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 第83回天皇杯全日本サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
 鹿島は秋田と年越しを狙う。
ピタリとあった完成図。タイトルハンター・鹿島、またもや4強進出。
第83回天皇杯全日本サッカー選手権大会 準々決勝 鹿島アントラーズvs.横浜F・マリノス

2003年12月23日(火・祝)13:04キックオフ 国立霞ヶ丘陸上競技場 観衆:16,274人 天候:晴
試合結果/鹿島アントラーズ4−1横浜F・マリノス(前3−0、後1−1)
得点経過/[鹿島]本山(5分)、青木(26分)、小笠原(29分)、[横浜]ドゥトラ(66分)、[鹿島]小笠原(71分)


取材・文/西森彰

 2月に行なわれたA3マツダチャンピオンズカップを制した時には、ファーストチャンピオンの称号に拘る戦いぶりがファンに支持された鹿島だが、年の瀬が近づくに連れてそのツケの大きさを感じていることだろう。ピークを早めに持ってきたこともあり、リーグ戦は2ndステージ終盤こそ、優勝争いの一角を占めたものの年間勝ち点では横浜F・マリノス、ジュビロ磐田らに差をつけられた。

 それでも決勝まで勝ち進んだナビスコカップを手にしていれば多少、話は違っていたのだろうが、ここもケガ人続出のあおりを受けて浦和レッズの前に完敗。気がついてみれば今シーズンも残る公式大会はこの天皇杯だけだ。秋田豊、相馬直樹らと共有する時間を少しでも長引かせるためにも、そう簡単に負けるわけにはいかない。本来のパフォーマンスを見せられず、2点を先行される苦しいゲームを2つ続けてひっくり返したのは、気持ちの部分によるものが大きいはずだ。

 対戦相手の横浜F・マリノスは、大会初戦で市立船橋高校に「あわや」の場面まで持ち込まれたように、リーグ戦を戦っていた頃の強さが戻っていない。自らの実力とそれに比する強運で掴み取った完全優勝がチームを満腹にさせてしまっているのなら、ここから気持ちを立て直すのは難しい。この日のゲームはそんな両者のモチベーションが意外な大差につながった。



 試合終了後に報道陣に渡されたスタッツを見ると、鹿島のシュート9本に対し、横浜は倍近い17本。ゴールキック数は鹿島16本に対し、横浜は6本だから、ゲーム自体はこんなに大差がつくようなものではなかった。しかし、横浜が攻撃の際に、僅かずつ互いのプレーヤーの狙いがズレていたのに比べて、鹿島の意思疎通は完璧だった。

 先取点の場面では、小笠原満男が放り込んだ僅かなスペースに、河合竜二とドゥトラの間を縫うようにして、ドンピシャのタイミングで本山雅志が入り込んだ。2点目の場面も右サイドでボールを受けた小笠原から、中央の本山を経由する間に、ボランチの青木剛がファーサイドの広いエリアを使うべく走り込んでいる。互いのイメージがシンクロした鹿島の攻撃は、トニーニョ・セレーゾ監督が「無駄な動きがなかった」と語ったとおり、勝負所のツボを抑えたもので、たちまちのうちに3点のアドバンテージをもたらした。

 後半に入り、横浜の岡田武史監督はハーフタイムに佐藤由紀彦を諦めて、柳想鐵のポジションをボランチに上げて3バックへ。「絶対に最後まで諦めるな!」と叱咤し、選手をピッチに送り出した。鹿島がリードを考えた試合運びをしたこともあり、相手陣内でのプレーが続いたが、66分にドゥトラの直接フリーキックで1点を返すのが精一杯。その5分後、小笠原に直接放り込み返されて力尽きた。



 勝った鹿島のセレーゾ監督は「Jリーグチャンピオンに4−1というスコアで勝てたこと」を評価していたが、私にはこの日の横浜はJリーグチャンピオンの横浜と同一チームには見えなかった。後半の攻勢にしても、リーグ戦ではもう少し、気迫が篭っていたように思うし「決して悲観するような試合内容ではなかった」(横浜・岡田監督)だけに、もっとやりようがあったはず。あまりにも寂しいシーズン最終戦だった。

 年明けは2月からA3が始まり、アジアチャンピオンズリーグもすぐに開幕するが「そこには照準をあわせない。2月にチームを仕上げてしまってはリーグ戦の最後まで持たない」と岡田監督ははっきりと明言した。今年の鹿島はダッシュをかけてシーズン半ばで息切れしたが、抑え気味にシーズンインしたジュビロ磐田とて、ここまでタイトルは取れていない。興行性の高い大会ではあってもベストコンディションで臨まないというのは、各方面から批判が噴出するもの。岡田監督も相当腹をくくっての決断に違いない。

 さて今年もベスト4へ勝ち上がった鹿島。タイトルへの執念は相変わらずだ。他に残っているのは決して相性が良いとは言い切れないセレッソ大阪と清水エスパルス。そして今シーズンは未だに無冠のライバル・磐田だ。しかも次の準決勝はC大阪のホームスタジアムである長居陸上競技場での試合である。決して組み合わせに恵まれているとは言えない。この苦しい状況を乗り越えて、秋田、相馬と来年の元旦、笑顔で別れることができるだろうか。


(鹿島アントラーズ) (横浜F・マリノス)
GK: 曽ヶ端準 GK: 榎本達也
DF: 内田潤、秋田豊、大岩剛、石川竜也 DF: 柳想鐵、中澤佑二、河合竜二、ドゥトラ
MF: 青木剛(89分/本田泰人)、フェルナンド、小笠原満男、本山雅志(81分/野沢拓也) MF: 遠藤彰弘、那須大亮、佐藤由紀彦(H.T/上野良治)、奥大介(78分/波戸康弘)
FW: 深井正樹、平瀬智行(78分/中島裕希) FW: 坂田大輔(54分/清水範久)、久保竜彦
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