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 第81回天皇杯全日本サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
ジヤトコ・TTの拙攻に救われる? サガン鳥栖が3回戦に進出。
第81回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦 サガン鳥栖vs.ジヤトコ・TT

2001年12月2日(日)13:00キックオフ 鳥栖スタジアム 観衆:1,805人 天候:晴
試合結果/サガン鳥栖1−0ジヤトコTT(前1−0、後0−0)
得点経過/[鳥栖]森田(15分)


取材・文/中倉一志

「1年間の総仕上げをJ1のチームと戦って、そこで良かったこと、悪かったことを来年に持ち越したいという目標で天皇杯に入ってます。だから目標は、最低で3回戦、それ以上は行きたい」(上永監督代行・鳥栖)。天皇杯の目標をそう語る鳥栖の2回戦の相手はジヤトコ・TT。今シーズンのホーム最終戦となるこの試合で、ジヤトコ相手にスッキリと白星を収め、サポーターに勇姿を見せるとともに3回戦の柏戦に弾みをつけたいところだ。

 一方のジヤトコは今シーズンJFL3位。主力メンバーの多くを元Jリーガーで固めており、鳥栖にとっては決して侮れるチームではない。昨年の天皇杯ではモンテディオ山形を破って3回戦まで進出。3回戦ではヴィッセル神戸相手に敗れたものの、1−2の接戦を演じている。3年連続5回目の出場となる今年の目標は、昨年同様、J1のチームと対戦すること。その目標を達成するだけの実力も、経験もあるチームだ。



 ジヤトコの布陣は4−3−2−1。1トップの新村が高い位置からチェイシングを繰り返し、1.5列目の平塚が積極的にボールに絡む。とにかく積極的に行こうという意図が感じられる立ち上がりだ。しかし、「やはりJ2の相手ということでチームが浮き足立った」(小花監督・ジヤトコ)というジヤトコは、その意図とは裏腹にボールが上手く回らない。中盤を作ることが出来ず、ロングボールを多用する単調な攻撃に終始してしまっている。

 一方、ホームで迎え撃つ鳥栖の布陣は4−4−2。相手の様子を窺うようなゆったりとしたリズムで、決して無理をせず、相手の攻撃をしっかりと受け止めて無難に試合を進めている。そして迎えた15分、右からのCKを森田がヘディングシュート。身体を思い切ってひねった体制から放たれたシュートは、ふわりとした弾道を描いてゴールマウスに吸い込まれた。安全に戦ってセットプレーで得点する。ここまでは定石通りの戦い方だった。

 しかし、鳥栖はこの後がいけなかった。一向にリズムは上がらず、まるでジヤトコにお付き合いでもするかのように、ただ前へめがけてロングボールを蹴るだけに終始。しかも、これが2トップに納まらず、全く攻撃の形が作れない。ジヤトコの単調な攻撃に点を奪われる心配はなかったものの、かといって、追加点を挙げられる気配もない。結局試合は、お互いに見るべきものがないまま後半へと折り返した。



 後半に入って試合のリズムに修正を加えたのはジヤトコだった。1トップの新村、そして1.5列目の平塚にボールが納まるようになったジヤトコは、ここを起点にして素早いパスワークを展開。右サイドを中心に鳥栖陣内に攻め込んだ。対する鳥栖は防戦一方。クリアボールは2トップに届かず、ラインも思い通りに上げられない。その結果、セカンドボールを拾われて2次攻撃を受けるという悪循環に陥っている。得意とするサイド攻撃は、1回戦同様、影を潜めてしまったままだ。

 試合は完全にジヤトコの一方的なペース。12分に迎えた決定機を皮切りに何度も鳥栖ゴールを脅かす。しかし、悔やまれるのはゴール前での精度が欠けていたことだった。鳥栖GK山口のファインセーブもあったが、いい形を作りながらもゴールが遠い。小花監督は「ゴール前での厳しさで得点に至らなかった」と試合を振り返ったが、さほどいいとは思えない鳥栖のDFを最後まで崩すことが出来なかった。結局、試合はこのまま終了。鳥栖がかろうじて3回戦進出を決めた。



 ジヤトコにとっては悔いの残る試合だったことだろう。特に主導権を握って進めた後半は9本ものシュートを放ち、いくつもの決定的なシーンを演出したにもかかわらず、どうしてもゴールを割ることができなかった。結果だけを見れば、この詰めの甘さがJ2とJFLの差だったと言えるのかもしれない。

 一方の鳥栖は、後半に放ったシュートは88分の竹元の1本だけ。内容だけならジヤトコに負けていた。「今日の収穫は0に抑えたこと」と上永監督代行は語ったが、決して守備が安定していたわけではない。ジヤトコの決定力のなさに救われたというのが本当のところだろう。互いの連携も、リーグ終盤に見せた集中力の高さも、そして、ひたむきにボールを追う気持ちも感じられない試合だった。

 3回戦は当初の目標であるJ1の柏レイソルと対戦する鳥栖。「苦しい試合が2つ続いたんで、きっちりと向こうで自分たちのサッカーをしっかり出せるように準備して臨みたい」と語った上永監督代行。サポーターも柏相手に奮闘する鳥栖の姿を待ち望んでいる。


小花浩史監督(ジヤトコ・TT)記者会見
上永智宏監督代行(サガン鳥栖)記者会見


(サガン鳥栖) (ジヤトコ・TT)
GK: 山口哲治 GK: 大石尚哉
DF: 山道高平、川前力也、富永英明、関本恒一 DF: 松雄昌則、大石信幸、繁田智大、小田切道治
MF: 有村光史、鈴木勝大、矢部次郎、佐藤陽彦 MF: 石川真、太田貴光、河合崇泰、平塚次郎
FW: 森田浩史、矢野マイケル FW: 新村泰彦、関根真人
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