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 webnews 05/09/07 (水) <前へ次へindexへ>
白熱した試合も消化不良の結果。ダービーマッチは痛み分け
2005Jリーグ ディビジョン2 第30節 サガン鳥栖vs.アビスパ福岡

2005年9月4日(日)19:04キックオフ 鳥栖スタジアム 観衆:11,614人 天候:曇
試合結果/サガン鳥栖1−1アビスパ福岡(前1−0、後0−1)
得点経過/[鳥栖]村主(40分)、[福岡]グラウシオ(50分)


取材・文/中倉一志

 1分間のロスタイムを終えるホイッスルが鳴った瞬間、スタジアムをなんとも言えない静寂が包み込んだ。健闘をたたえる拍手もなければ、勝てなかったことに対する不満を表す声もない。高まりつつある高揚感と張り詰めた緊張感を何の前触れもなく絶たれてしまい、どう反応していいのか分からない、そんな雰囲気がスタジアム中に広がった。この反応こそ、この日の試合内容を表すもの。両チーム、両サポーターにとっては消化不良のゲームだった。

 前半は鳥栖がゲームプラン通りに試合を進めて1点を先制。後半に入ると、福岡が盛り返して開始早々に同点ゴールをゲットして、そのまま試合を支配。そして終盤は、どちらにゴールが生まれてもおかしくない白熱した展開が繰り広げられた。その結果の引き分け。こう表現すれば、ダービーマッチの名にふさわしい試合のように思える。確かに白熱した試合ではあった。しかし、持てる力を発揮したというよりも、互いに抱えている課題が原因となっての1失点ずつ。またかという気持ちと、やむを得ないという気持ちが交錯する。



「気持ちの勝負だということでスタートした」(松田浩監督・福岡)という試合。しかし、立ち上がりのぶつかり合いを経て、まず精神的に優位に立ったのは鳥栖だった。アグレッシブに前に出る鳥栖は中盤で激しくプレッシャーをかけて福岡の自由を奪うと、宮原を中心にパスを回して右サイドから攻撃を仕掛ける。その勢いの前に受身に立ってしまった福岡は、中盤で鳥栖の攻撃を喰い止められず、攻撃に転ずる手立てを講ずることもできず守勢に回らざるを得なかった。

 3分のビジュのヘディングシュートを皮切りに、12分の鈴木、21分の高地、そして23分には小井出のシュートが福岡ゴールマウスを襲う。試合の流れは完全に鳥栖が掌握していた。しかし、流れを掴みながらも得点に結び付けられないのが鳥栖の課題。そして、攻め続けながらゴールが奪えなければ流れが変わっていくのはサッカーの常だ。やがて30分を過ぎた辺りから鳥栖のプレスが甘くなっていく。それに伴い、福岡が少しずつ落ち着きを取り戻していく。

 それでも積極的にはなれない福岡だったが、時間帯からすれば無難にプレーして後半に備えるという選択もあった。ところが40分、触らなければゴールラインを割る鳥栖のFKに長野が反応。さらにクリアミスとなったボールに対して不用意に水谷が飛び出した。無人のゴール前にはFKに供えて両チームの選手が密集。ビジュの折り返しを村主が難なく決めたのは当然のことだった。「受けに回ったところ、なんとなくギクシャクした硬さだとか、そんなところの中途半端なプレーでやられた」(松田監督)。そして鳥栖の1点のリードで前半が終了した。



 後半に入ると福岡は山形をベンチに下げて中盤をホベルトのワンボランチに。トップ下にグラウシオを置き、前線に岡山を投入する。このシステム変更で鳥栖がグラウシオを捕まえきれなくなると、試合のペースは一転して福岡へ移る。「リーダー不足。流れが向こうに行っているのに、ボールをキープしてしまえと、あるいは1回断ち切れという判断ができなかった」(松本育夫監督・鳥栖)。鳥栖から前半の勢いが消え防戦一方に追い込まれた。

 ゲームに飲み込まれてマイボールを簡単に渡してしまうのが鳥栖の悪い癖。そんな癖に乗じて福岡が同点ゴールを奪う。時間は50分。中村北斗からのクロスボールに鮮やかにグラウシオが合わせた。そして、ここから鳥栖をゴール前に釘付けにして福岡の猛攻が始まる。もはや鳥栖はゴール前から出ることが出来ず、福岡の追加点は時間の問題のように思えた。しかし、福岡のシュートはゴールマウスを捕らえられない。

 そんな展開の中の69分、ボールを受けた宮原が中央をスルスルとドリブルで駆け上がる。ところが福岡は誰もマークに行かず、宮原に強烈なシュートを見舞われた。これはGK水谷のファインセーブで逃れたものの、このプレーで福岡は自らのペースを失った。再び前に出る鳥栖。もう一度ペースを取り戻そうと攻めに出る福岡。ここからは互いにゴールチャンスがある打ち合いのような展開に。しかし、互いにゴールマウスをこじ開けることが出来ずに、今シーズン3度目のダービーマッチは引き分けに終わった。



「内容としては決して悪くなかった。残念ながら勝ちゲームにしたかったけれど引き分けた。非常に悔しい」と松本監督は試合を振り返った。これこそが今の鳥栖が抱えている最大の課題だ。ここまで12敗のうち実に9試合が1点差。いいゲームをしながらも、競り合いのゲームで勝ちきれないことが8位という結果につながっている。この試合も、主導権を握った前半で突き放していれば別の結果になっていたはずだ。内容をどうやって結果につなげるのか、鳥栖の前に立ちはだかる最後の壁は厚い。

 福岡にとっては引き分けという結果以上に、J1昇格のために勝ち続けなければならない状況の中で、前節に引き続き受けに回った試合をしてしまったことが気にかかる。これも今シーズンの序盤から続く課題のひとつ。勝ちきれない試合の多くは、立ち上がりの積極性に欠き、自分たちのペースで試合をやり通せなかったことが原因になっている。「一番大事な試合とは常に目の前の試合」と松田監督は言うが、どんな試合にもアグレッシブな姿勢で試合に入れるかどうかがJ1昇格へ向けての大きな鍵になる。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見
松本育夫監督(サガン鳥栖)記者会見


(サガン鳥栖) (アビスパ福岡)
GK: シュナイダー潤之介 GK: 水谷雄一
DF: 小井手翔太 ビジュ 加藤秀典 高地系治(38分/飯尾和也) DF: 中村北斗 長野聡 千代反田充 アレックス
MF: 高橋義希 矢野大輔 村主博正 宮原裕司 MF: 宮崎光平(69分/大塚和征) ホベルト 山形恭平(45分/岡山一成) 古賀誠史
FW: 鈴木孝明(86分/阿部文一朗) 新居辰基(83分/下司隆士) FW: 田中佑昌 グラウシオ
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