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 webnews 05/12/23 (金) <前へ次へindexへ>
この日も多くのTEPCOファンが、スタジアムに足を運んだ。
ハイボールを競る、丸山(白14)と西口(赤5)。
我慢比べに勝った浦和、リターンマッチの権利を獲得。
第27回全日本女子サッカー選手権大会 準々決勝 東京電力女子サッカー部マリーゼvs. 浦和レッドダイヤモンズレディース

2005年12月17日(土)13:00キックオフ ひたちなか市総合運動公園陸上競技場 観衆:622人 天候:晴
試合結果/東京電力女子サッカー部マリーゼ0−1浦和レッドダイヤモンズレディース(前0−0、後0−1)
得点経過/[浦和]若林(60分)


取材・文/西森彰

 最終節、僅か勝ち点差1でAクラスとBクラスに分かれた、東京電力女子サッカー部マリーゼ(以下TEPCO)と浦和レッドダイヤモンズレディース。チーム体制が移管した、2つのクラブは、正反対の軌跡を描いた。

 数年ぶりの戦力補強が行われたTEPCOは、なでしこジャパンのFW・丸山桂里奈を日本体育大学から獲得。YKK APフラッパーズ時代から定評のあった高さのある攻撃に、巧みなドリブルが持ち味の丸山が加わったことで、得点力がアップ。さらに、元TASAKIの早坂優をボランチに据えて、センターラインが強化された。

 そしてオーナー会社、地元メディア、そしてファンが三位一体となってのバックアップも大きかった。ホームゲームでの観客動員数は、浦和をも凌ぎ、L1、L2の全クラブを通じて栄えある第1位。なでしこブームを力強く引っ張っている。

 一方、浦和は、準三冠を獲得した、さいたまレイナスFCからの移管。練習環境の向上や、ファンの増加が期待され、事実、そのとおりになった。一方で、チーム移管が急に決まったために、今シーズンへの準備期間は十分とは言えず、そこで躓いたことが、一年を狂わせた。

 リーグ戦では1勝1敗1分け。どちらも気合は入っていたはずだ。



 前半は、風上に立った浦和のペース。ショートパスをつなぎながら、TEPCO陣内でプレーを続ける。TEPCOが苦し紛れのファールを犯すと、高橋彩子の出番。右足からの正確なボールが、TEPCOのゴールを脅かす。守備もTEPCOのロングフィードを警戒して、中盤から前の選手が精力的にパスコースを消す。TEPCOのゲームを良く研究した跡が見える浦和の戦いぶり。前半は四分六分で優勢に立った。

 後半はTEPCOが風上に回り、浦和は風下に。TEPCOが得意とする長いハイボール攻撃が、さらに脅威を増す。後半、やられる負けパターンに嵌ったかにも思えたが、浦和の選手たちは落ち着いていた。

 ドイツ短期留学から帰ってきた安藤梢は「風上だった前半はボールが伸びすぎていた。却って思い切り蹴れる後半のほうがやり易かった」。保坂のどかは「蹴ってくるチームだというのは分かっていたので、良いボールを蹴らせないように前から行きました」。

レッズレディースの応援も負けていない。
惜敗に涙した選手たちに、スタンドから温かい拍手が飛んだ。
 プラス面を捉えるポジティブな思考、マイナス面を消すための工夫。それらが出てきたのは、チーム状態が戻った証拠。「風下で相手のボールが伸びてくるので、その対応をきっちりして、こぼれ球を取ろう」という坂庭泉監督の指示を守った浦和の選手たちは、引き続いてプレッシャーをかけ、主導権を渡さない。

 そして、60分、左から保坂が上げた浮き球をコントロールした若林エリが、GKが前に出てきたところを左足でループシュート。これがきれいにTEPCOのゴールネットを揺らした。その後は、TEPCOのロングボール攻撃を、GK・山郷のぞみ、そして西口柄早と途中出場の笠嶋由恵の両センターバックが弾き返し、最終ライン裏へFWを走らせてカウンターを見舞う、教科書通りのゲームコントロール。虎の子の1点を最後まで守りきることに成功した。



 狙い通りのゲームに持ち込んだはずのTEPCOだったが、浦和の執念に屈した形。僅か1点が遠く、ここでシーズンを終えることになった。昨年からの躍進ぶりは福島県下のファンにアピールするに足るもので、L・リーグ全体をも大いに活気づけてくれた。来期も戦力補強が予定されている。あとは、この好サイクルがどこまで持続するかだろう。

 浦和はリーグ戦の終盤から今大会にかけて、見違えるほど立ち直ってきている。坂庭監督は「以前は優先順位の低いことまで注意して、選手たちが混乱していたところがありました。だから、今はネガティブになり過ぎないよう、あまりに細かい部分は無視しています」。幹の部分だけを情報として与え、枝葉の部分は彼女たち自身の対応力に任せることで、戦い方をすっきりさせた。これが大きそうだ。

 準決勝の相手は日テレ・ベレーザ。元日、大観衆の前でシーズン最初で最後の黒星をつけられた。新設タイトル・なでしこスーパーカップでは、2点リードを追いつかれてPK負け。リーグ戦では0対7の記録的大敗を喫し、そこから事態は泥沼化した。リーグ最終戦のスコアレスドローは、復活への一里塚になった。谷底へ突き落とされ、また、そこから這い上がるきっかけを与えられた。

 昨年、手にした全てを奪っていったライバルとの因縁は、12月25日(日)、西が丘サッカー場でケリが付く。クリスマスに赤と緑の対決は季節感ピッタリ。このゲームこそ、浦和レッドダイヤモンズレディースの2005年を締めくくるに相応しい。

「(『今日、勝ったのでクリスマスがなくなっちゃいましたね?』)はい、でもサッカーをやっているほうが良いです」(保坂)



(東京電力女子サッカー部マリーゼ) (浦和レッドダイヤモンズレディース)
GK: 増田亜矢子 GK: 山郷 のぞみ
DF: 青木知里、大部由美、宇野涼子、北郷裕子 DF: 木原梢、森本 麻衣子(57分/笠嶋由恵)、西口柄早、岩倉三恵
MF: 本間真喜子、五十嵐章恵、早坂優、中村真実 MF: 高橋彩子、山本有里、保坂のどか(78分/法師人美佳)、安藤梢
FW: 佐藤春詠(74分/鈴木玲美)、丸山桂里奈 FW: 若林エリ(89分/松田典子)、北本綾子
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