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 webnews 05/10/19 (水) <前へ次へindexへ>
地力の差を見せた福岡。J1昇格へ一歩前進
2005Jリーグ ディビジョン2 第36節 水戸ホーリーホックvs.アビスパ福岡

2005年10月15日(土)14:03キックオフ 笠松運動公園陸上競技場 観衆:2,074人 天候:曇
試合結果/水戸ホーリーホック0−3アビスパ福岡(前0−1、後0−2)
得点経過/[福岡]グラウシオ(41分)、田中(53分)、千代反田(72分)


取材・文/中倉一志

「まだまだ分からないです。J2は本当に難しい」。記者会見を終えてロッカールームに引き上げようとする松田監督を捕まえると、こんな言葉が返ってきた。勝ち点3を積み重ね、3位との勝ち点差が10に広がったことで、その表情には幾分余裕が窺えたようにも思えたが、その試合内容には必ずしも満足していないようだった。いい形で試合に入りながら、その流れを生かせないうちにリズムを崩す。ここ数試合続くパターンに、チーム状態は万全だとは捉えていないようだ。

 しかしながら、福岡が水戸との地力の差を見せたことも確かだ。「失点3という以上のレベルの差があった。5位くらいのチームなら通用するけれども、やはり、上位チームでは全然通用しない」とは前田秀樹監督(水戸)の弁。ボールを持ったときの判断のスピード、そして、それに伴う攻守の切り替えのスピードには、両チームの間に大きな差があった。福岡にとっては内容という意味で不満足な部分が残るとは言え、3−0というスコアは両者の力関係を正直に反映した結果と言えるだろう。



 試合は立ち上がりから福岡のペースで進んでいく。守備に重点を置く水戸だが、4−1−4−1の布陣はワンボランチの小椋の両側にスペースが出来る。福岡は、このスペースにグラウシオが入り込み、そこへシンプルにボールを預けることでリズムを刻んだ。攻めてはバイタルエリアに起点を作って両サイドから突破を仕掛け、守っては千代反田が制空権を握って、水戸のロングボールを完璧に跳ね返す。攻守にわたって狙い通りに試合を進める福岡に、前節の山形戦の影響は感じられない。

 しかし、この時間帯にゴールを奪えなかったことで試合の流れが微妙に変わりだした。攻めきれない福岡がボールを中盤でキープし始めると、そこへ水戸の2列目の4人が激しくプレッシャーをかける。福岡のパス回しが窮屈になり、ここからは水戸のペース。34分、福岡の最終ラインを完全に崩した水戸は、ファビオのシュートが左ポストをかすめる。40分にはラインの裏に抜け出した眞行寺がGKとの1対1の場面から決定的なシュートを放った。GK水谷の見せた好セーブで事なきを得たが、福岡にとっては嫌な流れだ。

 ところが、先制点を奪ったのは福岡。時間は41分、眞行寺の決定的なシュートの直後のプレーだった。左サイドでボールをキープする秦から宮崎がボールを奪うと、そこから左サイドへ展開。裏へ抜け出した古賀からのクロスボールをグラウシオが頭で合わせた。ボールを奪ってから2本のパスで奪ったゴールは、お手本のようなカウンター攻撃。水戸が攻めに出ようとしたところでボールを奪った時点で勝負はあった。両チームの判断のスピードの違いを象徴するプレーだった。



 後半に入ると水戸は秋田に代えて磯山を投入。フォーメーションを4−4−2に変えて攻撃に出る。46分には関のFKが、47分にはCKに頭で合わせた深津のシュートが福岡ゴールを襲う。一方、「バイタルエリアにボールを集めろ」(松田監督)との指示を受けた福岡は、再びグラウシオにシンプルに預けて、そこからサイドに展開するサッカーが復活。悪くなっていた流れを引き戻しにかかる。

 そして53分、福岡が勝利を大きく引き寄せる2点目を奪うことに成功する。高い位置でボールをキープして1対1を仕掛けようとする関に、背後からプレッシャーをかけてボールを奪った古賀が左サイドへ流れるグラウシオへ。そこからのクロスボールに田中が合わせてゴールネットを揺らした。ボールの奪い方から、わずか2本のパスでゴールに結びつけたシンプルな攻撃は1点目のリプレイを見るようなゴールシーン。これで勝負はついた。

 なんとか反撃を試みようとする水戸は、56分には磯山が、そしてセットプレーから深津にボールを合わせてゴールを目指すが、GK水谷がこれを許さず。65分には須田をベンチに下げて小椋を右SBにシフト。関をボランチの位置に、交代出場の伊藤を右サイドに入れて攻撃の活性化を図ったが、福岡の最終ラインに阻まれてチャンスを広げられない。そして72分、CKから千代反田がヘディングシュートを決められると、反撃の気持ちさえ消えてしまった。



 通算勝ち点を64に伸ばし、甲府が破れ、山形が引き分けたことで3位との勝ち点差を10に広げた福岡。しかし、冒頭に紹介した松田監督のコメントと同じように、移動バスへ乗り込む選手たちに、この日の勝利を喜ぶ笑顔はない。あくまでも目標はJ1昇格。目先の勝利に一喜一憂することなく、次の試合に向けて早くも照準を合わせているようだ。「下のことは気にしないで、自分たちのやることをしっかりやることしか考えていない」というのも選手全員に共通するコメントだ。J1昇格へのマジックは15。福岡は確実にその歩みを進めている。

 一方、「福岡はボールを取ってからがすごく速かった。左サイド(古賀)も引いてこないで残って待っていて攻撃の基点になれるし、そういうところが力の差で、それはすごく大きな差」とは秦。選手たちも力の差を感じさせられた一戦だったようだ。しかし、リーグ戦はまだ続く。自分たちの力の全てをぶつけ、順位をひとつでも上げることがチームとしてやらなければならないこと。そういう意味では、福岡同様、自分たちのやれることをしっかり続ける姿勢を貫いけるかどうかが、終盤のポイントになる。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見
前田秀樹監督(水戸ホーリーホック)記者会見


(水戸ホーリーホック) (アビスパ福岡)
GK: 本間幸司 GK: 水谷雄一
DF: 須田興輔(65分/伊藤仁) 深津康太 大和田真史 森田真吾 DF: 平島崇 宮本亨 千代反田充(78分/長野聡) 山形辰徳
MF: 関隆倫 秋田政輝(45分/磯山和司) 小椋祥平 眞行寺和彦(84分/金子剛) 秦賢二 MF: 宮崎光平 山形恭平 ホベルト 古賀誠史(76分/村主博正)
FW: ファビオ FW: 田中佑昌(67分/岡山一成) グラウシオ
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