置でボールを巧みにキープしたからだ。この対応に追われる大友は深い位置に留まらざるを得ず、全く攻撃に参加することが出来なかった。終了間際には何とか前へ出て行ったが、それも、ロングボールをジェフェルソンに蹴るだけの攻撃では、福岡のゴールをこじ開けることは出来なかった。



 ゲームスタッツを見る限り、両チームの間に差という差はない。しかし、改めて試合を振り返れば、福岡の「したたかさ」と「堅実さ」が印象に残った試合だった。試合後、記者に囲まれた有光は「0に抑えることが出来て、1点取れば勝てるという試合ができた。いまは負ける気がしない」と話した。決して簡単ではなかった試合。しかし、その中で「勝ち点3」という結果を積み上げられたことに大きな意味がある。負けない福岡は、試合を重ねる中で何かを掴みかけているようだ。

「入れられた点も唯一だったんですけれど、でも福岡には決める力があるし、うちのチームには決定的なチャンスもなかったし、決める力というのも足りないと思う」とは内田智也。城は「機能しなかった」と繰り返した。横浜FCの選手たちも数字以上に力の差を感じたようだ。やはり課題は攻撃面か。守備的に臨んだ試合とはいえ、ただ前へ向かってロングボールを蹴るだけではゴールは奪えない。チームのバランスは悪くはない。だからこそ、どうやってボールをゴールまで運ぶのかという意思統一が急務だろう。




※監督記者会見、ならびに試合後の選手コメントは以下でご覧になれます。
足達勇輔監督(横浜)記者会見 http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018293.html
松田浩監督(福岡)記者会見 http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018290.html
試合後の選手コメント http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018289.html


(アビスパ福岡) (横浜FC)
GK: 水谷雄一 GK: 菅野孝憲
DF: 川島眞也 千代反田充 岡山一成(73分/退場) アレックス DF: 佐藤一樹(76分/大友慧) 早川知伸 山尾光則 河野淳吾
MF: 中村北斗 松下裕樹 ホベルト 山形恭平(45分/太田恵介) MF: シルビオ 小野信義 貞富信宏 内田智也(76分/ジェフェルソン)
FW: グラウシオ(84分/宮本亨) 有光亮太(72分/田中佑昌) FW: 城彰二 久保田学
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