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 webnews 05/09/08 (木) <前へ次へindexへ>
起死回生の2得点。ハンデを背負った浦和が勝ち点1を奪う
2005Jリーグ ディビジョン1 第22節 鹿島アントラーズvs.浦和レッズ

2005年9月3日(土)19:03キックオフ 県立カシマサッカースタジアム 観衆:35.467人 天候:晴
試合結果/鹿島アントラーズ2−2浦和レッズ(前2−0、後0−2)
試合経過/[鹿島]小笠原(17分、PK)アレックス ミネイロ(27分)
     [浦和]田中(77分)ポンテ(86分)


取材・文/砂畑 恵

 試合後、応援に精魂尽き果てた浦和サポーターが倒れて担架で運ばれる場面に遭遇する。それほど浦和にとって首位・鹿島との直接対決は壮絶を極めた。

 大フラッグを手を替え品を替えゴール裏に広げて選手を鼓舞する鹿島サポーター。それに負けじと張り上げる浦和サポーターの声援がこだまする。異様なほどの熱気で包まれたスタジアム。キックオフの笛はつんざく歓声の中へと密やかに溶け込んで行った。

 まずゲームのリズムを掴んだのは鹿島だった。粋なサポーターの演出に応えるが如く、先手必勝とばかりに3列目の青木やフェルナンドが積極的に絡んだ攻撃で浦和を自陣に押し込める。この日は先発で登場した右サイドバックの名良橋も、ベテランとは思えないスピードに乗った仕掛けを繰り返した。17分、その名良橋がFKからのボールを受けて素早くアーリークロスを入れる。裏を取られまいとした堀之内が鈴木を倒してPK。スポットに立った小笠原の心憎いばかりのキックはGK都築の上で放物線を描きゴールへと収まった。

 その10分後、反撃する浦和に対し、鹿島はカウンターを炸裂させる。鹿島陣内深い位置での相手スローイン。浦和はゴール前に闘莉王を上げていた。そんな中、パスをカットしたアレックスミネイロがドリブルで一気に浦和ゴールへとひた走る。放ったミドルシュートは坪井の足に当たってコースを変え、GK都築の逆を取る形でゴールに突き刺さった。

 30分の経過もみないうちに2失点を重ねた浦和。3日前のナビスコ準決勝の疲れが残っているのか、鹿島ゴールに迫りながらもその攻め口に切れがない。入団後、浦和の貴重な得点源となっているポンテもフェルナンドと青木のマークに苦戦し、いつもの冴え渡るプレーが見られない。40分にあったFKでは素早くリスタートし、山田のセンタリングを田中が上手く頭で捉えたがシュートはポスト左を通過。きっかりと守備のブロックを築く鹿島の牙城を前に、浦和は焦燥感が漂う。



 後半戦へ突入してからは特段の攻撃のなくなった鹿島は平静にプレーした。それは追う立場の浦和がイライラを募らせ、だんだんと主審の判定に不満気な様子を伺わせているシーンが目立ち始めていたからだ。大一番となれば否が応でも気分は高まる。確かに2点差というのは安全圏ではないにしても、今は心を波立たせず、のらりくらりとのゲームを進行させて、浦和の自滅を待つのが得策。案の定、ファールを受けた側の闘莉王が執拗な異議と心無い振る舞いで、続けざまイエローカードを提示されて退場になった。

 だがこれを切っ掛けにして浦和は腹を括った。70分、ベンチは鈴木啓を下げて左ウイングにアレックスを投入。最終ラインの左には平川、右の山田は高めに置く変則の4バックへとチェンジする。ワンボランチの長谷部には守備のカバーから攻撃までいつも以上の運動量でオールマイティーのプレーが求められた。選手には厳しい状況ではあったが、それまでの相手を窺うような横パスは減り、徹底して縦にボールを動かしてゴールに迫る先鋭的なアタックに移行。そして弛まぬサポーターの大声援が選手の推進力を増幅させた。

 77分、田中のパスを起点に、長谷部とのパス交換からゴール前に侵入した山田が左に展開。ボールを受けたポンテが外から回ってきたアレックスにパスを繋げる。ニアを狙ったアレックスのシュートはGK曽ヶ端が右手1本で弾くが、浮き上がったボールを田中がヘッド。ゴールカバーに入った新井場が頭で跳ね上げたボールは天井を突いて得点となる。

 浦和の勢いはもう止まらない。86分、アレックスのスローインを途中出場の岡野がコーナー近くで受ける。その岡野に大岩がつり出された。ボールは岡野から田中に戻されるが、そこに内田がプレスに行く。透かさず田中は大外を駆け上がるアレックスへとパスを流した。ゴールライン手前に出来たスペースを疾走するアレックス。左足から繰り出されたマイナスのパスは鹿島の選手の間を抜け、ゴール中央でフリーとなったポンテに渡るや否や、ゴールを貫く閃光。一旦は地獄を見た浦和にとれば破格とも言える勝ち点1を手にした。



 1人少ない相手に追い付かれ、第5節以来、守り続けた首位から陥落した鹿島。終盤での著しいスタミナ切れも浦和に抗し切れなかった原因の1つだ。ひとまずここは心に区切りを付け、追われるよりも追う立場の方が楽だとプラス思考で次の試合に臨みたい。

 さて浦和は1人少ない中で2点のビハインドを跳ね返したことを評価したい。だが次節は闘莉王と堀之内が出場停止で、今シーズン、3バックのセンターを務めたDFが2人いない状態。サスペンデッドでベストメンバーが組めない事態を繰り返しては、警告の非常に少ない首位・G大阪に比べるとそれだけでも不利。先の栄光を掴むには自制心も必要である。


(鹿島アントラーズ) (浦和レッズ)
GK: 曽ヶ端準 GK: 都築龍太
DF: 名良橋晃(82分/内田潤) 羽田憲司 大岩剛 新井場徹 DF: 坪井慶介 田中マルクス闘莉王(60分/退場) 堀之内聖
MF: 青木剛 フェルナンド 小笠原満男 本山雅志(79分/リカルジーニョ) MF: 山田暢久 長谷部誠 鈴木啓太(70分/三都主アレサンドロ) 平川忠亮 ポンテ
FW: 鈴木隆行 アレックス ミネイロ(79分/深井正樹) FW: 田中達也(89分/内舘秀樹) 永井雄一郎(82分/岡野雅行)
SUB: 杉山哲 野沢拓也 SUB: 山岸範宏 酒井友之
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